【抗がん剤の副作用対策まとめ】口内炎・口腔粘膜炎の予防方法と治療方法｜MediCare

口内炎や口腔粘膜炎は、抗がん剤（癌化学療法）の副作用の中でも頻度が高く、患者QOLに大きく影響を及ぼす副作用です。

伴う激しい疼痛や食欲の低下によって、がん化学療法の継続の可否を決定付けるような重篤な副作用にもなり得ます。

しかし、口内炎（口腔粘膜炎）に対して確立した予防方法や治療方法は存在しません。

いかにして口内炎を予防し、増悪を回避するかがマネージメントのポイントとなります。

本記事では、口内炎の評価方法（重症度分類）や、口内炎への対応方法を紹介します。

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Contents

1 【口内炎の重症度分類】口腔粘膜炎をどう評価する？
2 口内炎（口腔粘膜炎）の対策！予防と治療
3 オンコロジー関連担当の医療スタッフにおすすめ
4 【医療スタッフにおすすめ】3分で人生が変わる動画

【口内炎の重症度分類】口腔粘膜炎をどう評価する？

口内炎の重症度分類をする歳には、基本的にCTCAEを用いれば問題ないと思います。

しかし、WHO分類のほうが、客観的な評価を行いやすい場合もあります。

施設や部署で統一した評価を行うと良いでしょう。

Common Terminology Criteria for Adverse Events（CTCAE）とは？

CTCAE（ Common Terminology Criteria for Adverse Events）とは、有害事象共通用語規準といい、世界共通で使用されることを意図して作成された有害事象に関する評価規準です。

有害事象の重症度をGrade0（正常）～5（死亡）と定義し、各有害事象の重症度の説明を個別に記載しています。

有害事象の重症度を客観的に捉えることができるので、誰が見ても『どのくらいの重症度なのか？』という事が把握しやすくなります。

CTCAEによってある一定の基準が設けられることで、副作用による減量や休薬のタイミングを明確にすることができます。

参考サイト

CTCAE

口内炎の重症度分類（CTCAE）

グレード1：症状がない。または軽度の症状。治療を要さない。
グレード2：中等度の疼痛。経口摂取に支障がない。食事の変更を要する。
グレード3：高度の疼痛。経口摂取に支障がある。
グレード4：生命を驚かす。緊急処置を要する。

WHOの分類

スコア0：有害事象なし
スコア1：ヒリヒリする
スコア2：紅班・潰瘍・嚥下痛
スコア3：潰瘍・広範囲なびらん・嚥下困難
スコア4：経口摂取不可

口内炎（口腔粘膜炎）の対策！予防と治療

口内炎対策の大前提としては、確立された方法はないと言うことです。

悪心嘔吐に対して制吐剤を使用したり、好中球減少に対してGCSFを使用するなど、確立された方法や“特効薬”があればよいのですが、残念ながら口内炎には存在しません。

症例や症状ごとに、いろいろな方法を組み合わせて対応することになります。

本記事では基本的な方法をご紹介しますが、エビデンスレベルの高いものではありませんので、参考にされる場合は慎重にご検討をお願いいたします。

口内炎の予防方法

口内炎の発症を完全に抑える予防方法は存在しません。

口腔内を清潔に保つ

口腔内を清潔にするだけでは、口内炎を完全に予防することはできませんが、口腔粘膜のダメージを少しでも軽減し、2次感染を未然に防ぎ、重症化を予防するためには口腔内を清潔に保つことが大切です。

クライオセラピー（冷却療法）

フルオロウラシル急速静注化学療法を受ける患者に対する口腔粘膜障害の予防として、30分間の口腔クライオセラピーの有効性が報告されています。

がん化学療法時におけるクライオセラピー（冷却療法）とは、薬物投与開始５分前から３０分間程度氷片を口に含み、口腔内を冷やす方法である。
口腔内を冷却することで末梢血管を収縮させ、抗がん剤が粘膜細胞に達する量を減少させる。
フルオロウラシルなどの急速静注では、血中濃度が急に上昇し粘膜細胞にも取り込まれやすくなるため、血中濃度が高くなる時期に口腔内を冷却し口内炎の重篤化を防ぐ。
しかし持続静注では、予防効果は期待できないと考えられている。
日本薬学会

口内炎の治療方法

口内炎に確立した治療方法はありません。

症例や症状ごとに対症療法を行なうことになります。

含嗽剤（院内製剤）

生理食塩液
アズレンスルホン酸Na水和物含嗽水
食塩水・リドカイン
アズレンスルホン酸・グリセリン・リドカイン
など

栄養状態の改善

栄養状態の改善が口内炎の改善に寄与するという報告があります。

口内炎に伴う疼痛により、食欲の低下や栄養状態の悪化など、負の連鎖を生じる場合があるため注意が必要です。

半夏瀉心湯

大腸がん化学療法（FOLFOX・FOLFIRI・XELOX）に伴う口内炎に対して、半夏瀉心湯による含嗽の有効性が報告されています。

甘草が含有されているため、偽アルドステロン症に注意

参考文献

Double-Blind, Placebo-Controlled, Randomized Phase II Study of TJ-14 (Hangeshashinto) for Infusional Fluorinated-Pyrimidine-based Colorectal Cancer Chemotherapy-induced Oral Mucositis