悩ましい抗がん剤の副作用の皮膚障害・・・
- 発疹
- 発赤
- 手足症候群
- ざ瘡用皮膚炎
- 爪囲炎
- 中毒性表皮壊死症(TEN)
- スティーブンジョンソン症候群(SJS)
『皮膚障害』と一括りにしても、その症状や重症度は多岐にわたります。
予防方法や治療法も様々で、非常に難しい副作用です。
しっかりとマネージメントできるように勉強しましょう。
副作用の確認を行う際には、患者さんに状態を聞くだけではなく、靴下を脱いでもらったり、シャツをめくってもらったりして、実際に目で見て確認することが大切です。
皮膚障害ではありませんが、皮膚の状態を観察する際には、口腔粘膜炎も合わせてチェックしておきましょう。
皮膚障害に注意すべき抗がん剤を理解する。
代表的な皮膚障害について理解する。
皮膚障害の対策方法を知る。
Contents
皮膚障害に注意すべき抗がん剤
EGFR阻害薬・TKI
- セツキシマブ
- パニツムマブ
- ラパチニブ
- アファチニブ
- エルロチニブ
- ゲフィチニブ
- など
これらの薬剤は、発疹やざ瘡用皮膚炎(にきびのような症状)が高確率で出現します。
薬剤によっては、皮膚炎が出現する人ほど有効性も高いという事が確認されており、いかに副作用を抑え込みながら効果を出していくかが大切になります。
マルチキナーゼ阻害薬
- アキシチニブ
- スニチニブ
- ソラフェニブ
- レゴラフェニブ
- レンバチニブ
- など
キナーゼ阻害薬は、手足症候群(HFS)が高確率で出現します。
疼痛や角化を伴い、重症化すると亀裂や水泡を生じる事がありあmす。
カペシタビン(ゼローダ)
カペシタビンも手足症候群が高率に発現する薬剤です。
キナーゼ阻害薬の手足症候群よりも、初期の感覚異常(ピリピリするチクチクする)が出現しやすいといわれています。
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ざ瘡用皮膚炎
ざ瘡用皮膚炎というのは、ニキビのような症状です。
美意識が高い患者さんほど、社会的なストレスや抑うつの原因となる事が考えられるので、たかがニキビと侮ることなく、しっかりと対応しましょう。
皮膚障害は、治療継続に関わる非常に重要な副作用です。
ざ瘡用皮膚炎の重症度評価 CTCAE
Grade1
- 体表面積の<10%を占める紅色丘疹および/または膿疱で、掻痒や圧痛の有無は問わない
Grade2
- 体表面積の10~30%を占める紅色丘疹および/または膿疱で、掻痒や圧痛の有無は問わない
- 社会心理学的な影響を伴う
- 身の回り以外の日常生活動作の制限
Grade3
- 体表面積の30%>を占める紅色丘疹および/または膿疱で、掻痒や圧痛の有無は問わない
- 身の回りの日常生活の制限
- 経口抗菌薬を要する局所の重複感染
Grade4
- 静注抗菌薬の投与を要する広範囲の局所の二次感染を伴う
- 生命を脅かす
ざ瘡用皮膚炎(ニキビ様症状)の対策
EGFR阻害薬による治療開始時に、ざ瘡用皮膚炎についてしっかりと説明することが大切です。
皮膚炎の発生と治療効果に正の相関が認められていますので、その旨も患者に説明し、患者本人が積極的に治療に参加するよう指導することがポイントです。
皮膚のケア
- 弱酸性石鹸の使用
- 皮膚を清潔に保つ
- 無刺激性の保湿クリームによる保湿
- SPF25以上の日焼け止めの使用
- ミノサイクリン(1回100mg1日1回)を治療開始から8週間予防投与
- など
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手足症候群(HFS)
手足(手の平や足の裏)に限局して発生する副作用です。
しびれなどの異常感覚や、皮膚の発赤、角化、亀裂、水泡、疼痛などの症状を伴うことがあります。
マルチキナーゼ阻害薬や、フッ化ピリミジン系薬(カペシタビン)の投与によって高確率で発現します。
発現初期の症状や好発時期は、薬剤によって異なります。
手足症候群の重症度評価 CTCAE
Grade1
疼痛を伴わないわずかな皮膚の変化、または皮膚炎。
Grade2
疼痛を伴う皮膚の変化。
身の回り以外の日常動作の制限。
Grade3
疼痛を伴う高度な皮膚の変化。
身の回りの日常動作の制限
Grade4
定義なし
手足症候群(HFS)の対策
- 皮膚を清潔に保つこと
- 保湿・保護
- 刺激の除去
- 手の平や足の裏に過度な刺激がかかる事を避ける
- 適切な用量調節
どのような状態になったら休薬するのかという事を、患者が理解できるように指導することが大切です。
Sincerely,
Hitouch『T』
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【この記事の執筆者】
Hitouch「T」
HitouchLIFEという雑記ブログの管理人
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