新しい抗インフルエンザ薬として期待されている、ゾフルーザ(バロキサビル)について詳しく紹介します。
ゾフルーザは、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬と呼ばれる薬剤で、従来の抗インフルエンザ薬である、タミフルやイナビルとは作用機序が異なります。
そのため、タミフル耐性のインフルエンザウイルスが出現した時にも有効性が期待できます。
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Contents
【ゾフルーザの作用機序】キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬とは?
インフルエンザウイルスは、ウイルス表面に存在する赤血球凝集素(ヘマグルチニン)が、人の気道表面に接着することで感染します。
感染したウイルスは人の細胞内に入り込み、細胞内でmRNA(ウイルスのコアみたいなもの)を合成し、大量に増殖した後に細胞外に飛び出します。
もっと簡単に考えてみると、インフルエンザウイルスというのは、3ステップで増殖してインフルエンザ症状を引き起こしています。
ステップ1:感染(接着)
空気中に飛び散ったウイルスが、鼻や口などから人の体内に入ります。
体内に入ったウイルスは、そのまま体を通り抜けるわけではなく、気道の細胞表面に接着します。
これが感染です。
ウイルスが体内に侵入しても、そのまま体外に排泄されれば問題ないのですが、気道にくっつく性質があるため、簡単に感染してしまいます。
ステップ2:侵略の準備(増殖)
感染したウイルスは、人体を乗っ取るべく準備を始めます。
すぐに戦争を始めるわけではありません。
感染した細胞内に入り込み、その中で自分の分身を大量に複製します。
大量に分身を作り出し、人体の侵略に備えます。
ステップ3:侵略開始(放出)
人の細胞の一部を乗っ取り、その中で大量に分身を作ります。
作り出した分身を一気に放出することで、いよいよ侵略を開始します。
抗インフルエンザ薬はどう作用する?
ステップ1~ステップ3のいずれかを阻害するように設計されているのが、抗インフルエンザ薬です。
ゾフルーザはステップ2である、mRNAの合成を阻害します。
この際に阻害するタンパク質が、『キャップ依存性エンドヌクレアーゼ』と呼ばれるものです。
ちなみに・・・タミフルやイナビルは、ステップ3を阻害します。
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【ゾフルーザのDI情報】用法用量・効能効果
通常,成人及び12歳以上の小児には,20mg錠2錠又は顆粒4包(バロキサビル マルボキシルとして40mg)を単回経口投与する。
ただし,体重80kg以上の患者には20mg錠4錠又は顆粒8包(バロキサビル マルボキシルとして80mg)を単回経口投与する。
ゾフルーザは単回経口投与
単回経口投与で治療が完了というのが、ゾフルーザの大きな特徴です。
薬をもらってその場で(家に帰ってすぐ)内服してしまえば、後は安静にしておくだけです。
イナビルも1回で治療が完了しますが、こちらは吸入薬です。
『1回飲むだけ』
安っぽいCMみたいですが、これだけでめちゃめちゃ効きます。
ゾフルーザの効能効果
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【ゾフルーザの臨床成績】どれくらい効くの?(有効性)
12歳以上のインフルエンザウイルス感染症患者687例(日本人518例を含む)に本剤(バロキサビル マルボキシル40mg若しくは80mg)又はプラセボを単回経口投与時の有効性及び安全性を検討することを目的とした,無作為化二重盲検並行群間比較試験の結果は表7及び図3のとおりであり,プラセボに対する本剤の優越性が検証された。
添付文書より
タミフルと同等の有効性
成人においては、タミフルと比較した臨床試験が行われており、臨床症状の改善効果は同等で、臨床効果に差がない事が証明されています。
【ゾフルーザの副作用】安全性や異常行動について
成人及び12歳以上の小児を対象とした臨床試験における安全性評価対象例910例中,臨床検査値の異常変動を含む副作用は49例(5.4%)に認められた。
主なものは,下痢12例(1.3%),ALT(GPT)増加8例(0.9%)であった。
添付文書
主な副作用は下痢です。
異常行動については?
ゾフルーザに関しては、臨床試験段階での異常行動の報告はありません。
しかし、抗インフルエンザ薬の服用の有無又は種類にかかわらず、インフルエンザ罹患時には、異常行動を発現した例が報告されていますので、添付文書では抗インフルエンザ薬共通で異常行動に対する注意喚起が行われています。
しかし、インフルエンザ罹患時は、薬の使用に関わらず異常行動に注意しましょう。
Sincerely,
Hitouch
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【この記事の執筆者】
Hitouch「T」
HitouchLIFEという雑記ブログの管理人
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