こんにちはHitouchの「T」です。
@hitouch_life
βラクタム系抗菌薬って聞いたことありますよね?
『ベータラクタム』というのは、医療スタッフであれば一度は耳にしたことがある言葉だと思います。
しかし・・・
ベータラクタム系抗菌薬ってどんな薬?
こんなふうに聞かれても、なかなか答えられないのが正直なところだと思います。
今回はそんなβラクタム系抗菌薬をまとめていきます。
日常診療の参考にして下さい。
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Contents
【構造や作用機序】βラクタム系抗菌薬とは?
まずはβラクタム系抗菌薬の基本から確認していきましょう。
ベータラクタム系抗菌薬の構造(骨格)
βラクタム系抗菌薬はその構造に『βラクタム環』という骨格を持っています。
ベータラクタム系抗菌薬の作用機序(作用点)
βラクタム系抗菌薬は、細菌の細胞壁に存在するペニシリン結合蛋白(PBP)を阻害することで、細菌細胞壁の合成を阻害します。
ベータラクタム系抗菌薬は、細胞壁の合成阻害することで細菌の増殖を抑制し、抗菌活性を発現します。
ペニシリン結合タンパク(PBP)とは?
ペニシリン結合タンパク(PBP)というのは、細菌の細胞壁(ペプチドグリカン)合成に必要なタンパク質であり、このPBPを阻害すると細菌は細胞壁を作れなくなります。
このPBPを阻害するのがβラクタム系抗菌薬ですが、PBPが変異するとベータラクタム系抗菌薬が効かなくなってしまいます。
ベータラクタム系抗菌薬の一覧
ここからはβラクタム系抗菌薬というグループに属する抗菌薬を紹介します。
- ペニシリン系
- セフェム系(セファロスポリン)
- カルバペネム系
これらの抗菌薬がベータラクタム系に属する代表的な抗菌薬です。
*)モノバクタムという抗菌薬もありますが割愛します。
ペニシリン系の特徴は?
フレミングという人が発見した抗菌薬がペニシリンです。
世界中で非常に多くの命を救ってきた歴史のある抗菌薬です。
その長い臨床経験からエビデンスが豊富で、現在の実臨床でも大活躍している抗菌薬です。
近年ではβラクタマーゼ阻害薬との配合剤が開発され、より多くの細菌に効果を発揮できるようになりました。
非常に古い薬でありながら、特定のグラム陽性菌に対しては抜群の抗菌効果を持っていたりと、無くてはならない存在です。
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セフェム系(セファロスポリン・セファマイシン)の特徴は?
セフェム系とは、セファロスポリン・セファマイシン・オキサセフェム系の総称であり、専門家に『セフェム』という言葉を使用するとバカにされることがあるので注意が必要です。
本記事では分かりやすく『セフェム』でいきます!
第1世代から第4世代までのセフェム系が存在し、主に第1世代はグラム陽性菌に作用し、世代が新しくなるにつれて、グラム陰性菌への抗菌スペクトラムが広がります。
第3世代移行のセフェム系は組織移行性が良好で、セフトリアキソンは髄液移行も良好です。
第1世代のセファゾリンはグラム陽性菌への抗菌活性が良好で、MSSA(黄色ブドウ球菌)の治療では大活躍します。
カルバペネム系抗菌薬の特徴は?
カルバペネム系抗菌薬はペニシリンやセフェム系に比べてβラクタマーゼに安定で、ものすごく広い抗菌スペクトルを有しています。
グラム陽性菌、グラム陰性菌、嫌気性菌に緑膿菌・・・
まさになんでも来いというのがカルバペネム系抗菌薬です。
組織移行も良好で、メロペネムは髄膜炎にも使用することができます。
だからこそ“乱用”しないように注意しなければなりません。
何でも効くなら全部カルバペネムでいいじゃん!
実臨床でこんなふうに考えてしまう医師が未だに存在します。
この意識が耐性菌を惹起し、未来の健康被害を生む可能性があります。
【おまけ】カルバペネムが最強である3つの理由!
カルバペネム系抗菌薬が広域スペクトラムを有する理由をご紹介します。
OprD(D2ポーリン)を通過できる
カルバペネム系はグラム陰性菌の外膜に存在する通過孔(Oprd)を通り抜けることができます。
外膜内に侵入してPBPを攻撃することが可能であるために、多くの細菌に効果を発現することができます。
さまざまなPBPに親和性がある
細菌のPBPには様々なタイプがあって、中には抗菌薬が作用しにくいものも存在します。
カルバペネム系はいろんなタイプのPBPに作用することができるので、抗菌活性が幅広いです。
βラクタマーゼに安定
βラクタム系抗菌薬の天敵がβラクタマーゼとよばれる物質です。
細菌が作り出すβラクタマーゼは、βラクタム系抗菌薬を機能不全に陥らせることが可能です。
カルバペネム系はβラクタマーゼに安定で、細菌からの攻撃から身を護ることができます。
ベータラクタム系抗菌薬の注意すべき副作用は?
ベータラクタム系抗菌薬を使用する際に注意しなければならないのは『アレルギー』です。
抗菌薬の中でもβ-ラクタム系はアレルゲン性が高いことが知られており、特にペニシリン系を使用する際にはアレルギー反応にじゅうぶんな注意が必要です。
一種類のβラクタムでアレルギーがあるからといって、全てのベータラクタムでアレルギー反応が発現するということにはなりませんが、『アレルギーが出ない』という確証もありません。
ベータラクタムアレルギーのある患者へのベータラクタムの投与は、基本的には『避ける』という選択になるだろうと思います。
しかしそれでは、抗菌薬の選択肢が減ってしまって、重症感染症に対応できなくなることがあります。
そのような場合は『時と場合による』ということを忘れてはいけません。
アレルギーを恐れて治療が後手に回るのもまた・・・リスクです。
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Hitouch
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【この記事の執筆者/編集者】
Hitouch「T」
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