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【院内感染対策の基本】標準予防策と感染経路(接触・飛沫・空気)別予防策のまとめ

医療スタッフ全員が、ある一定以上の知識を持っておきたい疾患が「感染症」です。

とはいえ・・・

病態や病因は個々の患者によって様々で、感染症と一括りにすることは難しく、適切に病態を把握し、診断から治療に繋げていくには、かなり細かい知識が必要です。

感染の知識が大切だと分かってはいても、なかなか微生物の特徴までは覚えられませんよね。

多くの医療スタッフの専門分野は、きっと感染ではないでしょう。

『そこまで感染に力を入れられないよ!』

という気持ちはよく分かります。

しかし!!

医療スタッフであれば最低限知っておかねばならないことがあります。

標準予防策です。

医療スタッフにとって標準予防策は、知らなかったじゃすまされない、非常に大切な基礎知識です。

しっかりと頭にいれておきましょう。

院内感染対策で最も重要なのが標準予防策

院内感染対策における最重要事項が「標準予防策」です。

院内感染対策の充実は、医療機関にとって基盤や基礎を固める事を意味します。

そのため、多くの医療機関では、資金や人員を投資して感染対策を強化しています。

しかし、資金を投資して高価な物品を使おうが、専門家や偉い人たちがどれだけ会議を重ねようが、現場スタッフの標準予防策が徹底されてなければ全て台無しです。

標準予防策は感染対策の生命線です。

必ず身につけて、スタッフ全員が徹底しましょう!!

標準予防策って一体なに?

標準予防策では「すべての人が伝播する病原体を保有している」という考えを基本とします。

全ての患者(感染の有無によらない)の血液、体液、粘膜、損傷した皮膚を感染対策の対象とします。

つまり、感染症の患者のみを注意するのではなく、全ての患者に対して予防策を行う必要があるということです。

全ての基本は手指衛生(手洗い)!

 手指衛生が全ての基本です。

患者および周囲の環境に接触する前後には手指衛生(手洗い)を行います。

血液・体液・粘膜などに曝露するおそれのあるときは適切な個人防護具を用います。

患者周囲だけではなく、電子カルテや医療器具、病院内の手に触れる部分全てが標準予防策を行うべき対象です。

たとえ自分がトイレに行っていなくても、患者接触の前後には手指衛生を行いましょう。

何も触ってないなんてことはないはずです。

カルテやペンに触れているはずです。

患者ケアの前後には必ず手指衛生を行う必要があります。

手指衛生を基本とする標準予防策を徹底した上で、次に行うのが「感染経路別」予防策です。

感染経路別予防策とは?

感染経路は、接触感染飛沫感染空気感染の3種類です。

  • 直接接触もしくは間接接触によって伝播する接触感染
  • 咳やくしゃみによって発生する「飛沫」を通じて伝播される飛沫感染
  • 飛沫より小さな「飛沫核」が気流により遠方に広がって伝播される空気感染

それぞれの感染経路別に予防策が異なります。

こちらもきっちりと習得しましょう。

 

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接触感染とは?

接触感染は、直接手から手にウイルスや細菌が伝播していく感染様式です。

接触感染は、直接接触感染・関節接触感染の大きく2つに分類することができます。

直接接触感染

皮膚や粘膜の直接的な接触によって病原体が伝播する感染様式です。

感染者との直接接触により感染します。

関節接触感染

医療従事者の手や医療器具、手すりやタオルなど、物体の表面を介して、病原体が間接的に接触することで広がっていく感染様式です。

感染者のケアをする健常者の手に病原体が付着していると、直接感染者に触れていない第3者が感染することになります。

接触感染の代表疾患

  • インフルエンザ
  • プール熱
  • ノロウイルス
  • ロタウイルス
  • MRSA
  • 腸球菌
  • 結膜炎
  • 乾癬
  • などなど

接触感染予防策

手洗い!手洗い!!手洗い!!!

接触感染を予防するために出来る事は、とにかく手洗いをすることです。

手袋やエプロンなど、医療スタッフは患者ケアの際に「接触予防策」を行いますが、誰でもできる最も効果的な方法が「手洗い」です。

排泄物の処理にもじゅうぶんな注意が必要です。

 

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飛沫感染とは?

飛沫感染咳は、咳やくしゃみ、近距離での会話など、病原体を含む飛沫が直接短距離にある結膜や鼻粘膜、道粘膜などに付着して感染する感染様式です。

飛沫は直径5μm以上とされており、拡散範囲は1メートル以内だといわれています。

飛沫は大きくて重たいので空気中にとどまる事はできません。

ただし、咳やくしゃみの飛沫は約 2メートル飛散します。

飛沫感染の代表疾患

  • インフルエンザ
  • マイコプラズマ
  • 百日咳
  • 風疹
  • おたふく
  • などなど
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飛沫感染予防策

手洗い!うがい!!マスク!!!

手洗いうがいはもちろんの事、サージカルマスクを適切に着用することが大切です。

マスクは患者だけではなく、患者に接触する人も着用しましょう。

患者との至近距離(1メートル)での接触を避ける事も必要です。

飛沫感染では特別な空調(陰圧室)を必要とはしませんが、適切な換気を行うことは重要です。

空気感染とは?

病原体を含む飛沫は、水分が蒸発した後に5μm以下の「飛沫核」となり、その飛沫核が空気の流れにそって広く拡散します。

飛沫核は軽いので長時間広範囲にわたって病原体を広げます。

この飛沫核を吸引することで感染するのが、空気感染です。

空気感染の代表疾患

  • 結核
  • 水痘
  • 麻疹
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空気感染予防策

陰圧個室へ患者を隔離!!

N95マスク!

空気感染を予防するには特別な空調やN95マスク、知識や経験が必要です。

病原体が最も広く拡散するので、最も厄介な感染様式であるといえます。

 

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まずは標準予防策を徹底しよう

いくらきれいに清掃された病院であっても、いたるところに微生物は存在します。

健康な人には害がない微生物も、免疫力の低下した患者さんにとっては驚異です。

あなたが大丈夫でも、ケアを受ける患者さんは大丈夫ではないかもしれません。

医療機器を清潔にするのはもちろんですが、まずは自分の手をキレイにすることから始めましょう。

標準予防策の徹底が院内感染対策の基本であり、最も効果的な対策です。

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瀬古高行
医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。株式会社femto代表取締役。
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