こんにちはHitouchの「T」です。
@hitouch_life
幅広い抗菌スペクトラムと、高い安全性、経口投与の簡便さから臨床で汎用されている抗菌薬がマクロライド系抗菌薬です。
クラリスやジスロマックといった商品名は、医療スタッフでなくとも耳にしたことがあるというくらい有名な薬剤です。
本記事では、そんなマクロライド系抗菌薬についてまとめています。
日常診療の参考にして下さい。
ベータラクタム系に関してはこちらの記事にまとめています
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Contents
【構造や作用機序】マクロライド系抗菌薬とは?
まずはマクロライド系抗菌薬の基本から確認していきましょう。
マクロライド系抗菌薬の基本構造(骨格)
クラリスロマイシン
マクロライド系抗菌薬は、その基本構造から14員環・15員環・16員環に分類することができます。
クラリスロマイシンは14員環、アジスロマイシン(ジスロマック)は15員環です。
また、抗菌活性や組織移行性が改善された、比較的新しい世代のマクロライドを、ニューマクロライドとよぶことがあります。
マクロライド系抗菌薬の作用機序(作用点)
マクロライド系抗菌薬は、細菌のリボソーム50Sサブユニットに結合し、タンパク合成を阻害します。
マクロライド系抗菌薬のPK/PDパラメーター
マクロライド系抗菌薬のPK/PDは、AUC/MICです。
1日総投与量に依存した抗菌活性を示します。
【アジスロマイシン】PK/PD
アジスロマイシンのAUC/MICの目標値
- AUC/MIC≧25〜30(免疫正常者)
- AUC/MIC>100〜125(免疫低下者)
マクロライドの抗菌スペクトラム
マクロライド系抗菌薬は、ブドウ球菌や肺炎球菌などのグラム陽性菌に強い抗菌活性を示す他、マイコプラズマなどの細胞内寄生菌に対しても、強い抗菌活性を示します。
また、多くの嫌気性菌に対しても抗菌活性をもち、組織移行性が良いので、呼吸器系の感染症に汎用されています。
マクロライドはグラム陰性菌が苦手
マクロライドはグラム陰性菌があまり得意ではありません。
クラリスロマイシンやアジスロマイシンは、インフルエンザ菌に対しても抗菌活性を持つように改良されていますが、基本的にはあまり得意ではありません。
SPACEとよばれる院内感染(医療関連感染)の代表的な原因菌には抗菌活性を持ちません。
SPACEとは?
S:セラチア
P:緑膿菌
A:アシネトバクター
C:シトロバクター
E:エンテロバクター
これらの細菌の総称がSPACE(スペース)です。
各細菌(微生物)の詳細はこちらの記事をご確認下さい
マクロライド系抗菌薬の一覧
代表的なマクロライド系抗菌薬を紹介します。
【経口・注射】エリスロマイシン(エリスロシン)
古典的な14員環系マクロライドのエリスロマイシンです。
クラリスロマイシンや、アジスロマイシンなどのニューマクロライドが登場し、市場からは姿を消しつつある薬剤です。
たまーに耳鼻科のDr.が使っているのを見ることがあるかな?
【経口】クラリスロマイシン(クラリス・クラリシッド)
14員環系マクロライドの代表格といっても過言ではないでしょう。
ものすごく多くの症例に使用されているのが、クラリスロマイシンです。
組織移行性がよく、副作用が少ないことから、かなり汎用されている薬剤です。
その分、乱用の問題や、薬物相互作用の問題などを抱えています。
【経口】ロキシスロマイシン(ルリッド)
ロキシスロマイシンも14員環のニューマクロライドです。
クラリスロマイシンに比べると、処方量は少ないですが、現在でも皮膚科等で活躍しています。
【経口・注射】アジスロマイシン(ジスロマック)
15員環という新しい構造を持つマクロライドが、アジスロマイシンです。
血中や組織内での半減期が長く、500mgを3日間の内服で7日間効果が持続するなど、用法用量に特徴があります。
注射薬に関しては、投与方法や調整方法に注意が必要です。
*)添付文書必読です!
クラリスロマイシンに比べると、薬物相互作用が少ないというのも魅力的です。
ベータラクタム系に関してはこちらの記事にまとめています
マクロライド系抗菌薬の注意すべき副作用は?
マクロライド系抗菌薬は副作用が少なく、非常に安全性の高い薬剤です。
悪心・嘔吐・下痢などの消化器症状が発現することがありますが、比較的軽度です。
ジスロマックSRシロップは結構下痢になる印象がありますね・・・
あくまでも個人的な印象ですので、エビデンスレベルは低いです。
【クラリスロマイシン】薬物相互作用一覧
クラリスロマイシンの薬物相互作用には注意が必要です。
必ず添付文書でご確認下さい。
クラリスロマイシンの併用禁忌
- ピモジド
- エルゴタミン含有製剤
クラリスロマイシンの併用注意
- ジソピラミド
- テオフィリン
- シクロスポリン
- ワルファリン
- ベンゾジアゼピン系
- カルバマゼピン
- ジゴキシン
- SU剤
- リファンピシン
クラリスロマイシンは非常に使いやすいですが、薬物相互作用に注意しましょう。
特にMACやDPBなど、長期投薬になる場合は併用薬に注意しましょう。
Sincerely,
Hitouch
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【この記事の執筆者/編集者】
Hitouch「T」
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