こんにちはHitouchの「T」です。
@hitouch_life
読者様からご質問をいただきました。
感染制御認定薬剤師を目指しています。
細菌や微生物に関しての知識不足を感じています。
試験もあるので不安です。
グラム陽性菌とか陰性菌に分けて教えていただけないでしょうか?
各菌の特徴などをまとめていただけると幸いです。
お問い合わせありがとうございます!
感染の専門家なら知っておきたい細菌をピックアップして紹介します。
薬に関してのご質問はこちらまで!
いつもご質問ありがとうございます!
順番に回答させていただきます。
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感染の専門家なら知っておきたい細菌(微生物)の基本
細菌オタクじゃない限り普通の薬剤師が微生物に詳しくなるのは難しい!
細菌よりも覚えなければいけないことがたくさんあります。
膨大な数の細菌の名前や特徴を覚えようとしても限界があります。
感染制御専門薬剤師や、感染管理認定看護師など、臨床の医療スタッフとして仕事をするのであれば、マニアックな細菌の知識よりも、実臨床に応用できる細菌の知識を習得する必要があります。
微生物学的な覚え方をするよりも、臨床医療に近い形で覚えておくほうが役立つ知識として身につけられます。
そのためにもまずは細菌をざっくりと分類してみましょう。
細菌をざっくりと分類するために必要な知識が『グラム染色』と『好気性』です。
細菌をざっくりと分類することができるようになると、有効な抗菌薬を選択するのが容易になります。
グラム染色による分類ってなに?
まずはグラム染色という手段を用いて細菌を分類します。
グラム陽性菌とかグラム陰性菌という名前を聞いたことありますよね?
グラム陽性菌はグラム染色で青紫(紫)色に染まります。
グラム陰性菌はグラム染色で染まらず赤く見えます。
『陽性菌』に効きやすい抗菌薬と、『陰性菌』に効きやすい抗菌薬があるので、グラム染色で分類することは大切です。
好気性菌と嫌気性菌
次に知っておきたい細菌の分類方法は『酸素を必要とするかどうか』ということです。
酸素が必要な『好気性菌』と酸素を必要としない『嫌気性菌』に分けられます。
嫌気性菌はその名の通り「酸素が嫌い」なので、人体の生理的な酸素濃度では増殖しにくく、口腔内や腸管、創傷部など、低酸素な部位で増殖しやすい特徴があります。
クリンダマイシンやメトロニダゾールのように、嫌気性菌を得意とする抗菌薬は限られていますので、嫌気性菌を治療する際には抗菌スペクトラムに注意が必要です。
抗菌スペクトラムの詳細はこちらにまとめています。
覚えておきたいグラム陽性菌
臨床上問題となりやすいグラム陽性菌はグラム陽性球菌です。
まずはグラム陽性球菌から整理しましょう!
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)
みなさんご存知黄色ブドウ球菌です。
黄色ブドウ球菌はコアグラーゼという酵素を産生します。
人の皮膚や鼻腔、環境中にも容易に存在する常在菌です。
黄色ブドウ球菌が耐性化した細菌がMRSAです。
メチシリンという抗菌薬に感受性を示す黄色ブドウ球菌はMSSAとよばれます。
表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)
表皮ブドウ球菌はコアグラーゼ非産生菌であり、CNSとよばれています。
表皮というだけあって、人の皮膚などに常在している細菌です。
血管カテーテル関連感染症の原因菌となりやすいので、注意が必要です。
肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)
人の上気道の常在菌です。
市中肺炎の原因菌となる他、髄膜炎の原因菌としても重要です。
ペニシリン中等度耐性菌がPISP、高度耐性菌がPRSPとよばれ、近年問題となっています。
A群溶連菌(Streptococcus pyogenes)
溶連菌とよばれており、小児咽頭炎の原因となる細菌です。
創傷部からの感染によって壊死性筋膜炎の原因となりえます。
壊死性筋膜炎の治療ではトキシンショックを抑制するためにクリンダマイシン(CLDM)を併用します。
緑色レンサ球菌(Streptococcus viridans)
人の口腔内や皮膚などの常在菌です。
口腔内からの感染による心内膜炎の原因菌として重要な細菌です。
腸球菌(Enterococcus)
人の腸管内の常在菌です。
Enterococcus faecalis(フェカーリス)
臨床上問題となる腸球菌のひとつがフェカーリス(フェカリス)です。
E. faecalisにはアンピシリンが有効です。
Enterococcus faecium(フェシウム)
E. faeciumは多剤耐性であり、通常はバンコマイシンが使用されます。
バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)として問題となっているのが、E. faeciumです。
覚えておきたいグラム陰性菌
グラム陰性菌の中でも、グラム陰性桿菌とよばれるタイプの細菌が重要です。
インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)
鼻腔や咽頭などの上気道の常在菌です。
上気道感染症の原因菌となるだけではなく、肺炎や髄膜炎などの感染症を引き起こします。
βラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌(BLNER)が問題となっています。
大腸菌(Escherichia coli)
経口感染や尿路感染感染症の原因だけではなく、カテーテル関連の感染症の原因菌にもなります。
セラチア(Serratia marcescens)
環境中の常在菌です。
洗面所などの水回りにはどこからでも検出されます。
過去には注射薬のセラチア汚染が問題となったことがあります。
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)
緑膿菌は多くの抗菌薬に耐性を持っており、緑膿菌に感受性のある抗菌薬が『広域スペクトラム』の抗菌薬として扱われます。
日和見感染の原因菌として重要な他、多剤耐性緑膿菌(MDRP)にはじゅうぶんな注意が必要です。
アシネトバクター(Acinetobacter)
グラム陰性のMRSAとよばれることもあるアシネトバクターは、乾燥した環境中でも生き残りやすいという特徴があり、呼吸器や皮膚などに常在している他、ドアノブなどの環境中にも注意が必要です。
レジオネラ(Legionella pneumophila)
レジオネラにはβラクタム系抗菌薬は無効です。
ニューキノロンやマクロライドで治療する必要があります。
原因菌不明の場合において、レジオネラ感染“も”否定できない重篤な場合には、βラクタム系に加えて、ニューキノロンやマクロライドの併用を検討しましょう。
以上!
たくさんの細菌をご紹介しました。
活用いただければ幸いです。
Sincerely,
Hitouch
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【この記事の執筆者/編集者】
Hitouch「T」
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