こんにちはHitouchです。
@hitouch_life
抗菌薬に耐性を持つ、薬剤耐性菌(AMR)が世界中の問題となっています。
AMRって何?という方はこちらへ
抗菌薬(抗生物質)を過剰に使うことで、薬剤耐性菌が出現しやすい事が分かっています。
例えば、必要な検査を行わず、風邪に抗生物質を『ルーチン』で処方することは避けねばなりません。
一般的な風邪は『ウイルス感染症』であり、細菌感染症ではありません。
つまり、抗『菌』薬は、ウイルス感染である風邪には効果がありません。
参考記事
【抗菌薬適正使用】風邪に抗菌薬(抗生物質)は本当にダメなのか?
もちろん細菌感染に伴う風邪の場合には、抗菌薬が有効ですが、基本的に風邪は『ウイルス感染』です。
風邪だからといって、むやみやたらに抗菌薬を使うことは賢明ではありません。
そんな抗菌薬(抗生物質)ですが、実は人間以外にも使用されているって知っていましたか?
動物(家畜)に使用する抗生物質も適正使用が大切!?
参考
Drug resistance: Does antibiotic use in animals affect human health?
CDCによると、ヨーロッパで2万5千人、米国で2万3千人が、薬剤耐性菌による感染症で死亡していると推定されています。
世界では70万人が、薬剤耐性菌(AMR)感染によって死亡しているという報告もあります。
参考
2050年には、がんによる死亡率を上回るのではないかと懸念されています。
増え続けるAMRを抑制するためにも、『抗菌薬の適正使用』はとても重要です。
しかし・・・
抗菌薬というのは、臨床医療の現場で使用されるだけではありません。
農業や畜産業にも抗菌薬は必須なのです。
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抗生物質の適正使用:動物(家畜)編
農業分野において、米国や中国で抗生物質が多く使用されています。
米国FDAによると、米国で使用される抗菌薬の80%が、農業分野で使用されていると推定されています。
なぜこんなに多くの抗生物質が農業や畜産業で必要になるのでしょう?
家畜は免疫力が低下しやすい
家畜として飼育される動物は、野生動物と比較して、免疫力が低下しやすい環境下で生活しています。
狭いスペースで大量の家畜を飼育することで、動物に過度なストレスを与える事になります。
そのストレスが免疫系等を抑制することで、家畜は野生動物よりも免疫力が低下してしまいます。
また、繁殖周期も野生のそれとは異なります。
ハイペースで、無理やり繁殖することも、家畜の免疫力を低下させる要因の一つです。
家畜を食用として市場に出荷するためには、感染させるわけにはいけません。
そのためには、大量の抗菌薬が必要になります。
農業や畜産業で使用される抗菌薬は、医療で用いられる投与量とは比べ物になりません。
もちろん、『水産業』にも大量の抗菌薬が使用されています。
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抗菌薬適正使用を推進するなら知っておこう!
風邪の患者さんに『クラビット500mgが5日分』処方されました。
あなたがこの処方を見たら、疑義照会を行いますか?
処方内容をご確認下さい。
こんな事を言ってしまいそうな薬剤師さんいませんか?
ドキッとしたそこのあなた!
気を付けて下さいね。
確かに風邪に抗菌薬は効かない事の方が多いです。
AMRによって毎年70万人が死んでいます。
抗菌薬の適正使用を促すアクションプランは始まっています。
しかし・・・
AMRを取り巻く環境はもっと複雑なのです。
風邪に使われる抗菌薬よりも、家畜に使われる抗菌薬の方が圧倒的に多いのです。
背景を知った上で、目の前のクラビットの処方を止めましょう。
この患者さんにクラビットを処方しようがしまいが、AMRにはほとんど影響はないでしょう。
でも・・・それでも・・・
1人1人が出来る事をやりませんか?
ちっぽけな人間1人が出来る事なんて限られています。
1人が節電したところで地球温暖化は止まりません。
でも・・・それでも・・・
出来る事をやるのってなんかよくないですか?
AMR対策という観点では、この患者さんのクラビットを中止する意味はないかもしれません。
でも・・・それでも・・・
処方内容をご確認下さい。
Sincerely,
Hitouch
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【この記事の執筆者】
Hitouch「T」
HitouchLIFEという雑記ブログの管理人
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