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【抗菌薬適正使用】風邪に抗菌薬(抗生物質)は本当にダメなのか?

こんにちはHitouchです。
@hitouch_life

 

風邪の大部分はウイルス感染である。

 

これは医療従事者であれば当たり前の知識です。

 

うさぎさん

朝起きたら、喉が痛くて熱が38℃あるんです。

 

はいたっち

風邪ですね。
お薬出しときますね。

 

トランサミン+ムコダイン+アセトアミノフェン(頓服)

 

うさぎさん

あのー・・・抗生物質はいただけないでしょうか?

 

はいたっち

風邪の大半はウイルス感染症なので、合理的に考えれば抗菌薬は効きません。
だから処方しません。

 

うさぎさん

ここのクリニックは抗生物質を出してくれない!
こんなにしんどいのに!
SNSで拡散してやる!!

 

こういう事ってありませんか?

 

たしかに風邪の9割近くはウイルス感染症です。

 

抗菌剤は効きません。

 

しかし、人間は非合理的な生き物です。

 

いくら効かないと言われても、風邪の時に『抗生物質』を欲しがる人は後を絶ちません。

 

なぜ風邪に抗菌薬を使っては“いけない”のか?

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そもそも、なぜ風邪に抗菌薬を使ってはいけないのでしょうか?

 

抗菌薬というのは、『菌』を退治する薬です。

 

もう少し詳しく書くと『細菌』を退治する薬です。

 

つまり、ウイルスや真菌(カビの仲間)などには効果がありません。

 

効果がないだけならともかく、もっと恐ろしい事が起こります。

 

薬剤耐性菌の出現です。

薬剤耐性菌とはなにか?

抗菌薬に耐性を持つ細菌を、薬剤耐性菌といいます。

 

抗菌薬を使うと、ほとんどの細菌を死滅させることができます。

 

しかし、中には抗菌薬が効かない細菌がいます。

 

人間でも一緒ですよね。

 

インフルエンザが流行しようとも、一度も罹ったことがないという人だっているはずです。

 

抗菌薬が効かない『耐性菌』だけが生き残ることで、『耐性菌』がその領域を支配することになります。

 

抗菌薬を使うまでは、普通の菌と耐性菌がうまく共存していたので、耐性菌が異常に繁殖するという事はなかったのですが、抗菌薬によって生態系に乱れが生じてしまうと、耐性菌の天下になってしまいます。

 

その耐性菌が人体を攻撃し始めると、それはもう大変です。

 

なにせ、抗菌薬が効かないですから、人類には戦う方法がありません。

抗菌薬によって薬剤耐性菌が増える?

抗菌薬治療のポイントは『やるなら徹底的にやる』という事です。

 

徹底的に攻撃し、ターゲットとなる細菌を死滅させることを目標に治療します。

 

中途半端に攻撃してしまうと、細菌は死滅せず、ストレスだけがかかります。

 

ストレスがかかると、細菌はストレスから逃れるために『耐性』を獲得します。

 

人間も一緒ですよね。

 

職場で誰の目に見ても明らかないじめを受ければ、いじめた人がいなくなるか、自分が転職すると思います。

 

一方で、嫌味をチクチク言われ続けると、辞めるほどではないにしろ、ストレスがかかります。

 

しかし、徐々にそのストレスに慣れてきて、次第には無視出来るようになるかもしれません。

 

これが『耐性』です。

 

細菌も、抗菌薬で『チクチク』攻撃されると、耐性を獲得してしまいます。

なぜ風邪に抗菌薬は勧められないのか?

一般的に、内服(飲み薬)抗菌薬の効果は、たかが知れています。

*)薬によります

 

『セフェム(セファロスポリン)系』と呼ばれる薬剤は、内服してもほとんど吸収されない事が分かっています。

 

つまり、セファロスポリンを内服すると、『チクチク』細菌を攻撃することに繋がります。

 

いずれは耐性菌を惹起させてしまう可能性があります。

 

風邪はほとんどの場合ウイルス感染であり、抗菌薬は効きません。

 

効かないだけではなく、耐性菌を生み出す可能性があります。

 

だから、風邪に抗菌薬は使わない方が良い、という事です。

 

はいたっち

もちろん副作用もあるから、使わなくていいなら使わない方が良いよ!

 

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そうは言っても抗生物質は欲しいよね?

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このような理屈で説得されたとしても、抗生物質を希望する人が減るとは思えません。

 

理屈では分かっていても、熱もあるし、喉も痛いし、『念のため』抗菌薬を処方しておこう。

 

このような医師が多いのも事実です。

 

どうしますか?

 

どうやって抗菌薬を適正に使用しますか?

 

学会だけではなく、世界各国では、政府をあげて抗菌薬適正使用に取り組んでいます。

 

日本においても、各種学会が、専門家や医療機関に適正使用を促しています。

 

しかし、『念のため』の抗菌薬使用が後を絶ちません。

 

こうしている間にも、耐性菌は刻一刻と勢力を拡大しています。

 

地道な啓蒙活動で何とかなるテーマなのでしょうか?

 

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抗菌薬適正使用には検査方法の充実が必要

*)ここからは個人的な意見なです。

 

『風邪』に対する検査方法の充実が大切なのではないかと思います。

 

その『風邪』が、何ウイルスによるものなのかを判断できれば、そのウイルスに対する治療を行うことが出来ます。

 

ターゲットが分かれば、『念のため』に抗菌薬を使う必要がなくなります。

 

うさぎさん

そんなの無理だね!
できるならもうやってるよ!

 

はいたっち

まぁそう言わないでよ!
うさぎさん!

 

2018年です。

 

民間人が月に行ける時代です。

 

人が本気になればできると思いませんか?

 

製薬メーカーは、抗菌薬開発には後ろ向きで、新薬の出現は停滞しています。

 

『風邪』に関する大規模な臨床試験をおこなっても、メーカーにとって経済的なメリットはほとんどありません。

 

一方で、抗がん剤の開発はどんどん行われます。

 

バイオ関連で『一発当てれば』億万長者です。

 

また、生活習慣病も『お金になる』疾患です。

 

微々たる差を検出するために、血圧や糖尿、脂質異常症の臨床試験は山のように行われています。

 

本当に風邪の詳細な検査はできないのでしょうか?

 

アデノウイルスチェックなど、個々のウイルスに関する検査は可能です。

 

もっと汎用性が高く、迅速に行える検査方法が登場すれば、おのずと抗菌薬の使用量は減っていく事だろうと思います。

 

偉そうな事を書いてすみません。

 

各学会の皆様の頑張りを、陰ながら応援させていただきます。

 

はいたっち

風邪に抗菌薬はあんまりよくないよー!

 

Sincerely,

Hitouch

 

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【この記事の執筆者】
Hitouch「T」
HitouchLIFEという雑記ブログの管理人
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ABOUT ME
瀬古高行
医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。株式会社femto代表取締役。
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