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フリーランス薬剤師のはいたっちです!!
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糖尿病治療薬の中でも、インスリン抵抗性改善薬として知られる、チアゾリジン系のピオグリタゾン(商品名:アクトス)は、浮腫が起こることが知られています。
ピオグリタゾンは浮腫に注意、ということを知っている薬剤師は多くても、なぜ浮腫が起こるのか?ということを知っている薬剤師は少ないでしょう。
そこで今回は、ピオグリタゾンの薬理作用に加えて、浮腫が起こるメカニズムを紹介します。
おまけとして、一時期話題となった、チアゾリジン系と膀胱癌の関係も紹介します。
Contents
ピオグリタゾン(アクトス)の作用機序は?
ピオグリタゾンは、脂肪細胞の核内転写因子であるPPARγのアゴニストとして作用します。
ピオグリタゾンによって脂肪細胞の分化が促進され、脂肪前駆細胞は小型脂肪細胞に分化し、大型脂肪細胞はアポトーシスが促されます。
加えて、TNF-αの発現を抑制することで、インスリン抵抗性を改善することも分っています。
このように、ピオグリタゾンの作用機序は単一ではなく、様々な側面からアプローチして、結果的にインスリンの抵抗性を改善します。
ピオグリタゾンで浮腫が起こる薬理作用とは?
ピオグリタゾンの特徴の1つとして、尿細管でNaと水の再吸収を促進するという作用があります。この特徴が浮腫の原因となります。
尿細管でNaと水を再吸収することにより、体液貯留傾向を示します。
つまり、体液の貯留傾向により、全身性に浮腫が発現する可能性がありますので、特に心疾患を合併している患者には注意が必要です。
ピオグリタゾンは太るのか?
ピオグリタゾンによる体重増加は有名ですが、この原因の多くは体液の貯留にあります。
そのため、利尿剤を使用するなど、適切な対応を行うことで、体重をコントロールすることも可能です。
体重増加を嫌う患者には、しっかりと説明することが大切です。
チアゾリジンと膀胱癌との関係は?
ピオグリタゾンの服用によって膀胱癌のリスクが上がるという、センセーショナルなデータが出たのは、つい数年前のことです。
フランスでは、このデータが出たことによって、製品の回収措置等も行われました。
一方で、アメリカで行われた研究では、統計的に有意なリスク上昇は認められず、現在は日本も含めて『注意喚起』という状況です。
詳しくはPMDAのウェブサイトをご確認ください。
≫PMDA
ピオグリタゾン|アクトスのDI情報
アクトスのDI情報を記載しておきます。
効能効果
2型糖尿病
用法用量
SU/αGI/ビグアナイドと併用
通常、成人にはピオグリタゾンとして15〜30mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。なお、性別、年齢、症状により適宜増減するが、45mgを上限とする。
インスリンと併用
通常、成人にはピオグリタゾンとして15mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。なお、性別、年齢、症状により適宜増減するが、30mgを上限とする。
禁忌
- 心不全の患者及び心不全の既往歴のある患者
- 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者
- 重篤な肝機能障害のある患者
- 重篤な腎機能障害のある患者
- 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
薬価
薬 品 名 | 規 格 | 薬 価 |
---|---|---|
アクトス錠15 | 錠 | 60.6 |
アクトス錠30 | 錠 | 112.7 |
アクトスOD錠15 | 錠 | 60.6 |
アクトスOD錠30 | 錠 | 112.7 |