高額療養費制度をご存知ですか?
医療費による負担を減らすために、支払う医療費に上限額を設定できる制度です。
手術や検査だけではなく、ノーベル賞をとったオプジーボをはじめとする高額な抗がん剤の数々。
エビデンスのある治療を行うためには、患者の家計への影響を考慮することが大変重要です。
『自分は臨床スタッフだから医療費のことは関係ない』と知らないふりをするのではなく、高額療養費制度の要点くらいは把握しておく必要があります。
本記事は高額療養費制度のポイントをまとめています。
医師・薬剤師・看護師・・・
臨床スタッフの方もぜひこの制度について勉強してみてください。
いくらエビデンスがあっても、支払いができなければその治療はできませんよ。
参考資料
Contents
高額療養費制度(限度額適用認定証)ってなに??
医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月で上限額を超えた場合、その超えた額を支給するのが高額療養費制度です。
医療費というのは通常3割負担(1割負担の場合もある)です。
つまり、通常支払う医療費というのは総額の3割です。
総額が1万円の場合『自分が支払う医療費』は3000円です。
10000円×30%=3000円
自分が支払う医療費が、設定された上限額を超えた場合に、その額が支給されるのが高額療養費制度です。
そもそも医療費って??
医療費とは、保険の対象となる治療等のことです。
入院時の食事負担や差額ベッド代等は含みません。
個室費用などを医療費として計上することはできません。
【注意】高額療養費制度は『後から払い戻される』仕組み
高額療養費制度は、自己負担額を先に支払い、限度額を超えた分が、あとから払い戻される仕組みになっています。
そのため、一旦は自分でお金を支払う必要があります。
払い戻しが受けられるまでにタイムラグが発生しますので、その間は自分でお金を払い続けなくてはいけません。
『来月から抗癌剤治療が始まる』など、医療費が事前に分かっている場合には、限度額適用認定証を提示するのがおすすめです。
限度額適用認定証とは?
高額療養費制度を使えば、限度額を超えて支払ったお金があとから払い戻されるとはいえ、一時的な支払いは大きな負担になります。
そんな時に便利なのが限度額適用認定証です。
限度額適用認定証を、医療機関等の窓口に提示することで、1ヵ月の自己負担額が、自己負担限度額までとなります。
限度額適用認定証の取得方法
『限度額適用認定証』は、各健康保険の窓口に申請することで発行可能です。
国民健康保険の場合
自分が住んでいる市区町村の国民健康保険の窓口へ申請します。
協会けんぽの場合
健康保険証に『全国健康保険協会(協会けんぽ)』と書かれている場合は、協会の各都道府県支部に申請します。
組合健保
健康保険証に『〇〇健康保険組合』のように、企業や事業単位の健康保険組合の名前が書かれている場合は、その健康保険組合が窓口になります。
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高額療養費制度の自己負担上限額はいくら??
区分 | 所得区分 | 自己負担限度額 |
---|---|---|
ア | 健保:標準報酬月額 83万円以上 国保:賦課基準額 901万円超 | 252,600円+(総医療費-842,000円)×1% [多数回該当140,100円] |
イ | 健保:標準報酬月額 53万~79万円 国保:賦課基準額 600万円~901万円超 | 167,400円+(総医療費-558,000円)×1% [多数回該当93,000円] |
ウ | 健保:標準報酬月額 28万~50万円 国保:賦課基準額 210万円~600万円 | 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% [多数回該当44,400円] |
エ | 健保:標準報酬月額 26万円以下 国保:賦課基準額 210万円以下 | 57,600円 [多数回該当44,400円] |
オ | 住民税の非課税者等 | 35,400円 [多数回該当24,600円] |
70歳未満の方の自己負担限度額をお示ししています。
複雑なので覚える必要はありませんが、限度額は年収によって違うという事を覚えておきましょう。
年収500万の人(区分ウ)であれば、1月に支払う限度額が80,100円+αになります。
*)限度額以上に支払った分が、あとから返金されます。
さらに、多数該当という制度を利用することで、44,400円まで限度額を引き下げる事ができます。
多数該当ってなに??
直近の1年以内に、高額療養費の支給を同一世帯(同一の公的医療保険に加入)ですでに3回以上受けている場合に、4回目以降の自己負担限度額がさらに低くなる制度が多数該当です。
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高額療養費制度の申請方法と必要なもの
高額療養費の支給申請はどのように行えば良いでしょう?
高額療養費の支給をうけるためには、ご自身が加入している公的医療保険(健康保険組合・協会けんぽの都道府県支部など)に、高額療養費の支給申請書を提出または郵送することで支給が受けられます。
支給を受けるためには、病院などの領収書の添付を求められる場合もあります。
必ず領収書はとっておきましょう。
支給申請に必要なもの
- 領収書
- 保険証
- 印鑑
- 振込先の口座
- 本人確認書類(免許証・マイナンバーなど)
高額療養費の支給までにはどのくらいの時間がかかる?
高額療養費の支給申請を行い、必要書類を提出したのはいいけど、なかなか口座にお金が振り込まれない・・・なんてことがあります。
なぜなら、高額療養費の支給は、受診した月から少なくとも3か月程度かかります。
高額になることが分かっているのであれば、事前に『限度額適用認定証』を取得しておきましょう。
支給申請はいつまでさかのぼって行うことが可能?
高額療養費の支給を受ける権利の消滅時効は、診療を受けた月の翌月の初日か
ら2年です。
消滅時効にかかっていない高額療養費であれば、過去にさかのぼって支給申請することができます
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【この記事の執筆者】
Hitouch「T」
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