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フリーランス薬剤師のはいたっちです!!
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2019年8月、抗PD-L1抗体であるテセントリク(アテゾリズマブ)が、ついに小細胞肺がんの適応を取得しました。
オプジーボやキイトルーダ、イミフィンジなどの免疫チェックポイント阻害薬が使用できるのは『非小細胞肺がん』です。
肺がん全体の10~15%程度を占めているといわれる小細胞肺がんには、免疫チェックポイント阻害薬を使用することはできませんでした。
が!!
ついにテセントリクがその壁を越えてきました!!!
今回の適応取得におけるエビデンスである、IMpower133試験についてご紹介します。
- テセントリクは小細胞肺がんに対する国内初の免疫チェックポイント阻害薬。
- 小細胞肺がんは治療選択肢が少なく、テセントリクは多くの患者に貢献する可能性がある。
Contents
抗PD-L1抗体テセントリク(アテゾリズマブ)が適応拡大!
2019年8月22日、中外製薬株式会社は、抗PD-L1抗体であるテセントリク(アテゾリズマブ)に関して、進展型小細胞肺がんに対する適応拡大を発表しています。
今回の承認されるきっかけとなったのが、IMpower133試験です。
参考文献>>First-Line Atezolizumab plus Chemotherapy in Extensive-Stage Small-Cell Lung Cancer
IMpower133試験について分かりやすく紹介!
Mpower133試験は、化学療法未治療のES-SCLC患者さんを対象とし、テセントリクと化学療法(カルボプラチンおよびエトポシド)の併用と化学療法(カルボプラチンおよびエトポシド)単独を比較し、有効性および安全性を検討した多施設共同無作為化プラセボ対照の二重盲検国際共同第III相臨床試験です。
中外製薬
- 進展型小細胞肺がん
- ファーストライン
- テセントリク+CBDCA+VP16 VS CBDCA+VP16
- 評価項目:OS、PFS
小細胞肺がんの標準治療である、カルボプラチン+ラステットにテセントリクの上乗せ効果を検討しています。
結果(OS)
テセントリクと化学療法の併用は化学療法単独に比べ、全生存期間(OS)の延長を示した。
OS中央値:12.3カ月 vs 10.3カ月、ハザード比:0.70、95%信頼区間:0.54-0.91、p=0.0069
結果(PFS)
テセントリクと化学療法の併用は、化学療法単独に比べ患者さんの病勢進行を低下させることも示した。
無増悪生存期間(PFS)中央値:5.2カ月 vs 4.3カ月、ハザード比:0.77、95%信頼区間:0.62-0.96、p=0.017
安全性
テセントリクと化学療法の併用における安全性は、これまでに各薬剤で認められている安全性プロファイルと一致しており、3剤併用療法による新たな安全性のシグナルは確認されていません。
テセントリク(アテゾリズマブ)の基本情報|2019年9月
テセントリクの基本的な情報をご紹介します。
情報ソースは添付文書を使用しています。
効能効果
- 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
- 進展型小細胞肺癌
用法用量
化学療法未治療の扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者の場合
カルボプラチン、パクリタキセル及びベバシズマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはアテゾリズマブ(遺伝子組換え)として1回1200mgを60分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。
化学療法既治療の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者の場合
通常、成人にはアテゾリズマブ(遺伝子組換え)として1回1200mgを60分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。
進展型小細胞肺癌患者の場合
カルボプラチン及びエトポシドとの併用において、通常、成人にはアテゾリズマブ(遺伝子組換え)として1回1200mgを60分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。
小細胞肺がんについて
肺がんは組織型により小細胞肺がんと非小細胞肺がんに大別され、小細胞肺がんは全肺がんの約10~15%を占めるといわれています。
小細胞肺がんは腫瘍の進展が非常に早いことがしられています。
抗がん剤への反応がよく、抗がん剤治療が非常に効果的ですが、再発を防ぐことは難しいのが現状です。
もともと抗がん剤治療が効きやすい小細胞肺がんに対して、更なる上乗せ効果を示したテセントリクの今後の活躍に期待です!