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【デュルバルマブ】StageⅢ肺がんに使える免疫チェックポイント阻害薬

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アストラゼネカのデュルバルマブ(イミフィンジ)は、PD-L1をターゲットとした免疫チェックポイント阻害薬です。

がん細胞は、自分自身を守るために、人間本来の免疫機能にブレーキをかける能力を持っています。

抗PD-L1抗体であるデュルバルマブを投与することにより、がん細胞が持つ免疫抑制能力を阻害することが可能になります。

その結果、強化された自己免疫によって抗腫瘍効果が発揮されます。

今回はこのデュルバルマブについて詳しく、分かりやすく紹介していきます。

*)医療スタッフ向けの内容です

参考資料)添付文書・適正使用ガイド

デュルバルマブ(イミフィンジ)の基本

デュルバルマブは、切除不能な局所進行非小細胞肺がん治療薬として承認された抗PD-L1抗体です。

*)2019年9月記事執筆時の情報です

デュルバルマブの効能効果

切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法

デュルバルマブの用法用量

通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回10mg/kg(体重)を2週間間隔で60分間以上かけて点滴静注する。

ただし、投与期間は12カ月間までとする。

デュルバルマブの薬価

イミフィンジ 500mg458,750円
イミフィンジ 120mg112,938円

デュルバルマブ(イミフィンジ)の作用機序

デュルバルマブは、PD-L1を標的としたモノクロナール抗体です。

PD-1とPD-L1という2つ物質が結合することで、T細胞の活性化反応が停止します。

つまり、この反応によって自己免疫にブレーキがかかるということです。

多くのがんでは腫瘍細胞上にPD-L1が過剰発現していることが分かっており、PD-1とPD-L1の結合を阻害することができれば、免疫機能抑制を阻害することが可能になります。

デュルバルマブを投与することで、PD-1とPD-L1の結合を阻害することができるため、自己免疫機能が活性化し、抗腫瘍効果を発現します。

デュルバルマブのようなタイプの薬剤のことを、免疫チェックポイント阻害薬といいます。

PACIFIC試験:デュルバルマブの臨床試験

デュルバルマブが日本で承認されるきっかけとなったのが、PACIFIC試験です。

PACIFIC試験について簡単に紹介します。

StageⅢ非小細胞肺がんの標準治療

PACIFIC試験の対象患者となったのが、切除不能StageⅢの非小細胞肺がんです。

切除不能StageIII 非小細胞肺がんの標準治療は、プラチナ併用化学療法と放射線療法の同時治療です。

StageⅢ非小細胞肺がんは、標準治療を行っても5年生存率はわずか15~30%であり、免疫チェックポイント阻害薬による新たな治療が期待されていました。

そのターゲットに対して、良好な結果を出したのがデュルバルマブです。

PASIFIC試験の詳細

以下にPASIFIC試験の詳細を記載します。

対象

化学放射線同時併用療法後に進行していない切除不能StageIII非小細胞肺がん患者

試験方法

StageⅢ非小細胞肺がん患者で、プラチナベースの化学療法と放射線の同時治療を2サイクル以上受けて、腫瘍が進行していない患者が対象。

化学放射線療法後、デュルバルマブ(2週おきに10mg/kg)かプラセボを、最長で12カ月間投与。

結果

OS中央値:デュルバルマブ群は未達、プラセボ群は28.7ヵ月。デュルバルマブ群で有意に改善した(HR:0.68、99.73%CI:0.47~0.997、p=0.0025)。

PFS:デュルバルマブ群17.2ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月。デュルバルマブ群で改善(HR:0.51、95%CI:0.41~0.63)。

Grade3~4の有害事象はデュルバルマブ群の30.5%、プラセボ群の26.1%で発現。

結論

デュルバルマブはプラセボと比較し、有意に切除不能StageIII NSCLC 患者のOSを延長した。

参考文献:Durvalumab after Chemoradiotherapy in Stage III Non–Small-Cell Lung Cancer

デュルバルマブの主な副作用や有害事象

PACIFIC試験において、475例中322例(67.8%)に副作用が発現しました。

  • 甲状腺機能低下:10.5%
  • 下痢:9.7%
  • 肺臓炎:9.1%
  • 発疹:7.8%
  • など

肺臓炎に関して

化学放射線療法によって放射性肺臓炎の可能性があり、その後に免疫チェックポイント阻害薬を投与することで、肺臓炎が高率に発生することが懸念されていましたが、PACIPIC試験の結果、デュルバルマブもプラセボも肺臓炎の発現は大差なくデュルバルマブの忍容性は良好であると結論付けられています。

デュルバルマブ(イミフィンジ)のまとめ

まとめ
  • デュルバルマブは、StageⅢ非小細胞肺がんの化学放射線療法後の維持療法として使用することで、生存期間延長に寄与できる薬剤です。
  • 2019年6月現在、StageⅢ非小細胞肺がんの化学放射線療法後に使用される免疫チェックポイント阻害薬はデュルバルマブのみです。
  • 治療選択肢が限られていたStageⅢ非小細胞肺がんでしたが、デュルバルマブが登場したことにより、長期的な視点で化学療法の治療計画を行うことが可能になりました。

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瀬古高行
医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。株式会社femto代表取締役。
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