経口抗がん剤といえば何を思い浮かべますか?
日本人ならティーエスワン(S-1)ですよね!!
S1は、注射用抗がん剤とセットで使用したり、単剤で使ったり、使用方法も適応がん種も幅広い薬剤です。
更にS1は、効果もしっかりしていれば、副作用も“しっかり”発現する薬剤です。
副作用マネージメントにも気を配る必要があります。
本記事では、そんなティーエスワンについてまとめています。
【ご注意】
2018年11月27日時点の情報です。
最新情報は添付文書等をご覧ください。
参考資料
- 添付文書
- 適正使用ガイド
- 総合製品情報概要
- がん診療レジデントマニュアル
Contents
【DI情報】ティーエスワン(S1)の基本
S1は、『テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム』という3種類の有効成分がセットになった配合剤です。
『テガフール』という成分が、生体内で『フルオロウラシル』に変換されることで、抗腫瘍効果を発揮します。
ティーエスワン(S1)の適応疾患
- 胃癌
- 結腸・直腸癌
- 頭頸部癌
- 非小細胞肺癌
- 手術不能又は再発乳癌
- 膵癌
- 胆道癌
S1は様々ながん種に使用することができます。
さらに胃がんにおいては、術後化学療法としての有効性が証明されています。
術後化学療法の新しい知見をご紹介します。
胃がん術後補助化学療法における、S1とドセタキセル併用の有用性を検討した、START-2という臨床試験です。
JACCRO GC-07(START-2試験):S1+DTX
米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)において、S1の新たな有効性が報告されています。
ステージⅢの胃がん患者は、手術の後に『再発を防止する目的』で術後補助化学療法を行います。
従来、胃がんの術後補助化学療法には、S1が単独で使用されていました。
しかしSTART-2試験の結果、S1とドセタキセルの併用が、S1単独に比べて有意に無再発生存期間を延長させました。
今後、ステージⅢ胃がんの術後補助化学療法は、S1+DTXが標準療法となる可能性があります。
ティーエスワン(S1)の用法用量
通常、成人には初回投与量(1回量)を体表面積に合せて次の基準量とし、朝食後及び夕食後の1日2回、28日間連日経口投与し、その後14日間休薬する。
これを1クールとして投与を繰り返す。
- 1.25m2未満 :40㎎/回
- 1.25m2以上~1.5m2未満:50mg/回
- 1.5m2以上:60㎎/回
*)S1は添付文書通りの用法用量で使用しないことも多い薬剤です。
腎機能障害患者への投与
S1を腎機能障害患者に投与する際には、投与量に注意が必要です。
必ずクレアチニンクリアランスを確認しましょう。
クレアチニンクリアランス(CCr)
80(mL/min)≧:初回基準量
80> ≧60:初回基準量(必要に応じて1段階減量)
60> ≧30:原則として1段階以上の減量#(30~40は2段階減量が望ましい)
30<:投与不可
ティーエスワン(S1)の禁忌
- 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
- 重篤な骨髄抑制のある患者
- 重篤な腎障害のある患者
- 重篤な肝障害のある患者
- 他のフッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤
- フルシトシンを投与中の患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
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ティーエスワン(S1)の薬理作用
S1には『テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム』という3種類の有効成分がふくまれています。
テガフールの作用
テガフールはフルオロウラシルのプロドラッグです。
生体内で徐々にフルオロウラシルに変換されることで抗腫瘍効果を示します。
ギメラシルの作用
フルオロウラシルは、DPDという酵素で分解されてしまいます。
ギメラシルにはDPDの働きを阻害する作用があります。
ギメラシルによって、テガフールの抗腫瘍効果は増強されます。
オテラシルカリウムの作用
オテラシルは消化管粘膜に高濃度に作用し、副作用を予防する働きがあります。
副作用を予防することで、より高濃度の薬剤を使用することができます。
つまり、副作用を予防することは有効性を向上させることにもつながります。
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ティーエスワン(S1)の副作用
S1の代表的な副作用を記載しておきます。
消化器症状
- 悪心・嘔吐
- 下痢
- 食欲不振
下痢の副作用が生じる可能性があります。
支持療法や減量休薬を駆使して、適切に管理することが重要です。
骨髄抑制
骨髄抑制が生じます。
骨髄抑制が用量制限毒性(DLT)です。
流涙【特徴的!】
S1内服により、涙管が閉塞し流涙が誘発されることがあります。
必要時には眼科受診も考慮しましょう。
Sincerely,
Hitouch
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【この記事の執筆者】
Hitouch「T」
HitouchLIFEという雑記ブログの管理人
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