GERD(胃食道逆流症)治療の目的は、症状をコントロールし、QOLを向上させることです。
第一選択薬となるのは、プロトンポンプ阻害薬(PPI)もしくは、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)という薬剤です。
本記事では、GERD治療に欠かせないPPIやP-CABの特徴を紹介します。
参考書籍
胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2015(改訂第2版)
H.pylori感染の診断と治療のガイドライン 2016改訂版
Contents
胃食道逆流症(GERD)とは一体??
胃食道逆流症(GERD)とは、主に胃の中の酸が食道へ逆流することにより、胸やけや、胃酸の逆流(酸っぱい液体が上がってくる感じ)などの、不快な自覚症状を主症状とする病態です。
病状が悪化すると、自覚症状だけに留まらず、食道炎(食道の粘膜がただれる)など、器質的な病変も出現します。
非びらん性胃食道逆流症(NERD)
食道炎がなく、自覚症状のみの場合NERD(Non-Erosive Reflux Disease)といいます。
逆流性食道炎(びらん性胃食道逆流症)
自覚症状の有無によらず、食道炎がある場合、逆流性食道炎といいます。
GERDではQOLの低下が問題となる
GERDの治療目的は自覚症状を改善し、QOLを向上させることです。
GERDは致死的な病態ではありませんが、その不快感によって著しくQOLが低下します。
その不快感(自覚症状)を取り除くことが、GERD治療の目標です。
その第一選択薬となるのが、本記事でご紹介するPPIとP-CABです。
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PPIの特徴やメリット・デメリット
PPIは世界中で数多く処方され、安全性も高い薬です。
GERDによる自覚症状の改善効果が期待できるだけではなく、NSAIDsや低用量アスピリンによる消化性潰瘍の予防にも使用することができます。
一方で、そんなPPIにもいくつかの課題があります。
酸に不安定
PPIは酸性環境下で極めて不安定な性質をもっています。
そのため、腸溶性製剤として設計されています。
作用時間が短い
作用時間が短く、夜間の酸分泌亢進を十分にコントロールできないといわれています。
CYP2C19で代謝される
PPIはCYP2C19という代謝酵素で代謝されます。
CYP2C19は遺伝子多型の存在し、CYP2C19の代謝活性型の人とCYP2C19欠損型の人がいることがわかっています。
CYP2C19の代謝活性型の人は、PPIを代謝しやすい体質であると言えます。
遺伝子多型によって、PPIの効果に差が生じることがあります。
併用薬剤に注意
CYP2C19で代謝される薬剤との併用には注意が必要です。
代謝酵素が競合することにより、併用薬の血中濃度が変化します。
【注意】クロピドグレルとの併用
クロピドグレルは、冠動脈ステント留置後に、アスピリンと併用で長期間服用します。
アスピリンによる消化管障害予防のためにPPIを使う際には十ご注意ください。
クロピドグレルが効かないというのは、生命の危機を意味するよ!
クロピドグレル+アスピリンの処方には気をつけよう!!
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P-CABの特徴
カリウムイオン競合性アシッドブロッカー(P-CAB/ボノプラザン)は効果発現が早く、長時間効果が持続します。
PPIの代わりにヘリコバクター・ピロリの除菌に用いることで、1次除菌で9割近い除菌率を得ることができます(国内PhaseⅢより)。
CYP2C19の影響も少ないことが知られています。
P-CABは、PPIよりも強く酸分泌を抑制する事が知られており、非常に期待されている薬剤です。
Sincerely,
Hitouch『T』
参考書籍
胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2015(改訂第2版)
H.pylori感染の診断と治療のガイドライン 2016改訂版
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【この記事の執筆者】
Hitouch「T」
HitouchLIFEという雑記ブログの管理人
医療・投資・自己啓発系のライティングを得意とする医療ライター
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