医薬品解説

【在宅医療を行う薬剤師さんへ】簡易懸濁法を導入して業務効率大幅アップ!!

 

「簡易懸濁法により錠剤が溶ける」とよく言われます。

「溶ける」は個体が液体になる状態ですが、錠剤には水に溶けない添加物が入っています。

そのため「溶ける」錠剤はほとんどありません。

簡易懸濁法では錠剤の形が壊れ(崩壊)、懸濁するのです。

本当に溶けると思う方もいるので、「溶解する」「溶ける」という言葉は使わないようにご注意下さい。

内服薬経管投与ハンドブックより

参考書籍

内服薬 経管投与ハンドブック 第3版

 

簡易懸濁法って知ってますか?

 

簡易懸濁法は内服薬を『経管投与』するための方法です。

 

病院などの大きな医療施設では広く普及していますが、介護施設や薬局規模ではまだまだこれからというのが現状です。

 

本記事では、簡単に簡易懸濁法について紹介します。

 

簡易懸濁法の詳細は、参考書籍をご覧下さい。

 

参考書籍

内服薬 経管投与ハンドブック 第3版

 

簡易懸濁法の基本!簡易懸濁法とは何か?

内服薬 経管投与ハンドブック 第3版

参考書籍

内服薬 経管投与ハンドブック 第3版

 

簡易懸濁法とは、内服薬を経管投与(胃ろうや経鼻チューブなど)する際に、錠剤を粉砕したりカプセルを開封したりせずに、錠剤・カプセル剤をそのまま温湯に崩壊懸濁させて投与する方法です。

 

多くの調剤現場では、経管投与の指示であるにもかかわらず、粉砕調剤や“つぶし”が行われています。

 

水に入れればすぐに崩壊する錠剤やカプセルであれば、あえて粉砕する必要はない、という考えのもとに、簡易懸濁法は考案されています。

 

実際にやってみると分かりますが、粉砕するのも大変な労力がかかりますし、粉砕した“粉末状の薬”をシリンジで懸濁するのも大変です。

簡易懸濁法のメリットとは!?

簡易懸濁法には様々なメリットがあります。

 

  • 薬剤師へのメリット
  • 看護師・介護スタッフへのメリット
  • 患者へのメリット

 

錠剤の『粉砕』がなくなるだけで、多くのメリットが生まれます。

薬剤師へのメリット:調剤負担減少

粉砕調剤というのは大変な労力がかかります。

 

全自動錠剤分包機や粉砕機が導入されている医療機関ならともかく、数人の薬剤師で調剤を行う調剤薬局で、多くの粉砕調剤を行うのは無理があります。

 

簡易懸濁法の知識があれば、不要な粉砕調剤調剤をする必要はありません。

 

大幅な業務効率の向上に繋がります。

薬剤師へのメリット:薬剤暴露の減少

抗がん剤への『暴露』対策は当たり前のように行われています。

 

では、抗がん剤以外の薬剤は暴露しても良いのでしょうか?

 

散薬調剤というのは、薬剤暴露の危険性を避けられません。

 

粉砕調剤となると尚更です。

 

簡易懸濁法によって粉砕調剤を避けられれば、薬剤暴露のリスクは低下します。

看護師へのメリット:懸濁が容易になる

経管投与をするためには、シリンジの中で薬剤を懸濁しなければいけません。

 

シリンジの中に薬剤を入れる際に、粉末と錠剤であればどちらが入れやすいですか?

 

どう考えても錠剤ですよね。

 

粉末であれば『こぼしたら』おしまいです。

 

簡易懸濁を導入すれば、投与時の懸濁も容易になります。

看護師へのメリット:薬剤暴露の減少

懸濁時にも薬剤暴露の危険があります。

 

粉末状の薬剤は、薬包紙を開けた途端に飛散します。

 

粉砕した錠剤であれば、様々な種類の薬剤が“粉末状”になっているはずです。

 

その粉末を知らない間に吸い込んでいます。

 

それで本当に大丈夫ですか?

 

どんな成分か知っていますか?

 

簡易懸濁法によって、このような不安を解消することができます。

患者へのメリット:正確に1回量を投与できる

粉砕による薬剤のロスかなくなるため、患者にも大きなメリットがあります。

 

いくら上手に調剤しても、粉砕して分包する過程で、成分量は変化します。

 

14日分をまとめて粉砕して分包すれば、1回あたりの成分量が均一である保証はどこにもありません。

 

厳密に管理されたメーカーの製造ラインで作られた状態のまま投与するほうが精密です。

 

このように、簡易懸濁法の知識や技術を身につけることで、調剤時・懸濁時・投与時などの様々な場面で、多くのメリットがあります。

 

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酸化マグネシウム(カマ)を経管投与してませんか?

参考書籍

内服薬 経管投与ハンドブック 第3版

 

下剤として多くの患者に使用される酸化マグネシウム、通称『カマ』。

 

カマは散薬(こな薬)です。

 

カマを経管投与すると、結構な頻度でチューブを閉塞させます。

 

“散薬なのに”です。

 

経管投与の患者だから、“わざわざ”散薬を処方しているにもかかわらず、チューブが閉塞するのです。

 

一方で、『マグミット』という酸化マグネシウムの錠剤があります。

 

マグミットを水に入れれば、すぐに崩壊して投与することができます。

 

加えて、粒子径が小さいので、チューブを閉塞させることはありません。

 

このように、粉砕しないほうが経管投与に適する場合もあります。

 

簡易懸濁について学ぶ事で、多くの手間を省くことが可能になるかもしれません

 

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粉砕指示の『理由』を確認しよう

嚥下困難だから粉砕するのか?

 

経管投与するために粉砕するのか?

 

なんのための粉砕するのか?

 

粉砕調剤を行う際には、粉砕理由を確認することが大切です。

 

“よかれ”と思って出した粉砕指示が、手間だけを生んでいるという可能性もあります。

 

簡易懸濁を導入するだけで、劇的に業務効率が改善するかもしれません。

簡易懸濁できるのかどうかはどうやって調べるの?

はいたっち

ムコスタって簡易懸濁できるの?

 

簡易懸濁を導入すると、個々の薬剤が懸濁できるのかどうかが気になりますよね?

 

そんな時は内服薬 経管投与ハンドブック 第3版です!!

 

Amazonで買えるので、薬局や施設には、必ず1冊は置いておきましょう。

 

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Sincerely,

Hitouch

 

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【この記事の執筆者】
Hitouch「T」
HitouchLIFEという雑記ブログの管理人
医療・投資・自己啓発系のライティングを得意とする医療ライター
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ABOUT ME
瀬古高行
医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。株式会社femto代表取締役。
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