こんにちはHitouchです。
@hitouch_life
骨粗鬆症は高齢者で発症頻度が高い疾患です。
日本では、高齢化と相関するように患者が増加しており、現在の患者数は1300万人以上と推定されています。
高齢化に歯止めがかからない日本において、骨粗鬆症対策は重要な課題といえます。
本記事では、骨粗鬆症の基本から予防方法までを詳しく紹介します。
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Contents
骨粗鬆症っていったいどんな病気?
骨粗鬆症は「骨強度の低下により骨折リスクの増加をもたらす骨疾患」と定義されます。
加齢やその他の要因によって骨の強度が低下する事で、骨折リスクが増加します。
その結果、生活の質が著しく侵害されてしまいます。
生活の質が低下することにより、更に身体活動量が低下していきます。
この一連の悪循環が骨粗鬆症の問題点です。
骨強度って何のこと?
骨強度とは「骨の強さ」のことです。
骨強度を規定するのが「骨量」と「骨質」です。
つまり、「骨の量」と「骨の質」によって、骨の強度が決まるという事です。
骨強度には、骨量あるいは骨密度が70%、 骨質が30%影響するといわれています。
骨密度検査!DXA(dual-energy X-ray absorptiometry)法
DXA(dual-energy X-ray absorptiometry)法とは、精密な骨密度の測定法です。
DXA法は精度・感度共に優れており、エビデンスも豊富ですが、実施可能施設が限られるのが問題です。
骨折リスクが高い症例を、いかにして「簡便に」スクリーニングするかというのが大きな課題です。
FRAXって知ってる?
FRAXは世界保健機構(WHO)が公開している、骨折リスクの判定ツールです。
参考 FRAX
FRAXに患者情報を入力することで、骨折危険率を算出することができます。
骨密度測定が実施できなくても、リスク率を算出することが可能です。
簡易的なスクリ―ニング法として、実際に活用されています。
こんなにあるの?骨粗鬆症の治療薬
治療薬の進歩によって、骨粗鬆症は治療可能な疾患になりつつあります。
適切に治療することで、骨折リスクを有意に予防できるという根拠があります。
代表的な骨粗鬆症治療薬を紹介していきます。
活性型ビタミンD3製剤
ビタミンDにはCa(カルシウム)の代謝を調節する作用があります。
骨を丈夫にするためには、CaだけではなくビタミンDも必要です。
ビタミンDは肝臓や腎臓で活性化されることで、活性型ビタミンD3となり、骨を丈夫にします。
「活性型」のビタミンD3を投与することで、ビタミンの活性化が行われずとも、Caの代謝を調節することが可能です。
カルシトニン製剤
カルシトニンは甲状腺で産生されるホルモンです。
骨吸収を抑制する作用を有しています。
骨吸収の抑制とは、骨が脆くなるのを阻害するという事です。
つまり骨は丈夫になります。
Ca(カルシウム)補給剤
骨の成分であるCaを直接補給するという考え方です。
牛乳で骨を丈夫にしましょうというのと一緒(?)です。
しかし、Caだけ補給しても効果は乏しく、活性型ビタミンD3と併用することが望ましいです。
ビスホスホネート製剤
原発性骨粗鬆症患者の椎体骨折や大腿骨頸部骨折の発生を50%低下させることが知られています。
骨折リスクが高い症例では第一選択薬として用いられます。
骨折リスクの抑制だけではなく、疼痛緩和にも有用であることが知られています。
ビスホスホネート製剤が骨粗鬆症治療のキードラックです。
抗RANKL抗体
骨破壊には「破骨細胞」という細胞の働きが関係しています。
この破骨細胞の形成や活性化に関わるのが「RANKL」です。
抗RANKL抗体はRANKLの働きを阻害します。
破骨細胞の働きが低下しますので、骨が破壊されにくくなるという作用です。
SERM
閉経後の女性に用いられる薬剤です。
骨において女性ホルモンである「エストロゲン」と同様の働きをすることで、骨を丈夫にする作用を示します。
エストロゲンの低下によって骨密度が低下している女性患者には、高い効果が期待できます。
男性や閉経前の女性には適応がありません。
その他
ビタミンK製剤・ステロイド・副甲状腺ホルモン製剤などが臨床使用されています。
患者の病態や症状に応じて、これらの薬剤を組み合わせながら治療していきます。
骨粗鬆症にはチーム医療が大切
治療薬が進歩する一方で、骨折の発生率が低下しない事が問題となっています。
高齢化によって患者数が著しく増加している事が大きな要因です。
しかしそれ以外に、医師だけでは適切な患者教育が行えていない、という事が問題視されています。
骨粗鬆症マネージャー
より一層充実した骨粗鬆症の予防、診断と治療とを提供し、また広く社会啓発活動を行うことで、超高齢社会における健康格差の縮小と健康寿命の延伸に貢献することを目指し、学会として「骨粗鬆症リエゾンサービス」(Osteoporosis Liaison Service、OLS)の役割を担う、骨粗鬆症に関する知識を有するメディカルスタッフを専門スタッフとして認定する制度です。
骨粗鬆症学会
今後益々増加することが懸念される骨粗鬆症患者のサポートをするために、「骨粗鬆症マネージャー」という資格制度が立ち上がっています。
骨折リスクを評価してスクリーニングを行ったり、患者教育に従事したり、継続した服薬指導や服薬確認をする事が期待されています。
骨折を「予防」するために「治療」している
骨粗鬆症治療の目的は「骨折リスクを減少させる」ことです。
つまり、未然に骨折を防ぐ事が目標です。
そのためにも継続したフォローアップや、栄養や運動などの薬物療法以外の患者教育が必須です。
骨粗鬆症患者は今もなお増加し続けており、医師だけでは全ての患者をサポートすることはできません。
だからこそ、高度な知識を持つ医療スタッフの育成が望まれています。
骨粗鬆症はチーム医療の力が存分に発揮できる分野です。
これからも骨粗鬆症は増え続けます。
骨粗鬆症マネージャーの需要も拡大します。
この機会に資格取得を検討してみてはいかがでしょうか?
そしてチーム医療の力で、骨粗鬆症患者を支えていきましょう!
Sincerely,
Hitouch
参考書籍
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