こんにちは!
フリーランス薬剤師のはいたっちです!!
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薬剤師をやっていると、たびたび目にする『慢性胃炎』という病名。
でもちょっと待って下さい!
慢性胃炎っていったいどんな病気なんでしょうか?
それって本当は、機能性ディスペプシア(FD)じゃないですか?
そこで今回は、慢性胃炎や機能性ディスペプシア(FD)の基本と、その治療方法を解説します。
漠然と胃が痛いという患者さんに、慢性胃炎という病名をつけていませんか?
機能性ディスペプシアとは?慢性胃炎との違いは?
機能性ディスペプシア(FD:Functional Dyspepsia)は、胃もたれやみぞおちの痛みなど、胃の不快な症状が続いているにもかかわらず、内視鏡で見ても特に異常が見られない病気です。
このように、胃の粘膜など目に見える異常がない(器質的な変化がない)のに、胃の働き=機能に問題があるのがこの病気の特徴です。
明治ホームページより
- 胃がむかむかして、なんだかずっと胃が痛い
- 病院で検査をしてみたが、特に異常はない
このような病気を、機能性ディスペプシア(FD)といいます。
FDと慢性胃炎との違いは?
胃がむかむかするって…それ胃炎じゃないの?と思われるかもしれませんが、FDには器質的病変(目で見てわかるような明らかな異常)がありません。
慢性胃炎の場合は、文字通り胃に炎症が起こっています。
慢性胃炎では、長期間の炎症によって、胃粘膜が委縮している場合が多く、萎縮性胃炎と呼ばれます。
胃炎の原因はピロリ菌
萎縮性胃炎の原因の大半は『ピロリ菌』です。
ピロリ菌によって胃に炎症が生じ、慢性的に胃炎が生じます。
FDには器質的な病変がない
一方で、FDの場合は胃粘膜の萎縮などの器質的な病変はみとめられません。
このあたりが、FDと慢性胃炎の違いであるといえます。
症状はどちらも似通っており、胃もたれや心窩部痛(みぞおちあたりの痛み)が発現します。
*)慢性胃炎では自覚症状がないこともあります
症状の原因となる器質的、全身性、代謝性疾患がないのにもかかわらず、慢性的に心窩部痛や胃もたれなどの心窩部を中心とする腹部症状を呈する疾患。
機能性ディスペプシア(FD)の治療は?
FDには器質的な病変がありません。
つまり、治療によって『傷がふさがったり』、『血液の結果が改善する』ということはありません。
FDの治療では、検査による客観的な指標が使えないため、患者の自覚症状改善を目標とします。
そのため、いかに患者に納得してもらうか、患者の自覚症状が緩和できるか、というのがポイントになります。
まずは食事などの生活習慣の改善を
FDにおいて、生活習慣の影響を検討した研究は、まだまだこれからのようですが、治療の基本としては、規則正しい生活をすることが重要です。
喫煙や飲酒の影響も明らかにされてはいませんが…まぁやめておいた方がいいでしょう。
アコチアミド(アコファイド)
FDの治療薬として、世界で初めて登場したのが、アコファイド(アコチアミド)という薬です。
消化管運動の亢進に重要なアセチルコリンの濃度を高め、胃運動の低下や胃からの食物排出遅延を改善します。
モサプリド(ガスモチン)消化管運動の改善
FDにはガスモチンなどの、消化管運動改善薬が使用されることがあります。
ガスモチンは、上部消化管だけではなく、小腸や大腸の運動機能を改善することが知られており、FDの治療に使用されることがあります。
抗不安薬や漢方薬
FDの治療には、抗不安薬や漢方薬なども使用されることがあります。
FDにはプラセボ効果が大きい
FDの治療においてプラセボ効果は大きい(エビデンスレベルA)
参考書籍より
FDの治療におけるプラセボ効果は平均で56%といわれています。
FDは、非常にプラセボ効果が起こりやすい疾患であるといえます。
FDは心理的な影響が大きい疾患であり、特定のストレスの影響を取り除かないかぎり、患者の自覚症状が改善しないこともあります。
患者さんの話に傾聴して、丁寧な服薬指導をすることで、効果的なプラセボ効果を発揮させることができるかもしれません。
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