こんにちはHitouchです。
@hitouch_life
80代のおじいさん。
どんな薬を飲んでますか?
血圧?
糖尿?
脂質?
おそらくたくさんの薬を飲んでいることでしょう。
その中の1つにこの薬が入っていませんか?
アスピリンです。
バイアスピリンですよ!
アスピリンは非常に多くの患者に処方されており、処方数ランキングのトップ10に入る事は珍しくありません。
そんなアスピリンって、一体なんの薬なのでしょう。
患者さんに質問されたら、なんの薬だと答えますか?
参考
ARRIVE試験:アスピリンによる1次予防は心血管イベントに利益なし
Contents
アスピリンって一体なんの薬?
アスピリンって何の薬?って聞かれたらなんて答えますか?
おそらく、多くのメディカルスタッフが「血液をサラサラにする薬」だと答えるでしょう。
でも、本当にそれだけでいいですか?
血液をサラサラにしてどうするんですか?
血が固まらないようにしてどうするんですか?
もう少しアスピリンについて考えてみましょう。
低用量アスピリン
一般的に処方薬として用いられるアスピリンは、「低用量アスピリン」です。
薬局で販売している「バファリンA」にはアスピリンが330mg含有されているのに対して、処方薬の「バイアスピリン」にはアスピリンが100mgしか含有されていません。
参考 バファリンA製品情報
実は病院で処方される薬の方が成分含有量が少ないのです。
なぜでしょう?
その理由を答えられますか?
その答えが「アスピリン・ジレンマ」にあります。
アスピリン・ジレンマって知ってる?
アスピリンは低用量(100mg)で使うことで抗血小板作用が働きます。
そのまま用量を増やしていくと・・・
抗血小板作用が強くなるのではなく、鎮痛作用が発現します。
薬局で売っている「バファリンA」は鎮痛薬ですよね。
鎮痛作用が発現する量(330mg)でアスピリンを使用した時には、抗血小板作用は減弱しています。
これがアスピリンジレンマと呼ばれる現象です。
注意!!
心筋梗塞の予防で、アスピリン100mgを飲んでいる人が、抗血小板作用を強くしたいからと、アスピリンの投与量を増やしてしました。
すると、抗血小板作用は逆に弱くなります。
下手をすれば心筋梗塞が再発するかもしれません。
*)アスピリンを1回に何錠も飲んでいる人を見つけたら注意です!!
逆に、薬局で買った「バファリンA(アスピリン330mg)」を半分にすれば、子供に使っても問題ないだろうと、安易な考えで半分に割って子供に与えると・・・
鎮痛効果が発現するどころか、下手をすれば脳出血が起こります。
*)絶対にこんな事はしないでください!!
アスピリンは「低用量」だからこそ「血液サラサラ」効果がある医薬品です。
*)添付文書には症状により1回300mgまで増量できるとされています
血液サラサラって何のこと?
医療関係者がアスピリンの説明をするときに使う常套句が「血液サラサラ」です。
- 血液をサラサラにする薬ですよー
- 血液が固まりにくくなりますよー
こんな説明をしますよね?
でもちょっと待って下さい。
血液をサラサラにしてどうするんですか?
バイアスピリンの適応疾患
- 狭心症・心筋梗塞・虚血性脳血管障害における、血栓塞栓形成の抑制
- 冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後における血栓・塞栓形成の抑制
- 川崎病
参考 添付文書
バイアスピリンの適応疾患を確認してみると、血栓や塞栓の形成を抑制する薬だという事が分かります。
血液をサラサラにすることで、血栓ができるのを予防しようというのが、バイアスピリン投与の目的です。
ではどんな患者に効果があるのでしょうか?
アスピリンの二次予防効果
アスピリンがもつエビデンスの多くは「二次予防効果」です。
二次予防効果というのは、心血管疾患(心筋梗塞や狭心症)や脳梗塞などの既往がある患者の「再発を抑制」するという効果です。
一度血栓ができたような患者や、血管が詰まった患者は、再発しやすい事が分かっています。
再発しないようにバイアスピリンを飲むというのが、二次予防の考え方です。
アスピリンの一次予防効果
一次予防というのは、まだ病気になっていない人の病気を予防することです。
まだ心筋梗塞にはなっていないけど、80歳で高血圧もある、予防的にアスピリンを飲んで血液をサラサラにしておこうか。
という考え方です。
効果があると思いますか?
残念ながら、一次予防にアスピリンを用いる有効性は証明されていません。
なんでもかんでも「血液サラサラ」にすれば良いというものではありません。
参考
【悲報】ARRIVE試験:アスピリンによる1次予防は心血管イベントに利益なし
アスピリンは深い
知れば知るほどアスピリンは複雑な薬です。
古くからある薬ですが、未だに第一線で活躍しています。
「アスピリンの永久投与」なんていう投与方法があるくらい、人類にとって大切な薬です。
ぜひこの機会にアスピリンについて勉強してみて下さい。
知れば知るほど、“あの”よく見る小さな錠剤に、心惹かれるかもしれませんよ。
Sincerely,
Hitouch
アスピリンのエビデンス
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【この記事の編集者】
Hitouch「T」
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