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【タモキシフェンの副作用対策】副作用を軽減して治癒率を上げるためにできること

 

『ホルモン受容体陽性乳がん』は、女性ホルモンによってがん細胞が成長することが分かっています。

 

そのため、ホルモン受容体陽性乳がんにおいては、女性ホルモンの供給を遮断する事が、重要な治療戦略の1つとなります。

 

女性ホルモンを遮断するためのキードラッグが『タモキシフェン(ノルバデックス)』です。

 

タモキシフェンの有効性は多くの研究で明らかになっており、術後5年間のタモキシフェン投与が、ホルモン受容体陽性乳がんの再発および死亡リスクを減少させることが証明されています。

参考文献

Relevance of breast cancer hormone receptors and other factors to the efficacy of adjuvant tamoxifen: patient-level meta-analysis of randomised trials

 

この有効性を発現させるためには、タモキシフェンを『5年間』内服しなければなりません。

 

タモキシフェンにも副作用があります。

 

そのため、なんとか副作用をコントロールしながら、5年間タモキシフェンを内服するというのが、重要な治療戦略となります。

 

本記事では、タモキシフェンの有効性と副作用、また副作用対策方法をご紹介します。

 

参考書籍

乳癌診療ガイドライン 1治療編 2018年版

患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2016年版

外来治療をサポートする がん薬物療法マネジメントブック

 

 

タモキシフェン(ノルバデックス)の有効性

 

閉経前ホルモン受容体陽性乳癌に対する術後内分泌療法として何が推奨されるか?

タモキシフェンの投与を強く推奨する。

(推奨の強さ:1、エビデンスの強さ:強、合意率100%)

乳がん治療ガイドライン2018

 

タモキシフェンの5年間内服と、タモキシフェン内服なしを比較した20試験のメタ解析(症例数=10,645)では、術後5年間のタモキシフェン投与により、年齢、閉経状況、リンパ節転移や化学療法の有無に関わらず、ホルモン受容体陽性乳がんおいて、再発リスクおよび死亡リスクを減少させることが証明されています

参考文献

Relevance of breast cancer hormone receptors and other factors to the efficacy of adjuvant tamoxifen: patient-level meta-analysis of randomised trials

 

つまり、ホルモン受容体陽性乳がん患者においては、タモキシフェンを5年間内服するということが人生に関わる、非常に大切な治療だということです。

 

タモキシフェンは、ビタミン剤や整腸剤とはわけが違います。

 

ホルモン陽性乳がん患者さんにとってのタモキシフェンは、今後の人生を変える薬です。

 

そのつもりで処方しましょう。

 

そのつもりで服薬指導をしましょう。

 

そのつもりで内服しましょう。

 

しかし、5年間も服薬継続するというのは並大抵のことではありません。

 

多くの患者さんは『普通』です。

 

当たり前のように『元気』です。

 

それでも5年間タモキシフェンを飲み続けるのです。

 

これは並大抵の事ではありません。

 

・・・

 

のみ忘れちゃった!!

 

副作用が出るから実は飲んでないんだよねー!!

 

薬飲むとしんどくなるならやめちゃえば??

 

・・・

 

間違っても、安易な考えでタモキシフェンをやめてはいけません。

 

中止する際には、主治医と相談して、ゆっくり話し合った上で中止すべきです。

 

繰り返しますが、タモキシフェンは人生を変える薬です。

 

ビタミン剤のように適当に扱ってはいけません。

 

しかし、タモキシフェンには大きな副作用があります・・・

 

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タモキシフェン(ノルバデックス)の副作用

内分泌治療法(ホルモン療法)における副作用は、主に女性ホルモンが抑制されるために起こります。

 

ホットフラッシュとよばれる、ほてり、発汗、動悸などの更年期障害様の症状が主です。

 

稀に、深部静脈血栓症や子宮内膜がんの増加などが生じます。

ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)

50%近い患者さんが経験する副作用がホットフラッシュです。

 

症状が軽い場合は経過観察でよいのですが、症状が重い場合はQOLを著しく低下させます。

 

治療開始後数か月で症状は軽減しますが、長引く場合もあり適切な対応が必要になります。

 

副作用対策は下記に記載しておきます。

精神・神経系の症状

頭痛・気分の落ち込み(抑うつ)・イライラする・やる気が起きない・眠れないなどの症状が現われる事があります。

うつ

タモキシフェンの副作用でうつになるという根拠はありません。

 

タモキシフェンと『うつ』との関連は明らかではなく、一定の見解が得られていません。

 

しかし、治療中や治療後に抑うつ症状が出現する頻度は高く、注意が必要です。

子宮体がん

5年間のタモキシフェン内服で子宮体がんのリスクが増加します。

 

しかし!!!

 

だからといってタモキシフェンをやめてはいけません!!!!!

 

閉経後の方はもともと子宮体がんのリスクが高く、800人に1人程度の割合で発症します。

 

それが、タモキシフェンを飲むと800人に2~3人に増える事が分かっています。

 

こういうレベルの変化です。

 

タモキシフェンによる恩恵の方が大きい事は間違いありません。

 

ちなみに、閉経前の方はタモキシフェンによって子宮体がんが増えるというデータ自体がありませんので、ご安心下さい。

 

 

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タモキシフェン(ノルバデックス)の副作用対策

タモキシフェンの副作用にどのように立ち向かうのか?

 

代表的な副作用対策をお示しします。

 

具体的な副作用対策は、必ず主治医とご相談下さい。

抗うつ薬SSRI(選択的セロトニン再取り込阻害薬)を使用する

SSRIという抗うつ薬を投与することで、ホットフラッシュや不眠や抑うつ傾向などが改善するという報告があります。

 

しかし、保健適応外ですので担当医とよく相談する必要があります。

*)プラセボと比較して臨床的に意義のある差が認められているわけではありません。

【超重要】SSRIはタモキシフェンの効果を低下させる可能性あり!!

SSRIの作用によってタモキシフェンの効果が減弱する可能性があります。

特にパロキセチン(パキシル)には注意して下さい。

患者さんの抑うつ作用を取り除こうと、“よかれ”と思って処方した薬が、寿命を縮める可能性があります。

SSRIを使用するのであれば、相互作用をチェックして、処方薬を決めましょう。

大豆イソフラボン・ハーブ・漢方

女性ホルモンを安定させるような、大豆イソフラボン(サプリメント)やハーブ、漢方剤などが使用されることがあります。

しかし、これらの有効性は明らかではありません。

鍼治療

鍼治療の効果が検討された報告があります。

ガイドラインには、『確定的ではないがその効果は期待できる』とされています。

試してみる価値はあるかもしれません。

補完・代替医療

がんに伴う心理的負担や、がんの痛みの軽減などの為に行われる治療です。

*)がんの進行や延命が出来るわけではありません

タモキシフェンの副作用に伴う、心理的負担を軽減するために行うのも効果的かもしれません。

エビデンスレベルの高いものを記載しておきます。

  • 不安に対する瞑想
  • 不安に対する音楽療法
  • 不安に対するヨガ
  • マインドフルネス
  • リラクゼーション
  • ヨガ
  • マッサージ療法(気分障害に対して)

これらは特に副作用もありませんので、実践してみるとよいでしょう。

 

 

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タモキシフェンの副作用対策まとめ

 

タモキシフェンは乳がん患者の予後を左右する重要な薬である

 

タモキシフェンは長期間の内服が必要である

 

タモキシフェンの副作用対策は真剣に取り組むべき課題である

 

タモキシフェンの効果を存分に発現させるためには、徹底的な副作用対策が必要です。

 

副作用マネージメントを行って、乳がん患者の予後もQOLも改善しましょう。

 

 

Sincerely,

Hitouch

 

 

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参考書籍

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【この記事の執筆者】
Hitouch「T」
HitouchLIFEという雑記ブログの管理人
医療・投資・自己啓発系のライティングを得意とする医療ライター
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ABOUT ME
瀬古高行
医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。株式会社femto代表取締役。
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