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【悲報】世界の抗菌薬使用量が増加している・・・

こんにちはHitouchです。
@hitouch_life

 

抗菌薬の「乱用」というと語弊がありますが、「適切」に抗菌薬を使用しないという事は、薬剤耐性菌を蔓延させる事に繋がります。

 

一方で、抗菌薬の「適正使用」には課題も多いのが現状です。

 

使えば耐性菌が増える、使わなければ治療ができない。

 

どこまでが「適正使用なのか」という判断も非常に難しいです。

 

また、製薬メーカーやその利害関係者であれば、大規模な「使用制限」には反対するはずです。

 

臨床的、社会的背景が複雑性を増しているのが現状です。

 

そんな中で興味深い論文を見つけました。

 

Global increase and geographic convergence in antibiotic consumption between 2000 and 2015.

2000年から2015年における抗生物質消費の世界的な増加と地理的収束

参考文献
Klein EY et al. Global increase and geographic convergence in antibiotic consumption between 2000 and 2015. Proc Natl Acad Sci U S A 2018 Apr 10; 115:E3463.

 

抗菌薬の世界消費量は増加しているらしい

 

【文献要約】

2000~15年に世界での抗菌薬使用量が65%増加。

増加要因は主に低所得国と中所得国だと考えられる。

参考文献
Klein EY et al. Global increase and geographic convergence in antibiotic consumption between 2000 and 2015. Proc Natl Acad Sci U S A 2018 Apr 10; 115:E3463.

方法

  • 2000年-2015年
  • 76か国の抗菌薬売上高を使用
  • 抗菌薬1日投与量(DDD)を算出
  • GDPを使用し所得別に国を分類
  • 抗菌薬使用量を調査

結果

2000~15年に抗菌薬の世界消費量は65%増加し、DDDは211億から348億になった。

調査期間中、高所得国での抗菌薬消費量がもっとも多かった。

一方で、世界的な増加は主に低・中所得国での抗菌薬消費量の増加と関連していた。

2015年にもっとも消費量が多かった6ヵ国のうち4ヵ国が低・中所得国であった。

消費量の増加は、4種類の抗菌薬(広域ペニシリン系、セファロスポリン系、キノロン系、マクロライド系)のすべてでみられた。

さらに、新世代の抗菌薬クラス(カルバペネム系、グリシルサイクリン系、オキサゾリジノン系)でもみられた。

低・中所得国では1人当たりの国内総生産(GDP)の増加と抗菌薬消費量の変化に正の相関が認められたが、高所得国では相関は認められなかった。

あとがき

以前より学会や専門家の中では、抗菌薬使用に関しての懸念が広がっています。

努力が実を結び、少しずつですが、抗菌薬の「適正使用」が推進されてきています。

 

日本では、医師薬剤師看護師等が連携して、抗菌薬適正使用チーム(AST)を結成し、各医療機関で抗菌薬の適正使用を推進しています。

 

総合病院では適正使用が推進される一方で、小規模病院やクリニックになるとどうでしょう。

 

基本的に「風邪」に「抗菌薬」は効きません。

 

しかし「抗生剤」を希望する患者や、患者家族は多いはずです。

そのような患者を目の前にして、抗菌薬を処方しないというのもなかなか難しい話です。

 

今回ご紹介した論文は、GDPを利用することで、所得別に抗菌薬使用量の変化を把握しています。

 

新興国では、抗菌薬流通がスムーズになっているでしょうし、抗菌薬を利用できる患者も増えている事かと思います。

 

抗菌薬だけではなく、医療サービスそのものが増加していることが推測できます。

 

加えて、深刻な環境汚染によって、感染症自体も増加しているかもしれません。

 

抗菌薬使用量の増加は、薬剤耐性菌の出現に寄与します。

 

抗菌薬をいつまでも「抗菌薬」としてあり続けさせるためにも、適正に使用していく事がとても重要です。

 

このままでは抗菌薬は「抗菌薬」ではなくなるかもしれません。

 

抗菌薬が効かない耐性菌はもうそこにいるかもしれません。

 

Sincerely,

Hitouch

 

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【この記事の執筆者】

Hitouch「T」
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瀬古高行
医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。株式会社femto代表取締役。
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