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膵癌術後補助化学療法において、世界的なコンセンサスが得られた標準レジメンは確立していません。
しかし、2019年1月現在の最適解が、ゲムシタビンです。
一方で、進行再発の膵癌においては、FOLFIRINOXという非常に強力なレジメンが有効であることが分かっています。
FOLFIRINOXというのは、5FU・イリノテカン・オキサリプラチンという、強力な殺細胞性抗がん剤を3剤組み合わせる化学療法です。
ものすごく強力ですが、副作用の発現率も高く、安全性の担保が難しい治療です。
そんなFOLFIRINOXを、術後補助化学療法に応用するという臨床試験を紹介します。
Contents
膵癌術後補助療法: FOLFIRINOX VS ゲムシタビン
参考文献
FOLFIRINOX or Gemcitabine as Adjuvant Therapy for Pancreatic Cancer
転移性膵癌(進行膵癌)患者では、フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、オキサリプラチンを用いる化学療法(FOLFIRINOX)によって、ゲムシタビン療法よりも全生存期間が延長することが知られています。
*)もちろん副作用は多い
この論文では、膵癌切除患者において、術後補助療法としての FOLFIRINOX レジメンの有効性と安全性をゲムシタビンと比較しています。
方法
対象患者
膵管腺癌切除患者 493 例
デザイン
FOLFIRINOX レジメン群と、ゲムシタビン群に無作為に割り付け。
24 週間(6ヶ月)投与した。
主要評価項目
無病生存期間
副次的評価項目
全生存期間
安全性
結果
無病生存期間中央値
FOLFIRINOX 群: 21.6 ヵ月
ゲムシタビン群:12.8 ヵ月
(癌関連イベント,二次癌,または死亡の層別化ハザード比 0.58,95%信頼区間 [CI] 0.46~0.73,P<0.001)
3 年無病生存率
FOLFIRINOX 群:39.7%
ゲムシタビン群:21.4%
全生存期間中央値
FOLFIRINOX 群:54.4 ヵ月
ゲムシタビン群: 35.0 ヵ月
(死亡の層別化ハザード比 0.64,95% CI 0.48~0.86,P=0.003)
安全性(グレード 3 または 4 の有害事象)
FOLFIRINOX 群: 75.9%
ゲムシタビン群:52.9%
ゲムシタビン群の 1 例が毒性(間質性肺炎)により死亡した.
結論
Adjuvant therapy with a modified FOLFIRINOX regimen led to significantly longer survival than gemcitabine among patients with resected pancreatic cancer, at the expense of a higher incidence of toxic effects.
参考文献アブストラクトより引用
【日本語訳】
膵癌切除患者において、m FOLFIRINOX レジメンを用いた術後補助療法によって、ゲムシタビンよりも有意に生存期間が延長したが、毒性発現率(副作用発現率)はより高かった。
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あとがき
膵癌というのは、がんの中でも生存率が極めて低いがんであり、重篤な転機をたどります。
外科的切除を行っても、多くの症例で再発します。
FOLFIRINOXという強力な化学療法で再発率を抑え込む事は確認できましたが、やはり安全性に問題があり、8割近くの症例にきつい副作用が出現しています。
今後支持療法が進歩して、副作用をコントロールすることが出来れば、FOLFIRINOXを使いこなすことが出来るようになるかもしれません。
FOLFIRINOXが強力な事は誰でもわかる。
ただ、協力過ぎてなかなか使いこなせません。
そんな“暴れ馬”を乗りこなせるようになるには、副作用マネージメントが必須です。
Sincerely
Hitouch
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【この記事の執筆者】
Hitouch「T」
HitouchLIFEという雑記ブログの管理人
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