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【CDI】クロストリジウムディフィシルにバンコマイシン散って実際どうなの?

日本語版 サンフォード感染症治療ガイド2019(第49版)

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クロストリジウム・ディフィシルは、医療関連感染の代表的な細菌のひとつです。

広域抗菌薬の投与により菌交代が起こり、クロストリジウム・ディフィシルによる感染症を発症します。

主な伝播経路は経口感染であり、医療従事者の手を介して容易に広がる可能性があります。

C.difficileの感染症はCDIとよばれ、激烈な下痢偽膜性腸炎を発症することもあります。

CDIの治療としては、バンコマイシン(経口)メトロニダゾールが使用され、バンコマイシン125mg×1日4回という特徴的な治療方法が行われることがあります。

今回は、そんなCDIにおけるバンコマイシン治療のエビデンスをまとめます。

 

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CDIにおけるバンコマイシン(VCM)の投与量は?

用時溶解し、通常、成人1回0.125〜0.5g(力価)を1日4回経口投与する。

なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。

添付文書

CDIにおけるVCMの投与量は、0.125g〜0.5gを1日4回です。

非常に特徴的ですので、覚えておきましょう。

しかし、ここで疑問が生じます。

VCMは125mgで十分なのか?

  • VCMの投与量は125mg(0.125g)でも良いのでしょうか?
  • 500mg(0.5g)を1日4回投与するべきなのは、どんな時なのでしょうか?

VCM投与量に関するエビデンスを紹介します。

VCM125mgでも有効性に差はない

CDIにおいて、経口VCMを125mgで投与した場合と、それ以上の用量で投与した場合には、有効性に差がないということが報告されています。

参考≫Treatment of antibiotic-associated Clostridium difficile colitis with oral vancomycin: Comparison of two dosage regimens

排便回数が多い場合はVCMの濃度が低下する

一方で、排便回数が多い場合には、便中VCMの濃度が低下し、有効性が減弱する可能性が示唆されています。

参考≫Faecal pharmacokinetics of orally administered vancomycin in patients with suspected Clostridium difficile infection

CDI診療ガイドライン2018では?

CDI診療ガイドライン2018によると、ショック低血圧麻痺性イレウスなどの重傷症例には、1回500mgの投与を考慮する必要性も記載されています。

参考≫CDI診療ガイドライン

そもそもVCMの注射じゃだめなの?

CDIには経口のVCMを使わななければなりません。

VCMを静注して全身投与しても、大腸内の濃度は極めて低くなることが分かっています。そのため、VCMを感染性『腸炎』に使用する場合は、静注投与を選択することはできません。

非重症例はMNZで対応すべし

費用対効果VCM耐性菌の問題等を考慮すると、基本的にはMNZを使用することが推奨されます。

参考薬価(2019年9月)

  • VCM:1113円/1V 
  • MNZ:35円/錠→210円/500mg×3(基本投与量)

仮に、VCMを『1回500mg(1V)の1日4回』で投与した場合、1日薬価は4452円になります。

MNZの1日薬価は210円であり、その差は歴然です。

【参考】CDIのリスク因子

  • 抗菌薬の使用
  • 高齢者
  • 入院歴
  • 腎臓病・炎症性腸炎の既往
  • 経鼻栄養
  • 制酸薬の使用

 

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瀬古高行
医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。株式会社femto代表取締役。
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