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フリーランス薬剤師のはいたっちです!!
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クロストリジウム・ディフィシルは、医療関連感染の代表的な細菌のひとつです。
広域抗菌薬の投与により菌交代が起こり、クロストリジウム・ディフィシルによる感染症を発症します。
主な伝播経路は経口感染であり、医療従事者の手を介して容易に広がる可能性があります。
C.difficileの感染症はCDIとよばれ、激烈な下痢や偽膜性腸炎を発症することもあります。
CDIの治療としては、バンコマイシン(経口)やメトロニダゾールが使用され、バンコマイシン125mg×1日4回という特徴的な治療方法が行われることがあります。
今回は、そんなCDIにおけるバンコマイシン治療のエビデンスをまとめます。
Contents
CDIにおけるバンコマイシン(VCM)の投与量は?
用時溶解し、通常、成人1回0.125〜0.5g(力価)を1日4回経口投与する。
なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
添付文書
CDIにおけるVCMの投与量は、0.125g〜0.5gを1日4回です。
非常に特徴的ですので、覚えておきましょう。
しかし、ここで疑問が生じます。
VCMは125mgで十分なのか?
- VCMの投与量は125mg(0.125g)でも良いのでしょうか?
- 500mg(0.5g)を1日4回投与するべきなのは、どんな時なのでしょうか?
VCM投与量に関するエビデンスを紹介します。
VCM125mgでも有効性に差はない
CDIにおいて、経口VCMを125mgで投与した場合と、それ以上の用量で投与した場合には、有効性に差がないということが報告されています。
排便回数が多い場合はVCMの濃度が低下する
一方で、排便回数が多い場合には、便中VCMの濃度が低下し、有効性が減弱する可能性が示唆されています。
CDI診療ガイドライン2018では?
CDI診療ガイドライン2018によると、ショック、低血圧、麻痺性イレウスなどの重傷症例には、1回500mgの投与を考慮する必要性も記載されています。
参考≫CDI診療ガイドライン
そもそもVCMの注射じゃだめなの?
CDIには経口のVCMを使わななければなりません。
VCMを静注して全身投与しても、大腸内の濃度は極めて低くなることが分かっています。そのため、VCMを感染性『腸炎』に使用する場合は、静注投与を選択することはできません。
非重症例はMNZで対応すべし
費用対効果やVCM耐性菌の問題等を考慮すると、基本的にはMNZを使用することが推奨されます。
参考薬価(2019年9月)
- VCM:1113円/1V
- MNZ:35円/錠→210円/500mg×3(基本投与量)
仮に、VCMを『1回500mg(1V)の1日4回』で投与した場合、1日薬価は4452円になります。
MNZの1日薬価は210円であり、その差は歴然です。
【参考】CDIのリスク因子
- 抗菌薬の使用
- 高齢者
- 入院歴
- 腎臓病・炎症性腸炎の既往
- 経鼻栄養
- 制酸薬の使用