看護師

訪問看護で行う薬の管理サービスの内容|服薬介助との違いや薬の保管についても解説

「訪問看護でできる薬の管理のサービス内容を知りたい!」

「服薬管理と服薬介助と何が違う?訪問看護ではどちらも行えるの?」

自宅療養者が自分で薬の管理ができないため、訪問看護で薬の管理をしてもらいたいと考えるケースはよくあります。

しかし、どのように薬の管理を行うのか、また薬を飲ませるといった介助も服薬管理に入るのかわからず、どこまでサービスを行えばよいのかわからないと悩んでいる看護師も多いのではないでしょうか。

本記事では、訪問看護で行える薬の管理サービスの内容、服薬介助との違いについて解説します。

訪問看護で行う薬の管理は「内服管理」

訪問看護ではどのような薬の管理を行うのか解説します。

訪問看護師が行う薬の管理は、おもに内服管理です。


理学療法士など直接的な医療行為以外を専門とする職種の人は内服管理に携われません。

ただし、利用者さん自ら服薬管理ができそうかどうかのチェックは行えます。

訪問看護で行う内服管理

内服管理は、利用者さんが医師の指示通りにきちんと薬を飲めているかのチェック、在庫チェック、薬の形状や種類を変更するために薬剤師と連携することをいいます。

また、身体的な問題から自分で服薬できない場合の介助も、内服管理に含まれます。

これらは、入院患者さんにも行っていることでしょう。

しかし、訪問看護の内服管理はそれだけではありません。

同じように行う残薬チェックや服薬できているかのチェックに加え、飲み忘れ対策や残薬管理を家で行う必要があるのです。

病院であれば、医療機関で薬を保管することもできますが、訪問看護ステーションではそれができません。

薬は家で保管しなければならないため、服薬カレンダーやお薬ボックスなどの工夫を考えたり、残薬と新しい薬を分けて保管するなど薬の整理整頓をしたりするのも内服管理に含まれます。

訪問看護における内服管理の重要性

在宅看護の服薬管理がきちんとできていないことが、今大きな問題となっています。

とくに薬の飲み忘れや過剰服薬が多く、このような問題は病状に大きく関わるため危険です。

そこで、第56回_研究発表では「訪問看護師と訪問介護士が連携をとり、薬の飲み忘れや過剰服薬を防止できるよう努めることが重要である」と提示しています。

看護師と介護士が連携をとるためには、ケアマネージャーが連絡調整役として重要な役割を果たします。

ただし、ケアマネージャーは医療行為である服薬管理をしてはいけないため、訪問看護師が責任をもって行わなければなりません。

ケアマネージャーはあくまで調整担当として、服薬管理が各サービスによってきちんとできているのかを確認します。

飲み忘れによる病状の進行、過剰服薬による副作用の発症はなんとしても避けなければならないため、訪問看護における薬の管理は非常に重要であるといえます。 

内服(服薬)管理と服薬介助の違いとは?

内服(服薬)管理と服薬介助の違いを伝え、訪問看護ではどの範囲で薬の管理を行うのか解説します。

服薬介助とは?訪問看護師も担当する?

服薬介助とは、薬を準備し利用者さんが薬を飲み終えて片付けるところまでの介助を指します。

服薬介助は医療行為ではないため、訪問看護師だけではなく介護士も担当できます。

医療機関で行う内服管理とは違い、在宅医療における薬の管理は、訪問看護師は内服(服薬)管理、介助は訪問介護士と担当を分けるのが一般的です。

###違いのまとめ

内服(服薬)管理と服薬介助の違いをまとめると以下のとおりです。

  • 医療行為かどうかの違い
  • 薬そのものの管理か服薬の手伝いかの違い

内服(服薬)管理は、残薬チェックや副作用が出ないかの体調をチェックしながら薬の調節を行ったりするため、医療行為に該当します。

一方で服薬介助は、身体的な問題で自分で薬を飲むことが難しい利用者さんに対し、薬を飲ませたり、薬を準備したり、あるいは利用者さんと一緒に薬を準備したりといった手伝いです。

よって、医療行為には該当しません。

体調が急変しやすい人には看護師が服薬介助を行う

服薬介助は基本的に介護士が行うことをお伝えしましたが、例外もあります。

体調が安定している場合は介護士でも問題ありませんが、体調が急変する可能性のある利用者さんは万一の体調急変に備え、認知症に作用する薬や精神に作用する薬、出血する可能性のある坐薬投与といった服薬介助は訪問看護師が行います。

資格を取得し痰の吸引といった医療行為ができる介護士もいますが、点滴や注射などの医療行為は介護士にはできません。

よって、急変の可能性のある利用者さんには、直接的な医療行為ができる看護師が体調を見ながら服薬介助を行う必要があるのです。

訪問看護ステーションで薬の保管・管理はできるのか

利用者さんから、よく「訪問看護ステーションで薬の保管・管理はしてくれるのか?」と質問されますが、答えはノーです。

もし、利用者さんに聞かれた場合はできないと伝えてください。

現行法において、訪問看護ステーションには薬剤を常備できないことが決まっているからです。

しかし、薬剤常備ができないことから、緊急時の薬を速やかに届けられず症状が悪化した事例が相次いでいます。

そのため、訪問看護ステーションでは次のような声が上がっています。

  • 処方してから届くまでに時間がかかりすぎる
  • 緩和ケアをする際に薬剤がすぐ届かないことがある
  • 処方箋が届くのに時間がかかる など

これらの声を解決するべく薬剤配置の拡大を訴える動きがあり、今後見直される可能性はあります。

とはいえ、決定事項ではないため、トラブルを招かないためにも利用者さんにはこれらの内容を話すべきではありません。

ただ、訪問看護師として働くのであれば、今後の動きを予測しておくためにも知っておくべきでしょう。

訪問看護の利用者さんから薬の処方・配達を頼まれたら?

訪問看護の利用者さんから薬の処方や配達を頼まれたらどのように対処するべきなのでしょうか。

以降では、薬の処方、配達に関する薬の管理について解説します。

薬の処方・配達は薬の管理に含まれない

薬の処方や配達は、薬の管理に含まれません。

もちろん、薬の処方は医師が行うことですので、訪問看護師は処方箋の依頼や相談のみ許されます。

薬の配達も薬の管理に含まれそうに思いますが、こちらも基本的に訪問看護師の業務の範ちゅうではありません。

薬の処方は医師に相談を

薬の処方は医師に相談を促すか、訪問看護師が医師と連携をとって処方する形となることを、利用者さんに伝えましょう。

また、訪問看護ステーションでの薬の処方受付はしていないため、提携先のクリニックや薬局と連携して処方しなくてはならないことも伝える必要があります。

薬の配達は医師や薬剤師、ケアマネージャーに相談を

薬の配達は、まず医師に相談し訪問薬剤師サービスの利用を検討したほうが手っ取り早いです。

医師からの指示があれば訪問薬剤師サービスの利用をスムーズに開始できます。

あるいは、薬剤師に相談して一度訪問してもらい、訪問薬剤師のサービスの必要性があるか判断してもらってサービスを開始することもできます。

そのほかにはケアマネージャーに相談して、介護士が薬局で薬の受け取りをして利用者さんの家に届けることが可能です。

ただし、訪問薬剤師のサービス利用を開始するには時間を要するため、すぐの対応には向いていません。

また、ケアマネジャーへ相談した場合も、サービスの調整に時間を要します。

よって、いずれも今すぐの配達を依頼された場合、できないことを伝える必要があります。

ただし、緊急を要する場合は医師の指示のもと訪問看護師が薬局に薬を取りに行くことはできるので、そのような場合は看護師が対処を行ってください。

訪問看護が行うのは内服管理と一部の人の服薬介助

訪問看護が行う薬の管理は、内服管理と体調が急変する可能性のある利用者さんの服薬介助です。


また、緊急を要する場合は薬を薬局に取りに行くこともあります。

利用者さんとしては、訪問看護で薬に関するすべてのサービスを行って欲しいと思っている方も多いでしょうし、お願いされることもあると思います。

しかし、訪問看護のサービス内容や介護報酬の算定にも関わるため、できないこととできることの線引きを覚え、依頼された際にしっかりと説明できるようになりましょう。

ABOUT ME
瀬古高行
医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。株式会社femto代表取締役。
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