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訪問薬剤管理指導を利用するには?サービス内容と利用するメリットについても解説

「いくつも病院にかかっていてお薬の管理がたいへん」「もの忘れがあり薬の管理ができない」「飲み忘れてしまい薬が残っている」など、お薬の悩みを抱えている高齢者はとても多いです。

薬は本人が管理するのが難しければ家族が管理したり、訪問看護師やヘルパーに管理してもらったりすることが多いでしょう。

しかし、ほかにもお薬の相談ができる「訪問薬剤管理指導」というサービスがあるのですが、あまり知られていないかもしれません。

また、薬剤師が訪問してくれるサービスがあることは知っていても、利用するにはどうしたらいいのか、具体的にはなにをしてくれるのかわからない方が多いでしょう。

本記事では、訪問薬剤管理指導を利用する方法、利用するメリットやサービス内容について解説します。

訪問薬剤管理指導とは

訪問薬剤管理指導とは、簡単にいうと「通院が困難な方の自宅に、医師の指示により薬剤師が訪問し、お薬の処方・説明・服薬指導などを行うこと」です。

なお、正式名称は「在宅患者訪問薬剤管理指導」ですが「訪問薬剤管理指導」と略されたり「薬剤師訪問サービス」ともいわれたりします。

訪問薬剤管理指導の対象となるのは、原則「通院が困難な方」です。


現状は通院ができていても、病気や身体状況により一人では通院ができず、付き添いが必要な方も対象です。

また、ひとりで通院ができていても、認知症により薬の管理ができなかったり、服薬に見守りや介助がないと内服できなかったりする方も対象となります。

訪問薬剤管理指導を利用するには?

訪問薬剤管理指導の利用について、どこで相談すればいいのかわからない方が多いでしょう。

かかりつけ医やケアマネジャーから提案されてサービスを利用するケースも多いですが、利用者さん自身やご家族から相談して利用することもできます。

利用したい場合の相談先は以下の通りです。

  • かかりつけ医に相談
  • 薬局、薬剤師に相談
  • ケアマネジャーや訪問看護師、ヘルパーなどに相談

かかりつけ医に相談

訪問薬剤管理指導を利用するには医師の指示が必要なため、かかりつけ医に相談するのがいちばん早いです。

薬を飲み忘れてしまうことや管理が難しいことを相談すれば、訪問薬剤管理指導が必要かどうか判断し、必要な場合は薬局に指示を出してくれます。

先生の判断によっては、訪問薬剤管理指導を利用しなくても、1回に内服する薬をひと袋にまとめて飲みやすくする(一包化)、薬の袋に日付を入れる、内服を朝一回だけにするなどの対策で解決することもあります。

薬局、薬剤師に相談

先生に薬が飲めていないことが言いづらく、ついつい病院では「きちんと内服しています」と答えてしまう方は多いです。

そのような場合は、いつも処方箋をお願いしている薬局の薬剤師に相談するのがよいでしょう。

薬剤師が内服に関するアドバイスをしてくれますし、必要に応じて先生に相談することで訪問薬剤管理指導の利用につながります。

ケアマネジャーや訪問看護師、ヘルパーなどに相談

介護保険サービスを利用している場合はケアマネジャーや利用しているサービス(訪問看護やヘルパーなど)の担当者に相談してもよいでしょう。

ケアマネジャーは病状や生活の様子などを総合的に判断し、訪問薬剤管理指導の利用についてかかりつけ医に相談することができます。


また、訪問看護師やヘルパー、デイサービスの職員に相談した場合は、ケアマネジャーと連携して処方通り内服できるように対策を講じることも可能ですし、訪問薬剤管理指導の利用につなげることも可能です。

なお、介護保険では訪問薬剤管理指導を「居宅療養管理指導」といいます。

医療保険か介護保険かによって名称が変わりますが、サービス内容は同じです。

介護認定を受けている場合は、医療保険と介護保険では介護保険が優先となります。

訪問薬剤管理指導を利用するメリット

訪問薬剤管理指導は、薬剤師がお薬を届けてくれるだけのサービスではありません。

薬のプロとして医師や他職種と連携し、利用者さんの健康管理のサポートを行います。

そのためサービス内容は多岐にわたります。

訪問薬剤管理指導のサービス内容

訪問薬剤管理指導のサービス内容は以下の通りです。

  • 処方箋に基づき医薬品を届け、薬の説明、服薬指導を行う
  • 処方通り内服できているかの確認、必要な提案
  • 医師、他職種との連携

それぞれ解説します。

処方箋に基づき医薬品を届け、薬の説明、服薬指導を行う

処方箋に基づき医薬品や衛生材料等を自宅へ届け、薬の効果や副作用、内服方法を説明します。

これは薬局で薬を受け取るときと同じです。

しかし、薬局で薬を受け取るときとは違い、自宅の落ち着いた環境でしっかり説明を聞けるメリットがあります。

周りの雑音や目を気にすることなく、理解できるまで説明してもらえるため、薬への理解が深まって不安なく薬を内服できるようになったり、勝手に薬を中止してしまうのを防いだりする効果が期待できます。

また、複数の病院からの処方薬がある場合は、重複して処方されている薬がないか確認し、必要に応じて処方薬の中止や変更を医師へ依頼する役割も担います。

市販薬やサプリメントも内服している場合は、その飲み合わせも確認します。

処方通り内服できているかの確認、必要な提案

訪問時に前回届けた薬を処方通り内服できているのか、残薬がないのか、保管方法は適切か、などを確認します。

「処方通り飲めていない」「残薬が多い」といった状況であれば、生活全般の聞き取りを行ったり自宅の環境を確認したりすることで、飲めていない原因を探ります。

お薬の管理によく使われるお薬カレンダーやお薬ケースの提案にとどまらず、利用者さんの生活に合わせたアドバイスや改善策を提案してもらえるため、服薬に関する悩みを解消できるでしょう。

保管方法についても、直射日光が当たる場所に保管していないか、要冷蔵の薬を冷蔵庫できちんと保管できているかなど確認し、できていない場合は改善策を提案します。

医師、他職種との連携

医師へ訪問の報告、情報共有、また医師へ利用者さんの現状を踏まえて必要な提案も行います。

医師との連携は、薬剤師のもっとも重要な役割です。

例えば、最近食が細くなり食事がしっかりとれていないために薬の飲み忘れが多い場合は、その情報を医師へ報告します。

「3食しっかり食べてください、薬も朝・昼・晩の3回飲んでください」と言うのは簡単ですが、実際に利用者さんが実行できなければ意味がありません。

どのようにしたら利用者さんが処方通り内服できて体調管理ができるのかを考え、医師と連携し対策を講じます。

また「錠剤が飲みにくい」「粉薬をこぼしてしまってきちんと飲めていない」「手に力が入らずシートから錠剤を取り出すのに苦労している」などの情報も報告することで、利用者さんがより飲みやすく負担にならない内服方法を検討します。

なお、医師との連携だけではなく、介護保険サービスを利用している場合はケアマネジャーや介護保険サービスの提供者(訪問看護やヘルパーなど)とも連携を行い、チームとして利用者さんの健康面のサポートを行います。

多くの職種で利用者さんの生活を見守りサポートすることで、処方通り内服できるだけではなく、生活リズムや食生活の改善につなげることが可能です。

薬剤師も利用者さんの生活を支えるチームの一員

本記事では、訪問薬剤管理指導を利用する方法について、また利用するメリットやサービス内容についても解説しました。

利用者さんの健康面を支える職種としては医師や看護師がまっさきに思い浮かびますが、薬剤師もその一員です。

自宅を訪問してコミュニケーションを取ることで、病院では気づけない小さな変化にも気づくことができます。


それがきっかけで、病気の悪化を予防できることも多くあります。

お薬の悩みがある方は、ぜひ訪問薬剤管理指導の利用を検討してみてください。

ABOUT ME
瀬古高行
医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。株式会社femto代表取締役。
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