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【VCM散】バンコマイシン散をMRSA腸炎に使用する場合の使い方は?

JAID/JSC感染症治療ガイド2019
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バンコマイシン散とは?

バンコマイシン散というのは経口投与可能なバンコマイシンです。

バンコマイシンは腸管から吸収されないという特徴があり、経口投与することで、バンコマイシンは腸管内に滞留します。

そのため、腸管内の感染症に効果を発揮するということになります。

経口バンコマイシンは注射用バンコマイシンと何が違うの?

経口用のバンコマイシンも、注射用のバンコマイシンも、基本的には一緒の製品です。

しかし、経口用にはもちろん経口投与としての適応のみが存在し、注射用も同様です。

注射用バンコマイシンの方が、製造に当たっての試験(無菌試験?的な)が多いのではないかと思います。

経口には経口用のバンコマイシンを使いましょう!

経口用バンコマイシン散の使用方法は?

用時溶解し、通常、成人1回0.125〜0.5g(力価)を1日4回経口投与する。

なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。

添付文書より

経口バンコマイシン散の添付文書上の用法用量は、『0.125g~0.5gを1日4回』です。

バンコマイシンは1バイアル0.5gですので、0.125gとはいったい…

どのように内服すればよいのでしょうか?

Clostridium difficile(クロストリジウム・ディフィシル)感染症

バンコマイシン散は、主にクロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)に使用します。

CDIにバンコマイシン散を使用する場合は、0.125gを1日4回、10~14日間使用するというのが基本です。

1回量が0.125gでも、0.5gでも、有効性に差はないということが示されており、1回の投与は0.125gが推奨されています。

重症例や再発例には0.5g×4回という治療が行われます!

MRSA腸炎にバンコマイシン散を使用する?

MRSA腸炎に対しては、どのようにバンコマイシン散を使用すればよいのでしょうか?

そもそもMRSA腸炎とは何か?

耐性菌であるMRSAが便培養から検出されて、臨床症状(下痢など)がある場合にMRSA腸炎と診断されるケースがあります。

しかし、感染症のスペシャリストたちは、MRSA腸炎という診断自体に疑問を呈しています。

岩田健太郎先生(著書≫抗菌薬の考え方,使い方 ver.4)によると、『MRSA腸炎と診断されている症例の多くはCDIの勘違いである可能性がある』ということです。

MRSA腸炎が存在しないということを証明することは難しいですが、MRSA腸炎の存在を示す報告もないのです。

バンコマイシン0.125g×4が基本、CDIならMNZも!

MRSA 腸炎の報告は少数である.患者の便から黄色ブドウ球菌が検出された場合,多くは他の原因による腸炎で,黄色ブドウ球菌は保菌されているだけの状態を見ている可能性がある.このため,通常便中から検出される黄色ブドウ球菌(MRSA を含む)を治療対象とする状況は稀である.Klebsiella oxytoca による出血性腸炎についても同様である.

JAID/JSC感染症治療ガイド

いずれにせよ、“抗菌薬使用に関連する腸炎”が出現した場合には、CDIを疑い、各種検査を行うことが重要です。

そして、CDIと診断した場合には、バンコマイシンは0.125g×4が基本です。

加えて、より安価で耐性菌の問題が少ないメトロニダゾール(MNZ)の使用を考慮する事も重要です。

参考書籍:感染症治療ガイドライン

日本で作成されたガイドラインであり、サンフォード感染症治療ガイドよりも分かりやすいと思います。

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ABOUT ME
瀬古高行
医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。株式会社femto代表取締役。
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