膀胱がんのTURBT後に、再発抑制のために抗がん剤を膀胱注入する場合があります。
この時にはエピルビシンなどの抗がん剤が使用されます。
さて、このエピルビシンを安全キャビネット内で混注した場合に、『無菌製剤処理料』を算定することはできるのでしょうか?
結論:膀胱注入は無菌製剤処理料を算定できません
*)2020年2月現在の情報です
無菌製剤処理料とは?
無菌製剤処理とは、無菌室、クリーンベンチ、安全キャビネット等の無菌環境において、 無菌化した器具を用いて、製剤処理を行うことをいう。
無菌製剤処理は、常勤の薬剤師が行うとともに、その都度、当該処理に関する記録を整備し、保管しておくこと。
無菌製剤処理料1(悪性腫瘍に対して用いる薬剤が注射される一部の患者)
イ 閉鎖式接続器具を使用した場合180点
ロ イ以外の場合45点
無菌製剤処理料2(1以外のもの)40点
上記のように無菌製剤処理料は大きく2つに分類されています。
簡単に『抗がん剤』と『それ以外』となっているのですが、ここから先がとても複雑なのです…
無菌製剤処理料1(抗がん剤の場合)
無菌製剤処理料1の対象患者は、悪性腫瘍に対して用いる薬剤であって細胞毒性を有す るものに関し、皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、動脈注射、抗悪性腫瘍剤局所持続注入、 肝動脈塞栓を伴う抗悪性腫瘍剤肝動脈内注入又は点滴注射が行われる患者であり、この場 合において、「悪性腫瘍に対して用いる薬剤であって細胞毒性を有するもの」とは、独立 行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成 14 年法律第 192 号)第4条第5項第1号の規 定に基づき厚生労働大臣が指定した医薬品(平成 16 年厚生労働省告示第 185 号)のうち、 悪性腫瘍に対して用いる注射剤をいう。
なお、この場合の無菌製剤処理は、常勤の薬剤師が無菌製剤処理を行う薬剤を用いる患者ごとに、投与経路、投与速度、投与間隔等の確認を行った上で行うこととする。また、 安全キャビネットを用いた無菌環境下で無菌製剤処理を行うこと。
無菌製剤処理料は全ての抗がん剤に適応されるわけではなく、投与経路が細かく分類されています。
そして残念ながら、この中に『膀胱注入』は記載されていません。
無菌洗剤処理料2(抗がん剤以外)
無菌製剤処理料2の対象患者は、以下のア又はイに該当する患者である。
ア 動脈注射又は点滴注射が行われる入院中の患者のうち、白血病、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、重症複合型免疫不全症等の患者及び後天性免疫不全症候群の病原体に感染し抗体の陽性反応がある患者であって、無菌治療室管理加算若しくはHIV感染者 療養環境特別加算を算定する患者又はこれらの患者と同等の状態にある患者。
イ 中心静脈注射又は植込型カテーテルによる中心静脈注射が行われる患者
無菌製剤処理料2は、抗がん剤以外とは謳っていながら、末梢投与にて通常使用される注射薬の大半は該当しません。
高度免疫抑制患者や中心静脈カテーテルが留置された患者のみが算定できる点数のため注意が必要です。