平成28年4月に始まった『かかり薬剤師制度』。
個々の患者に対して毎回同じ薬剤師が『担当薬剤師』として介入を行うことで、患者の薬物治療を一元管理するというのが目的のようなのですが…。
- そもそもかかりつけ薬剤師ってなんなの?
- かかりつけ薬剤師って必要なくない?
などという辛辣な意見がちらほら…
ということで、かかりつけ薬剤師について考えてみます。
かかりつけ薬剤師ってなに?
日本薬剤師会は『かかりつけ薬剤師とは?』というYouTube動画を作成しています。
しかし、残念ながら、2020年2月18日13時22分現在で『1613回』しか再生されていません。残念ながら。
この動画で紹介されていることは、薬剤師会のサイトで端的に説明されています。
かかりつけ薬剤師は、あなたが現在使用している処方薬や市販薬などの情報を把握し、薬の飲み残しや重複、副作用などがないか、1つの薬局で継続的にチェックします。
また、患者さんの自宅に訪問して健康や薬の相談にのったり、薬局が開いていない時間帯もご相談いただける体制を整えています。
いつでも気軽に相談でき、信頼できる、地域に密着した薬局・薬剤師が「かかりつけ」です。
薬剤師会HPより
確かに、患者さんにとっても、身近に医療の相談ができる相手がいるというのは心強いですよね!
でも…ちょっと疑問があります。
べつに薬剤師じゃなくてもいいじゃん問題
この制度のキーポイントは、とにかく医療の相談窓口を作ろうってことですよね!?
医療の相談窓口というのは、病院でいうところの『総合受付』です。
総合受付には薬剤師はいません。
大病院になれば医療専門資格を持つ『メディカルコンシェルジュ』が常駐していますが、たいていの場合は医療事務さんが総合受付の担当です。
医療の相談窓口は薬剤師である必要はないわけで、村一番の物知り爺さんでもいいってことになります。
しかし!
相談窓口が薬局であれば、『薬も一元管理できるしちょうどいいじゃん』ってことです。
確かにその通りだと思います。
薬剤師じゃなくてもいいじゃん問題は、これで解決できました。
病院はココ、薬局はココ、問題
医療において一番重要なポイントは診断です。
診断さえわかれば、素人でもガイドラインを見て治療方針を判断することができます。
ということは、医師との診察が最も重要なセッションです。
つまり、薬局に行く必要は無くても、病院には絶対行かなければならないということです。
となると、病院はココ、薬局は…病院の隣のところ…になりますよね。
医療とは薬局がメインではないのです。
残念ながら。
薬剤師の診断は正しいのか?問題
仮に薬剤師が相談窓口になったとしましょう。
イメージしてください。
65歳男性、基礎疾患無し、急な咳嗽と発熱、呼吸状態は安定しているが、夜間に突発的な頻脈がある。間欠的な頭痛もあって、今までに感じたことのないような体調の変化を自覚して来局。
ここで薬剤師が下す決断は?
早くかかりつけの病院に行ってください。
ですよね。
残念ながら。
この患者さんが来局して、『パブロン』で様子をみましょうっていう薬剤師さんいますか?
CTもMRIも遺伝子検査もできる薬局があったとしますよ!?
それでも…薬剤師さんはきっといいますよね!?
早くかかりつけの病院に行ってください。
そうなんですよ。
これが現実ですよ。
残念ながら。
かかりつけ薬剤師に期待
僕は薬剤師です。
日本国民の中でも“数少ない”、かかりつけ薬剤師に期待している一人です。
かかりつけ薬剤師は医師不足解消や地域医療の向上に欠かせません。
心からそう思います。
だからこそ、薬剤師会には、声を大にして言いたい!
2018年の動画が未だに1000回再生って…そりゃあねぇよ
アンサングシンデレラで一発逆転お願いしますよ!
微力ながら、かかりつけ薬剤師の力になれるように、かかりつけ薬剤師について考えてみました。