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フリーランス薬剤師のはいたっちです!!
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2018年末に、過活動膀胱(OAB)治療薬として、ベオーバ(ビベグロン)が登場しました。
ベオーバは選択的β3アドレナリン受容体作動薬というカテゴリーに分類される薬剤で、同効薬はベタニスです。
今回は、新規過活動膀胱治療薬ベオーバの特徴やベタニスとの違いについてまとめていきます。
*)参考資料:添付文書・インタビューフォーム
Contents
【DI】ベオーバの基本情報
まずはベオーバの基本情報をまとめます。
ベオーバの効能効果
過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁
ベオーバの用法用量
通常、成人にはビベグロンとして50mgを1日1回食後に経口投与する。
特徴:生殖可能年齢への投与警告がない
同様薬ベタニスには『生殖可能な年齢の患者には投与をできる限り避ける』という警告が存在します。
一方のべオーバにはこの警告表示はなく、従来品よりも使いやすくなっていることが分かります。
べオーバの薬価
ベオーバ50mg:185.7円
過活動膀胱(OAB)の治療戦略
まずは簡単にOABの治療戦略を確認します。
そもそも過活動膀胱(OAB)とは?
過活動膀胱というのは、尿が膀胱内に十分に溜まっていないのにも関わらず、急な尿意切迫感や、それに伴う頻尿症状、場合によっては尿失禁を認めてしまうという病気です。
膀胱の筋肉が異常に収縮することが原因のひとつだとされており、膀胱の筋肉を弛緩させるため、抗コリン薬やβ3アドレナリン作動薬が治療に用いられます。
抗コリン薬
抗コリン薬として、ベタニスやステーブラなどが使用されます。
抗コリン薬は、膀胱の異常収縮を抑制する作用があり、OABに伴う諸症状に効果を発現します。
エビデンスが豊富で、OABの第一選択薬のひとつとして幅広い患者に投与されています。
選択的β3アドレナリン受容体作動薬
膀胱のβ3受容体を刺激することで、膀胱は弛緩しやすくなります。
膀胱が弛緩することで蓄尿量が増加し、OABに効果を示します。
比較的新しい薬剤であり、さらなるエビデンス蓄積が期待されています。
基本的にOABに伴う諸症状の改善には、抗コリン薬かβ3作動薬が用いられます。
今回紹介するベオーバは、β3作動薬です。
ベオーバの臨床効果(国内第Ⅲ層臨床試験)
次にべオーバの臨床試験を紹介しながら、有効性を確認していきます。
*)インタビューフォームより
試験デザイン(国内第Ⅲ相)
- 他施設共同
- ランダマイズ
- ダブルブラインド
- プラセボ対象
- 並行群間比較
臨床試験方法
OAB患者(1232例)を対象に、ベオーバ50mgもしくは100mg、イミダフェナシン1 日0.2mg(参照薬)又はプラセボのいずれかを1日2回12週間食後に経口投与した。(ビベグロンは朝食後投与、プラセボ及び参照薬は朝食及び夕食後投与)
結果(1日排尿回数)
画像:インタビューフォームより
治療期12週時点での、1日平均排尿回数のベースラインからの変化量において、ベオーバ50mg及び100mg投与群で、プラセボ群に比べ統計学的に有意な排尿回数の減少が認められた。
経時的な排尿回数の変化
投与初期から効果が発現していることが分かります。
抗コリン薬とβ3アドレナリン受容体作動薬の併用は?
過活動膀胱の適応を有する抗コリン剤と併用する際は尿閉などの副作用の発現に十分注意すること
ベタニス添付文書より
従来までは『抗コリン薬とβ3刺激薬の併用は避けることが望ましい』という記載がありましたが、現在は内容が緩和されています。
そのため、必要な場合は抗コリン薬とβ3刺激薬を併用することもあり得るということを、頭に入れておきましょう。
ベオーバの特徴まとめ
- 過活動膀胱の諸症状を改善
- β3アドレナリン受容体刺激薬
- 1日1回の投与で効果あり
- 投与初期から長期間有効性が継続
- 生殖可能年齢にはベタニスより使いやすい?
今後更なるエビデンスの蓄積が望まれる薬剤です。
Sincerely,
Hitouch