最近テレビやインターネット上で「高齢者は脳トレをした方がいい」という情報があり、たくさんの脳トレが紹介されています。
脳トレのアプリも開発されており、スキマ時間に脳トレをしてる人もいるのではないでしょうか。
しかしどうして脳トレをした方がいいのか、脳トレの本当の目的などがわからない人もいるでしょう。
本記事では、どうして高齢者は脳トレをしたらいいのかを解説しながら、おすすめの脳トレや脳トレをする際の注意点も併せて紹介します。
介護施設でレクリエーションとして実施できるおすすめの脳トレを10つ紹介するので、ぜひ参考にしてください。
脳トレとは?
脳トレとは「能脳力トレーニング」の略です。
脳トレをする目的は脳を刺激し、記憶力・思考能力・認知能力を向上させることです。
脳トレの具体的な例は将棋やオセロなどのボードゲーム、計算問題、クイズなどです。
高齢者は脳トレをした方がいい理由
高齢者に脳トレが勧められている理由は、脳トレには認知症予防効果があるからです。
また、すでに認知症を発症している方でも、脳トレを行うことで認知症の進行を遅らせる効果がを期待できます。
なぜ高齢者の認知症予防に脳トレが効果的なのか
脳トレや勉強など、頭を使う作業を行うと脳の神経活動が活発化し、脳の酸素消費量が増えます。
血液には酸素が含まれているので、消費された酸素を補うために血流量が増加します。
そして、頭を使えば使えば使うほど、脳内のネットワークが広がり、そのネットワーク内で情報伝達が効率的なルートを選択して強化し、記憶力や集中力、認知能力などの脳が得意な能力を引き出すのです。
記憶力や集中力、認知能力を引き出すことにより、認知症予防に効果があるといわれています。
認知症予防におすすめの脳トレ
次に、介護施設のレクリエーションとして実施できる認知症予防におすすめの脳トレを紹介します。
1.しりとり
しりとりは、自分が思い出させる言葉を探していく必要があります。
道具や素材がなくても実施できる脳トレなので、準備をする必要がなく、始めやすいでしょう。
2.お金の計算
利用者さんと買い物に行く際、買う商品がいくらになるか、何円出せば商品が買えるのかなどを計算することで、計算力が鍛えられます。
買い物に行く機会が少ない場合は、活用できそうな物やお金を用意して、施設内で買い物の計算をすると良いでしょう。
3.クロスワード
クロスワードは高齢者の方だけではなく、幅広い年代の方から人気の脳トレです。
クロスワードは語彙力だけではなく、推理力も鍛えられます。本やインターネット上にクロスワード素材があるので、ぜひ活用してみてください。
4.時計の計算
時計の計算は利用者さんに今の時間を伝え、10分後、20分後には何時になるのか考えてもらう脳トレです。
時計を利用者さんに渡し「今は朝の10時です。15分後にお散歩に出かけます。お散歩は10分くらいで終わります。ここに戻ってくるのは何時でしょう?」
「今は11時です。1時間後にお昼ご飯を食べます。お昼ご飯を食べる時間は何時でしょう?」というふうにシチュエーションを用意するとイメージしやすいでしょう。
5.間違い探し
間違い探しの脳トレは、集中力と観察力が鍛えられます。
間違い探しの素材は本やインターネット上にあるので、ぜひ探して活用してみてください。
6.仲間はずれ探し
仲間はずれ探しは、指定された物から1つだけ仲間はずれの物を見つける脳トレです。
「りんご、いちご、メロン、米」など、一つ一つゆっくりと声に出して、利用者さんに覚えてもらいます。
上記の例だと果物でない「米」が仲間外れになります。
イメージしやすいようにイラストを用意したり、実物を使ったりしても良いでしょう。
7.都道府県当て
都道府県当ては、県の形や名産地から、都道府県を当てる脳トレです。
記憶力・思考力が鍛えられます。
8.パズル
パズルは思考能力が鍛えられます。
難しいジグソーパズルなどをする必要はなく、2枚のカードを合わせるだけの簡単なパズルでも認知症予防に効果的です。
パズルの絵が完成したら「この絵はなんの絵ですか?」と聞いて記憶力・思考能力を鍛えることもできます。
9.折り紙
指は、第二の脳といわれています。
そのため、折り紙のように実際に指を使う作業は脳に多くの刺激を与えることができ、認知症予防に効果的です。
折り紙をすることが懐かしいと感じる利用者さんもいるため、積極的に利用者さんに折り紙をしようと誘いましょう。
10.手や指を動かす脳トレ
折り紙がない場合は、手や指を動かす脳トレも効果的です。
インターネット上で、手や指を動かす脳トレの動画がたくさんあるので、ぜひ探してみてください。
大きな画面に動画を映して、利用者さんと一緒に手や指を動かしましょう。
特に、左右の手で違う動きをすることは、より脳を活発化させます。
脳トレをする際の注意点
次に介護施設や介護事業所で、レクリエーションとして脳トレを行う際の注意点を紹介します。
- 利用者さんに合わせた脳トレ・難易度を用意する
- 無理に参加させない
- 否定しない
- 職員も楽しむ
それぞれ説明していきます。
利用者さんに合わせた脳トレの難易度を用意する
同じ年齢の高齢者でも、認知症の症状や進行具合は異なります。
難しい脳トレができる人もいれば「今脳トレをしている」ということを認知できない人もいます。
そのため、利用者さんそれぞれに合わせた脳トレの難易度を用意することが大切です。
脳トレが難しすぎて、やる気を失ってしまう人もいるため「簡単すぎる」くらいがちょうどいいです。
無理に参加させない
脳トレを楽しめる人がいれば、あまり楽しくないと感じる人もいます。
高齢者に限らず、子供や成人した人でさえ「脳トレはやりたくない」と思う人は多くいます。
あまり難しい脳トレを用意すると、難しすぎてやる気を失ったり、考えるのが億劫と感じる場合があります。
ゲーム感覚で出来る脳トレを用意しましょう。
また、上手に出来たら「さすがですね!」「正解です!よくわかりましたね!」「上手です」などとたくさん褒めるようにしましょう。
たくさん褒めることで利用者さんのやる気が向上します。
否定しない
脳トレは問題に向き合う活動です。
そのため利用者さんは「間違えたら恥ずかしい」「失敗したら悔しい」などマイナスな感情を抱く場合があります。
利用者さんが間違ってしまっても「そこは違う!」「間違ってるよ!」と強い指摘や否定はせずに「間違えても大丈夫」「間違えても悪くない」と繰り返し利用者さんに伝えましょう。
また利用者さんが「悔しい」と感じた場合、介護士は共感を示し「悔しいね、でも次はきっと大丈夫!」などと前向きな気持ちになれるような声かけを行いましょう。
また、次の脳トレでは簡単な課題を出し「今回は正解です!さすがです!」と嬉しい言葉をかけることで、利用者さんのモチベーションを保ち続けることができます。
職員も楽しむ
利用者さんは、職員がピリピリしてる・疲れているといったネガティブな感情を察するため、常に仕事が忙しく、バタバタしていると利用者さんも不安になります。
職員も脳トレをレクリエーションとして笑って楽しむことで、利用者さんも楽しい気持ちになります。
レクリエーションとして職員も楽しんで、心地の良い空間を作りましょう。
楽しく脳トレを続けて認知症予防をしよう!
今回は高齢者が脳トレをした方がいい理由とおすすめの脳トレ、脳トレを行う際の注意点を紹介しました。
脳トレは、認知症予防や認知症の進行を遅らせる効果が期待できます。
また、レクリエーションとして、ゲーム感覚で脳トレをすることで、利用者さんの気分転換にもなります。
認知症予防や利用者さんの気分転換のためにも、定期的に脳トレを行っていきましょう。