足浴は利用者さんの下肢をキレイに洗う方法ですが、その他にも利用者さんの精神面を安定させるリラクゼーション効果もあり、利用者さんが楽しみにされている入浴方法です。
しかし、注意しなければいけない事も多く存在し、誤った認識で行うと利用者さんの身体に負担をかけてしまいます。
介護技術の中では喜ばれる事が多い施術ですが、簡単な施術法なのになぜ注意をしなければいけないのかを知らない方がほとんどです。
今回の記事では全身入浴に比べると負担が少なく、利用者さんからの精神面を支える正しい方法と注意点について詳しく解説をしていきます。
ぜひ参考にしてください。
足浴について
まずはどんな方に利用されているのかに解説します。
足浴というものは、お風呂に入るのが難しい方に向けた介助方法です。
利用さんの病気や疾患の種類によってはケアプランに組み込まれることが義務づけられているほど、身体や精神面にも有効とされています。
取り入れる必要がある病気や疾患
足浴をケアプランに組み込まれる理由は「お風呂を拒否される」「怪我をした状態でお風呂の介助が難しい」などの理由があります。
糖尿病を患っている人や高血圧による血液の滞りを改善されることや、手軽に行えることから高齢の方には特に人気の入浴方法です。
神経痛や身体に痺れがある人が症状を緩和させるために利用したり、安眠効果もあるので睡眠障害を持たれている方にも使われています。
効果
足浴などは日常生活でも利用されることがあるストレス解消方法ですが、具体的にはどんな効果があるのかを4つ解説をしていきます。
- 下肢の皮膚を清潔に保ち、感染症を防ぐ役割がある
- 血流障害を予防することができる
- リラクゼーション効果や睡眠促進効果がある
- 健康状態を把握することができる
上記について詳しく解説していきます
①下肢の皮膚を清潔に保ち、感染症を防ぐ役割がある
足浴を行うことで、下肢を清潔に保つことで感染症から身を守ることが可能です。
皮膚の汚れもそのままにしておくのは不衛生で感染症を起こす可能性があります。
身体を清潔に保つことは下肢が不衛生な状態になることを防ぎながら、皮膚を清潔に保つことで怪我や傷などを早く治すこともできます。
②血流障害を予防することが可能
下肢は体の末端部分なので、血の流れが滞りやすい部位です。
下肢を温めることにより全身の血行を良くすることで循環機能が高まります。
血の巡りが良くなると老廃物の排泄が良くなり、むくみ改善にも効果が期待されます。
③リラクゼーション効果や睡眠促進効果がある
下肢を温めることで、身体の疲労の軽減などの効果があります。
全身の血流が良くなることで血の巡りが良くなりリラクゼーション効果や睡眠しやすい状態になることができます。
身体を温める事とマッサージを併用することにより、効果をさらに高めることも可能です。
④健康状態を把握することができる
足浴の最大の特徴は下肢の状態から体全体の健康状態を把握できるという点があります。
下肢は第2の心臓とも呼ばれている部位で衣服を着ていると、じっくりみる機会がありません。
皮膚の状態や肌の色を観察することで、介護者が思わぬ病気の発見にも繋げることが可能です。
上記が目的になります。
リラックスをしていただくことも大切ですが、感染予防や下肢の状態からも病気の気配を感じることもあるのでしっかり観察することも大切です。
足浴をするときの注意点
身体を温めることで良い効果もたくさんありますが注意しなければならないことがあります。
下記では注意すべき点を5つ解説します。
- 利用者の身体を冷やしすぎないようにする
- 温度やマッサージの力加減には気を付ける
- 時間帯に注意する
- 下肢の状態を観察する
- 体調を観察する
詳しく解説していきます
①利用者の身体を冷やしすぎないようにする
足浴は20分程度を目安に手早く行い、体温が下がる前に終わらせ、余計な体力を消耗させないようにしましょう。
汗をかくことにより体温を奪われてしまわないようにしましょう。
下肢を濡らした後は下肢の水気をしっかり取ることも大切です。
②温度やマッサージの力加減には気を付ける
温度は39度から42度が適正とされていますが、介護者の腕で感じる温度と利用者さんでは感じる温度に違いがあります。
全身浴でも確認するように下肢お湯に浸ける前に必ず介護者が温度の確認をするようにしましょう。
また利用者さんの体に触れるときは、力加減には気をつけるようにしましょう。
利用者さんの身体に負担がかからないように力加減についても声かけをして心地いい時間にすることも大切です。
③時間帯に注意する
足湯の効果を最大限に高めるには行う時間帯も配慮することが大切です。
昼間の気温の高い時間に行うと利用者さんの負担を減らすことができます。
食後は血流が良くなり皮膚表面に血液が溜まりやすく、内臓機能が低下し消化不良を引き起こす可能性もあるので食後の入浴は控えた方が良いとされています。
④下肢の状態を観察する
観察しなければならないポイントは皮膚が乾燥していないか、臭いはないか、爪の状態などを観察する必要があります。
介護者は洗っている最中でも不調の兆候が出ていないかを確認しましょう。
特に水虫や爪白癬などを発見した場合は皮膚科などでの診察が必要となりますのでしっかり観察しましょう。
⑤体調を観察する
足浴後には体調に変化がないかを観察することも重要です。
急激に体温に変化があると、血流にも影響が出ることになり異変が起こる可能性もあります。
体調の異変には注意し脱水症状を予防するために水分補給を欠かさないようにしましょう。
上記が5つが注意点になります。
足浴の注意点をしっかり押さえて心地の良い時間を提供しましょう
全身浴とは違い、部分的な洗浄方法となりますが利用者さんには楽しみにされているサービスです。
リラックス効果もあるため日々の活力にも繋げることができ、利用者さんのご家族にも喜ばれるサービスでもあります。
私自身も介護家庭でもあり家族に足湯をすすめることがありますが、技術も特に必要なく誰でも行えることが強みだと感じています。
マッサージを行う場合やリラックス効果をより体感していただきたい場合には、利用者さんの好きな香りのアロマオイルなども使用することにより満足感を高めることも可能です。
行える時間は約20分と長い時間ではないので、短時間でも満足いただけるように工夫しましょう。
また、お湯に浸かること自体に拒否される利用者さんには蒸しタオルを使うことでも足浴と同じ効果がありますので、試してみてください。
アロマや蒸しタオルでの介護施術は必ず医師に確認しなければいけませんが、利用者さんが足浴を楽しみにする環境作りは全員で協力して作り上げなければいけません。
足浴はなぜ行われるのかをしっかり理解して、利用者さんの体に触れることが何よりも大切です。