足浴は家族介護でも使われることが多い、入浴方法の一つです。
今は電化製品屋さんに行くと、バブルタイプのものや温度調整ができるものなど様々なフットバス製品が並んでいます。
足浴はフットバスとも呼ばれ一般家庭でも親しまれていますが、本来はお風呂に入ることが困難な方に向けた介助方法です。
下肢を清潔にする目的もありますが、リラクゼーション効果や睡眠促進の効果もあるため利用者さんからも人気があるサービスです。
今回は介護に携わる方に向けた記事になります。
足浴をスムーズに行うのに必要な物品について詳しく解説をしていきます。
足浴はどんな方に向けて行われるのか
まずは足浴がどんな方に向けた入浴方法なのかを解説していきます。
足浴というものは、お風呂に入るのが難しい方に向けた介助方法です。
利用者さんの中には、全身浴が難しく下肢のみや上肢のみなど部分的にしか入浴できない方もいらっしゃいます。
また利用者さんの病気や疾患の種類によってはケアプランに組み込まれることが義務づけられているほど、身体や精神面にも有効とされているものです。
足浴をケアプランに組み込まれる理由はさまざまであり「お風呂を拒否される」「怪我をした状態でお風呂の介助が難しい」などが含まれています。
糖尿病を患っている人や高血圧による血液の滞りを改善するために利用されたり、神経痛や身体に痺れがある人が症状を緩和させたりと医療にも近しい効果があります。
期待できる6つの効果
足湯の主な効果は6つあるといわれています。
- 心臓への負荷が少なく、身体全体を温めることができる
- リラクゼーション効果があり、そのあとは睡眠しやすい体にすることができる
- 場所を選ばず施術ができるので介護側も利用者側も負担が少ない
- 倦怠感や吐き気などの症状を和らげる
- 血の巡りが良くなることで足の浮腫の治癒が期待できる
- 清潔に保つことで感染症から身を守る事ができる
温かいお湯にゆっくり浸かることで、血流を良くすることで病気の症状や疲労回復に繋がることから医療の現場でも利用されることが多いです。
しかし、足湯に長く浸かることで急激な体温の変化から風邪をひく可能性もあるため、約20分でとどめた方がいいとされています。
足は第2の心臓とも呼ばれていて、肌の色や浮腫などから身体の異常を早期発見できることもあるため介護士や看護師は状態をよく見る事が重要です。
爪の状態からも白癬菌や水虫などを発見した場合は、皮膚科の医師に診察をすすめましょう。
足浴に必要な物品
足浴を行うには道具を揃える必要があります。
現役の介護士である私が実際に現場にもっていく道具を紹介します。
人によって準備物は変わるかと思いますのが、参考にしてみてください。
準備物
- 大きい洗面器
- 小さめの洗面器
- ビニールシート
- バスタオル
- 液状石鹸
- ガーゼ
- 保湿液
- プラスチックグローブ
- マスク
- 爪切り
- ゴミ袋
- 自分用のタオル
大きい洗面器は足が入るくらいのサイズのものを選び、小さめの洗面器は掛け湯で使うことを想定すると選びやすいです。
保湿液や爪切りはケアプランに沿っていないといけないため、介護士の方は担当のケアマネージャーに確認をとってから行うようにしましょう。
自宅で行う場合は必ず時間を測れるように、タイマーを持ち込んだり時計の位置を確認して時間管理を行えるようにすることも大切です。
足浴の手順
足浴を初めて行う方は手順がわからず、自己のやり方で行う方もいるのではないでしょうか。
いきなり利用者さんにお湯をかけたりすると驚かれたり不信感を持たれることがあるので注意が必要です。
たくさんのやり方がありますが、手順を覚えておくことでスムーズな施術を提供することができるので学んで損はありません。
下記では一つの方法として手順の解説をさせて頂きます。
①利用者さんの姿勢を整える
利用者さんは施術を行なっている途中で疲れないように、姿勢を正す必要があります。
利用者さんはベッド上や椅子に座った状態で行なわれることが多いため、座位の姿勢を保てるようにします。
②必要な物品を準備する
洗面器を置く場所にビニールシートを敷いて水が飛び散らないようにしたり、お湯を洗面器に溜めたり施術の準備をしましょう。
来た時よりも汚して帰ることは介護士としては絶対に許されないことなので忘れ物がないように準備物をチェックすることも必要です。
③利用者さんが濡れないように準備する
利用者さんを裸足にして、衣類を膝くらいまで捲りましょう。
自身の衣類も濡れないように準備をして、利用者さんの許可を得てからプラスチックグローブを装着しましょう。
グローブをつけることを嫌がる利用者さんもいらっしゃるかもしれませんが感染症の恐れもあるため装着することを心がけましょう。
④適正温度かを確認する
入浴に適する温度は39度から42度が適正です。
お湯の温度の確認方法は自分の手で行うことが基本ですが、自身の感じる温度と利用者さんの感じる温度は違います。
必ず自身で確認をした後、利用者さんの足でもお湯の温度を確認してから浸けてもらうようにしましょう。
⑤下肢をお湯に浸ける
温度の確認をしていただいた後、ゆっくりと足首まで浸し15分から20分程度を目安に温めていきます。
利用者さんともコミュニケーションを取りながら時間やお湯の温度を調整することも心地いい時間を作るために必要なことです。
片麻痺の方の足浴は患側側から行うと、温度が感じにくいので健速側から行うようにしましょう。
⑥片足から洗っていく
足が充分に温まると、冷えがないかを確認しながら片足ずつ洗っていきます。
濡らしたガーゼに石鹸をつけて泡立てて、下肢の上部から指の間にかけて丁寧に洗っていきましょう。
石鹸は固形石鹸より液状石鹸が良いとされています。
その理由の一つで固形石鹸は石鹸かすが皮膚に残りやすく被れの原因になることから液状石鹸が良いといわれています。
利用者さんの状態を考えて使用する製品を選ぶことも大切です。
⑦反対側を洗っていく
片方を洗い終えたら、反対の足も同様に洗っていきましょう。
⑧濡れた下肢を拭いていく
両足を洗い終えたら、お湯に戻し再び温め利用者さんとコミュニケーションを取りながら洗面器から足を出して、バスタオルで優しく押し拭きしながら水気をとりましょう。
⑨整容を整える
ケアマネージャーから許可を得たら、保湿剤を塗ったり爪切りなどで整容を整えていきましょう。
独断では絶対にしてはいけないので注意が必要です。
上記が足浴の手順となります
順序を理解していると不足の事態が起きても対応ができるので自身でも手順を作っておきましょう。
足浴に必要な物品をキチンと揃えることで心構えも変わる
足浴は下肢を清潔に保つだけが目的ではなく、利用者さんにとってはリラックスできる時間でもあります。
特に今はフットバスの機械があるため、家族介護でも簡単に行えるようになりました。
しかし、今から初めて介護や看護の世界に入ってきた方は足浴に必要な物品がわからず、訪問先や施設内でも準備物に不足があることが多いです。
介護士や看護士側からすると仕事の一つかもしれませんが利用者さんからすると楽しみにしていた行事の一つです。
利用者さんの日常に彩りを提供するためにも、準備や心構えは必要不可欠なものなので、しっかりと準備を整えてから足湯を行いましょう。