介護職

介護現場で使う移乗介助とは?移乗介助の仕方のコツや注意点を解説!

移乗介助とは、ベッドから車椅子へ移るときや、車椅子からベッドに移るときに、介護士がサポートすることです。

介護施設や介護事業所で働いている方は、ほぼ毎日移乗介助を行います。
しかし、間違った方法で移乗介助を行い、事故が起こってしまうケースは少なくありません。

そこで今回は、正しい移乗介助の仕方や介助をする際の注意点を紹介します。

移乗介助とは?

前述した通り、移乗介助はべッドや椅子などから車椅子へ移るときや、車椅子からベッドや椅子などに移るときに、介護士がサポートすることです。

車椅子から車椅子へ移動する場合もあります。

移乗介助に限ったことではありませんが、介助には4段階あります。

  1. 自立
  2. 一部介助
  3. 半介助
  4. 全介助

それぞれ解説します。

自立

自立は、利用者さんが1人で特定の行動を行えることを指します。

自立している利用者さんは車椅子は使用せず、杖や歩行器を使って自分で移動している利用者さんがほとんどです。

基本的に、自立している人に移乗介助を行う必要はありません。

一部介助

一部介助は、自立に近い状態ではあるが見守りや誘導が必要な状態です。

移動する際は、1人で移動せず、必ず介護士が近くで見守る必要があります。
移動する際に邪魔になる物は片付ける、立ち上がる時やふらついた時だけ支えるなど簡単なサポートをします。

半介助

半介助とは、自分でできることが限られているため、介護士のサポートが必要な状態です。軽介助とも呼ばれています。

移乗介助をする際は、利用者さんに地面に足を着けてもらった状態で、介護士が体を支え介助を行います。

全介助

全介助とは自分でできることが少なく、介護士がほぼ全ての行動をサポートする必要がある状態です。

移乗介助をする際は、利用者さんに地面に足を着けてもらう必要はなく、介護士が利用者さんを持ち上げます。職員2人で行うこともあります。

移乗介助のやり方

次に正しい移乗介助のやり方を紹介します。

正しい移乗介助のやり方・半介助

半介助の場合は、利用者さんに実際に立ってもらうことがほとんどです。

介護士が利用者さんを支えながら立ってもらい、少しずつ車椅子からベッド、またはベッドから車椅子に移動します。

ベッドから車椅子への移乗介助のやり方を紹介します。

まずは、利用者さんにベッドに浅く座ってもらうよう声をかけましょう。

そして、移動する際は手すりなどに掴まってもらい、介護士は利用者さんの脇に手を入れ、立つ準備をします。

立つ際は、利用者さんとタイミングを合わせる必要があるので「せーの」など掛け声を掛け、ゆっくり立ち上がってもらいましょう。

基本的には、立ったり座ったりする作業や、ベッドから車椅子に移動する作業は利用者さんが行います。

介護士は、利用者さんの脇に手を入れたまま、軽く支える程度です。

車椅子からベッドに移乗介助する際も同様の方法で行います。

正しい移乗介助のやり方・全介助

全介助の方のベッドから車椅子へのやり方を紹介します。

体を利用者さんに密着させ、肩甲骨と反対側の骨盤を支えます。

車椅子側の手で肩甲骨を支え、反対側の手で骨盤を支えましょう。

移乗介助を行う際はゆっくり腰落とし、利用者さんが前傾姿勢になるように意識します。

利用者さんが前傾姿勢になるようにお尻を浮かせたら、そのまま向きを変え、車椅子にゆっくり腰を降ろしてもらいましょう。

移乗介助のコツ

次に移乗介助のコツを紹介します。

移乗介助の仕方は利用者さんの体調・介護度・シチュエーションによって異なりますが、基本的には以下のコツを押さえれば問題ありません。

  1. 環境を整える
  2. ベッドと車椅子の間は15〜30度
  3. 利用者さんとコミュニケーションを行う
  4. 利用者さんに動きを合わせる

それぞれ説明します。

環境を整える

移乗介助を行う前に環境を整えましょう。

ベッドの柵やナースコールのコードなどは、移乗介助の際に邪魔になってしまうため、すべて片付けましょう。

全介助の場合、利用者さんが反射的にベッドの柵を掴んでしまい、怪我をする恐れがあるため、ベッドの柵は頭側の柵と足側の柵、全てを取る必要があります。

しかし半介助の場合、利用者さんは柵に掴まることができますので、頭側の柵は取らなくても問題ない場合がほとんどです。

車椅子のフットレストやアームサポートは外しましょう。

ベッドの高さも上手に調節しましょう。

半介助の場合は利用者さんがベッドに座った際、必ず床に足が着く位置まで調節します。

全介助でベッドから車椅子に移動する場合は、ベッドの位置を車椅子よりも高くしておくと、介助しやすいです。

ベッドと車椅子の間は15〜30度

移乗介助を行う際、ベッドと車椅子の位置が遠いと事故に繋がるため、なるべくベッドと車椅子は近づける必要があります。

ベッドと車いすの理想的な角度は15〜30度です。

利用者さんとコミュニケーションを行う

移乗介助だけに限ったことではありませんが、介助を行う際は必ず利用者さんとコミュニケーションを取りましょう。

急に利用者さんに触れたり、体を動かしたりしてしまうと、利用者さんが不安に感じる場合があります。

痛いところはないか、体調は悪くないか聞きましょう。

普段は半介助の利用者さんに痛いところがある・体調が良くない場合は、必要に応じて介助方法を全介助に切り替えたり、車椅子に移動するのをやめて休んでもらったりする必要があります。

利用者さんに動きを合わせる

移乗介助を行う際は、利用者さんとタイミングを合わせることが大切です。

立つ際は「せーの」などと掛け声を掛け、利用者さんのタイミングに合わせて介助を行います。

利用者さんの動きやタイミングを合わせずに介助を行うと、自分の腰を悪くしてしまう可能性があります。
そして、利用者さんが痛い思いをする場合もあります。

移乗介助を行う際の注意点

移乗介助を行う際に注意してほしいことは以下の通りです。

  1. 腕の力だけで介助しない
  2. 車椅子は定期的に点検する
  3. 無理に移乗介助を行わない

それぞれ説明します。

腕の力だけで介助しない

移乗介助を行う際は腕の力だけで介助しようとせず、全身の力を使いましょう。

腕の力だけで介助すると、腕に力が入らなくなったり、腕の力が抜けたりして体勢を崩してしまうことがあります。

事故の原因にもなりますので、必ず全身を使って介助を行いましょう。

車椅子は定期的に点検する

車椅子は定期的に点検し、安全を確保しましょう。

正しく移乗介助を行っていても、車椅子が壊れていれば事故に繋がります。

特にブレーキがきくか確認しましょう。うまくブレーキがかからない場合は、早めに修理に出しましょう。

利用者さんの命に関わるため、ブレーキがかからない車椅子がある場合は絶対に使用してはいけません。

無理に移乗介助を行わない

利用者さんが怪我をしている場合や利用者さんの体調が良くない場合は、無理して車椅子に乗ってもらう必要はありません。

怪我をしているときや体調が良くないときに無理に立ってもらうことは転倒事故に繋がります。

必要に応じて部屋で食事をしてもらったり、オムツを着用してもらいましょう。

正しく移乗介助を行い利用者さんの安全を守ろう

今回は、正しい移乗介助の仕方・コツ・注意点を紹介しました。

介護施設や介護事業所で働いている方は、ほぼ毎日移乗介助を行いますが、一歩間違えると事故に繋がってしまうことがあるため、慎重に介助を行う必要があります。

事故が起きないように、本記事で紹介した注意点もぜひ参考にしてください。

ABOUT ME
瀬古高行
医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。株式会社femto代表取締役。
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