最近、ニーズが高まっている介護職。
安定している介護職に就職・転職をする方が増えています。
しかし「介護職にはなれたけど、わからないことがたくさんある」「利用者さんと信頼関係を築けない」と悩んでいる新人介護士もいるのではないでしょうか。
介護の基本を知らないまま仕事をすることは、思わぬ事故やトラブルの原因になります。
また、介護の基本的な考えを知らないと、利用者さんとの信頼関係を築くのは困難でしょう。
今回は介護の基本や介護に対する基本的な考え方を紹介します。
介護職を目指しているや介護職になって間もない方はもちろん、すでに介護士のとして数年働いている方もぜひ参考にしてください。
介護とは?
介護とは、支援を必要としている高齢者や障がい者の身の回りのお手伝いやお世話を行ったり、自立に向けて支援を行ったりすることです。
一般的には、高齢者に対しては身の回りのお世話や穏やかな日々を過ごせるための支援、看取りなどを行います。
一方で、障がい者や事故などで体が不自由になってしまった方の介護は「自立」を目的としている場合がほとんどです。
押さえておきたい介護の基本・ポイント
まずは、介護の基本やポイントを紹介します。
利用者さんの安全を第一に優先する
介護職は、適切な判断力が必要です。
もし、現場で自分1人しかいないときに思わぬ事故やトラブルが起こった際、瞬時に適切な判断をしなくてはいけません。
たくさんの選択肢があり、何をすればいいのか迷ってしまう場合は、必ず利用者さんの安全面を第一に優先しましょう。
また、早く仕事を終わらせるために効率を重視してしまう職員もいるでしょう。
「忙しいから効率よく仕事をしたい」と思う気持ちはよくわかりますが、効率やスピードを重視した介護は非常に危険です。
思わぬ事故の原因になります。
どんなときでも、利用者さんの安全を第一に優先することが大切です。
身体介助だけが介護じゃない
多くの介護士が見落としてしまいがちなのが「利用者さんの心のケアも仕事のうち」だということです。
食事介助や入浴介助、移乗介助だけが介護職の仕事ではありません。
利用者さんが毎日を穏やかに過ごせるため、最善を尽くすのも介護士の仕事です。
利用者さんは高齢の方が多く、高齢者は身体機能の低下や病気の発症、社会的な役割喪失、孤独などが原因でうつ病になりやすいといわれています。
利用者さんが最期まで穏やかな毎日を送れるように、介護士は利用者さんのメンタルケアも行う必要があります。
不安や恐怖心を与えない
仕事が忙しい、やることがたくさんあるなどの状況に置かれると、思わずいつもより強い口調で「待ってて」「座ってて」「ご飯食べて」など言ってしまう方もいるのではないでしょうか。
自分では強く言ったつもりはなくても、利用者さんにとってはキツイ言い方だったと感じるかもしれません。
忙しいときこそ、言葉遣いや自分の行動に気をつける必要があります。
また「ご飯は全部食べて!」や「早く寝て!」などの命令口調は相手に恐怖心や不安を与えます。
相手に不安や恐怖心を与えるような声掛けをしてはいけません。
敬意を表す言葉遣いをする
利用者さんと会話をする際は「丁寧語」を使います。
丁寧語とは、相手に敬意を表す言葉です。
利用者さんと仲良くなり、信頼関係を築くのはとても大切なことです。
しかし、仲良くなったからといって利用者さんとタメ語話したり、名前に「ちゃん」や「くん」を付けて呼んだりすることはよくありません。
どんな時でも、敬意を表す言葉遣いをしましょう。
必ず声かけを行う
介助をする際は、必ず声かけを行いましょう。
何の説明もされずに介助を行うことは、利用者さんに恐怖心を与えます。
例えば、お風呂に入ることを伝えずに、利用者さんの服を脱がしてしまうと、利用者さんは「どうしてこんなことするの?怖い」と不安や恐怖を感じてしまいます。
必ず「これから何をするのか」を利用者さんに伝えた上で介助を行いましょう。
介護の基本的な考え方
次に、介護の基本的な考え方を紹介します。
介護の基本的な考え方を知ることにより、より働きやすくなるでしょう。
自分がしてほしいことをする
介護をするにあたり、常に覚えておいてほしいことが「もし、自分が認知症などになったら、してほしいと思えるケアをする」ということです。
前述したように、忙しいときや時間に追われているときは、ピリピリしがちです。
思わず「待ってて!」「座ってて!」などときつい言葉を言ってしまう方もいるでしょう。
中には「認知症だから、きつい言葉で言っても相手は何も覚えてない」と考える方が少なからず、いるかもしれません。
しかし、利用者さんは認知症を患っていようが嫌なことは覚えています。
正確には、何を言われたのかは思い出せないけど、嫌な思いをしたことは覚えています。
そのため「認知症だから、覚えてない」「高齢者だからすぐ忘れる」などの考え方は捨て、自分が介護される側になったらしてほしいと思えるケアをしましょう。
本人ができることはしてもらう
介護の仕事は支援することです。
介護職は、つい利用者さんの身の回りのことを全てやってしまいがちです。
利用者さんが自分でできることは、利用者さんにしてもらいましょう。
利用者さんが自分でできることを奪ってはいけません。
また、出来ることを自分で行うことは、認知症予防や認知症進行予防に最適です。
BPSDの原因を考える
BPSDとは、認知症を患っている利用者さんにみられる行動症状・心理症状のことをいいます。
たとえば、以下のような症状があります。
- 怒りっぽくなる
- ウロウロ動き回る(徘徊)
- 暴言や暴力がみられる
- 不穏になる
- 帰宅願望がある など
これらの症状は、認知症だから起きている症状ではありません。
それぞれしっかりした原因が存在します。
今回紹介した症状では、以下のような原因が考えられます。
・怒りっぽくなる→ 孤独感や自身の身体機能の低下を受け入れられない
・ウロウロ動き回る→ トイレを探している
・暴言や暴力がみられる→ 体調不良や痛みを訴えている
・不穏になる→ 不安を感じている
・帰宅願望がある→ 家に帰って子供たちの夕ご飯を作らないといけないと思っている など
認知症を患っている利用者さんの行動には、必ず意味があります。
また、介護士からは理解が難しいような行動をしている場合は、昔の習慣による場合があるので、利用者さんの昔の習慣などを知るのも大切です。
たとえば、毎朝出勤していた人は朝ご飯を食べ終わったら施設から出ようとしたり、毎日家族の夕飯を用意していた人は夕方になると料理をしようとしたりします。
利用者さんの昔の習慣や趣味・働き方などを把握することで、利用者さんのことをより知ることができ、適切な対応が可能です。
介護の基本を押さえて、利用者さんと信頼関係を築こう
今回は現場で必要な介護の基本や、介護の基本的な考え方を紹介しました。
介護職は未経験・無資格から目指せるため、簡単な仕事だと思っている方もいるでしょう。
しかし介護職は奥が深く、難しい仕事です。
利用者さんの命を預かっているため、責任感が重い仕事でもあります。
今回紹介した介護の基本や介護の考え方を、ぜひ参考にして、利用者さんと素敵な関係を気づいてください。