介護職

車椅子移乗をする際のポイント・注意点を解説!移乗で起こりやすい事故の例も紹介

ベッドから車椅子への移乗、または車椅子からベッドへの移乗。

車椅子移乗は体力を使うだけではなく、利用者さんの転倒や転落リスクも大きいため、車椅子移乗に対して苦手意識を持つ介護士も少なくないでしょう。

間違った車椅子移乗は事故につながるだけではなく、介護士の腰を痛めてしまうこともあるため、正しい車椅子移乗を行うことが大切です。

今回は、車椅子移乗をする際のポイントや車椅子移乗で起こりやすい事故の例を紹介します。

車椅子移乗のポイント

ベッドから車椅子に移動する際、または車椅子からベッドに移動する際のポイントを紹介します。

車椅子移乗を行う際は以下の点に気をつけましょう。

  • 環境整備
  • 利用者さんの体制
  • 介護士の姿勢
  • 利用者さんの体の動きに合わせる
  • 移乗後の体制

それぞれ順に紹介します。

環境整備

車椅子移乗を行う際はベッドストッパーやコード、柵など移乗の際に邪魔になる可能性がある物を全て片付ける必要があります。

これらがベッドの上や車椅子にあると、移乗の際に利用者さんの皮膚などに当たって怪我をしてしまう恐れがあります。

特に柵に関しては、頭側の柵を取らずに移乗を行う方も多いでしょう。しかし、柵を全て取らないと全介助でベッドから車椅子に移乗する際、利用者さんの手が柵に引っかかってしまったり、利用者さんが反射的に柵を掴んでしまい、介護士と共に転倒してしまう可能性があります。柵は頭側と足側、両方の柵を取りましょう。

また、ベッドの高さも調整すると良いでしょう。

ベッドから車椅子に移乗する際は、ベッドの高さを車椅子よりも高く。車椅子からベッドに移乗する際は、ベッドの高さを車椅子よりも低くしましょう。

利用者さんが移動する先を、あらかじめ低く設定することにより、移乗介助がしやすくなります。

車椅子の準備に関してはフットサポートを上げ、レッグサポートを外しましょう。

アームサポートが外れる車椅子を使用していたら、アームサポートも外しましょう。

全介助の場合は車椅子とベッドとの角度が30度〜45度になるように、車椅子をベッドに近づけてください。

この時に、必ず車椅子にブレーキをかけましょう。

利用者さんの体勢

移乗する環境が整ったら、利用者さんの体勢を整えましょう。利用者さんには、ベッドに浅く座ってもらい、両足がしっかりと床についていることを確認してください。

軽介助の場合は、靴を履いていることを確認してください。裸足、靴下だけだと介助中に滑って転倒してしまうリスクがあります。

介護士の姿勢

車椅子移乗では、介護士の姿勢も大切です。

介護士は片方の手で車椅子側の肩甲骨と、もう片方の手で反対側の骨盤を支え、利用者さんと密着しましょう。

介護士は、腰を痛めないために足をしっかり開くことが大切です。

可能であれば片足を利用者さんの足の間にいれ、もう片方の足を車椅子に近づけましょう。

利用者さんの体の動きに合わせる

移乗する際は、利用者さんのペースや体の動きに合わせることが大切です。

移乗する際は利用者さんの体を丸めて、前傾姿勢を意識しましょう。

この前傾姿勢は、介助される人の骨格や関節などの動く仕組みを考慮した「ボディメカニクス」という原理です。

私たち人間が立つときは、必ず前傾姿勢になる必要があります。前傾姿勢にならずに、座った状態からスッと立ち上がることは、人間の構造上不可能です。

座っているときに人差し指でおでこを抑えられると立ち上がれなくなってしまうのも、この「ボディメカニクス」という原理が関係しているからです。

移乗する際も利用者さんの体を丸て、重心を前へずらすことにより、スムーズに移乗することができます。

なお、移乗する際は介護士が腰を痛めないように、腰を下ろして移乗しましょう。

お辞儀をするようにお尻を突き出した体制で移乗すると、腰を痛めてしまいます。

しかし「腰を下ろす」といわれても、いまいちよくわからない人も多いと思います。

私も介護を始めた頃は「お尻が出てる!腰痛めるよ!」と何度も注意されました。

「腰を下ろす」がよくわからない人は、スクワットをイメージするといいでしょう。

お辞儀のように背中は曲げずに、足を開いた状態でスクワットをしてみると「腰を下ろすこと」のイメージがつきやすいでしょう。

移乗後の体制

移乗が終わったら、利用者さんの体勢や姿勢を確認しましょう。

車椅子からベッドに移乗した場合、服の皺を伸ばしたり、枕の位置を直したりと利用者さんが休みやすい環境に整えましょう。

ベッドから車椅子に移乗した際は、しっかり深く座れているかが確認ポイントです。

深く座れていない場合は「座り直し」を行いましょう。

車椅子移乗で起こりやすい事故の例

車椅子移乗は転落や転倒事故のリスクが高いため、移乗を行う際は本記事で紹介した点に気をつけて、移乗介助を行いましょう。

しかし、どんなに気をつけていても事故が起こってしまうことはあります。

経験が豊富な介護士は、移乗を行う際に起こりやすい事故を既に把握しているため、事故が起こる確率も低いです。しかし、介護士になったばかりの人や経験が浅い人は、どのような事故があるか把握していないことも多いため、比較的事故が起こりやすいです。

次は、移乗介助で起こりやすい事故の例を紹介します。

利用者さんの足に力が入らなかったため転倒

車椅子移乗の際に、利用者さんの足に力が入らず膝がカックンとなってしまったことが原因で転落・転倒してしまう事故があります。

特に軽介助、見守りのみの利用者さんに起こりやすい事故です。

「この方は1人でも大丈夫」と介護士が油断してしまっているときによく起こります。「1人でも大丈夫」と油断してしまうと、万が一利用者さんが目の前でふらついてしまっても、利用者さんを瞬時に支えることは困難です。

移乗をする場合は、常に気を引き締めておきましょう。

カテーテルが抜けてしまう事故

移乗の際にカテーテルが抜けてしまう事故もあります。

カテーテルがベッドのどこかに引っかかっていることに気づかず、移乗した際にカテーテルが引っ張られてしまい、抜けてしまうことがあります。

カテーテルをしている利用者さんを移乗する際は、カテーテルがどこかに引っかかっていないか必ず確認を行いましょう。

また、移乗の際に引っかかってしまう恐れがある柵は全て外しましょう。

ブレーキをし忘れて転倒・転落

車椅子のブレーキをし忘れてしまったことにより車椅子が移動してしまい、利用者さんが転倒してしまった事故もあります。

移動するとき以外は、必ず車椅子にブレーキをかけましょう。

また、ブレーキは片方だけではなく、左右両方かけましょう。

私が介護職員として働き始めて間もない頃は「ブレーキは片方だけでも充分」だと思っていたのですが、先輩から「必ず両方かけて」と教えてもらいました。

ブレーキを片方だけかけても車椅子は動いてしまうため、ブレーキの意味はほとんどありません。両方にブレーキをかけましょう。

正しい知識を身につけて事故を防ごう

今回は車椅子移乗をする際のポイントや注意点、車椅子移乗で起こりやすい事故の例を紹介しました。

介護士としての経験が浅い頃は、移乗に関して苦手意識を持ってしまう人も多いでしょう。

しかし、正しい方法で移乗介助を行うことで、確実に介護スキルを身につけることができます。

また、車椅子移乗で起こりやすい事故も把握しておくことで「怖いから、今まで以上に気をつけよう」という気持ちが芽生えることでしょう。

車椅子移乗を行う際は、本記事で紹介した介助のポイントを意識し、安全な介助を行いましょう。

ABOUT ME
瀬古高行
医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。株式会社femto代表取締役。
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