看護師

【看護師向け】服薬管理をはじめてする方に|コツや工夫、注意点を解説

「はじめての服薬管理で何をすればいいかわからない」

「服薬管理のコツを知りたい」

このように悩んでいませんか?

服薬管理は服薬者本人の命を預かる仕事なので、服薬管理がうまくできなかったり、服薬指導を間違えたりするのは避けたいですよね。

本記事では、はじめて服薬管理をする看護師に向けて、服薬管理の方法、コツや工夫、注意点をお伝えします。

忙しい看護師の負担が減る服薬管理方法

医療業界の人員が不足していることもあり、看護師一人ひとりに負担がかかりやすいです。

そのため、出勤時にいつも大変な思いをしている方もいるでしょう。

そのような方でも、下記の2つのアイテムを取り入れることで服薬管理の負担が軽減されます。

  1. 服薬ボックス
  2. 服薬カレンダー

それぞれを用いた服薬管理方法、メリットを紹介します。

服薬ボックス

服薬ボックスのなかは細かく仕切られており、薬を分けてセットできます。

セットの仕方はさまざまですが、曜日ごとに朝・昼・晩・寝る前で仕切りを分けてセットするとわかりやすいです。

使用するメリットは、以下のとおりです。

  • 持ち運びに便利
  • 軽い
  • 1週間分の薬を管理できるものもある
  • 服用状況に合わせてさまざまなタイプがある
  • コンパクトで保管場所に困りにくい

服用者本人の家で保管をする場合でも、看護師が持ち運ぶ場合でも、軽量でそれほどサイズも大きくないため負担になりにくいです。

使用するデメリットは、紙でできた箱を用いる場合、扱いに注意しないと潰れてしまうケースがあります。

服薬カレンダー

服薬カレンダーは、曜日や時間帯ごとに仕切られたカレンダーです。

仕切られたポケットの中に薬を入れてセットします。

壁にかけて使用するため、看護師も服用者本人も一目見て服用したかどうかがわかる。

使用するメリットは以下のとおりです。

  • 壁にかけられるため保管場所に困らない
  • 誰が見ても一目見て服薬状況がわかる
  • 視覚に入りやすく周囲の人も飲み忘れに気づきやすい

使用するデメリットは、服薬カレンダーは大きいため、壁にかけられる場所を考えなくてはならないことが挙げられます。

また、ポケットにフタがないタイプが多いため、落ちてしまったときにセットしている薬が飛び出し、セットし直さなければならない可能性もあります。

服薬管理時に必ずチェックする「5項目」

服薬管理を正しく行うために、必ずチェックしなければならない5項目があります。

  1. 服用者本人の身体状況
  2. 薬の説明や内容の理解度
  3. 効果・副作用など身体の変化
  4. 服用を拒否する理由
  5. 多剤服用者の過剰投与はないか

各項目のチェック内容、着目ポイントを解説します。

【チェックポイント1】服用者本人の身体状況

まずは、服用者本人が自分で服用できるかをチェックしましょう。

着目ポイントは、以下の5つです。

  1. 視力
  2. 聴力
  3. 手指の動き
  4. 認知機能
  5. 嚥下機能

上記でそれぞれ確認する項目は、以下のとおりです。

【視力】

  • 薬を見分けられるか
  • 薬の説明書きが見えているか

【聴力】

  • 看護師の説明が聞こえるか

【手指の動き】

  • 薬をもったまま口の中に運べるか

【認知機能】

  • 薬を認識できるか
  • 薬の種類や服用方法を覚えられるか

【嚥下機能】

  • 薬が飲み込めるか
  • 誤嚥を起こさないか

これらは、介助の範囲、必要な補助アイテムの判断材料となります。

必要であれば、薬剤師に薬の形状の変更などを依頼しなければならないため、服用者の身体状況を知る必要があります。

【チェックポイント2】薬の説明や内容の理解度

薬の説明や内容をどのくらい理解できているかのチェックも、正確に服薬管理をするために欠かせません。

理解度をチェックするために、以下のことを聞いてみましょう。

  • 薬の目的
  • 服用量
  • 服用方法・タイミング
  • 服用回数

上記項目の状況チェックは、薬を飲むとき常にそばに付き添ったほうがいいか、別の作業をしてもいいかの判断材料となります。

また、情報を共有しきれていない状態も把握できる可能性もあります。

たとえば、服用者の情報として上がっていなかったが認知症の可能性が見えた、性格や年齢的に物覚えが苦手な傾向にあるなどの詳細情報です。

療養者本人の傾向なども細かく把握したほうが管理がスムーズになり、また正確性も上がります。

【チェックポイント3】効果・副作用など身体の変化

薬の効果や副作用などの身体の変化をチェックすることは、服用者の健康と安全を守ることにつながります。

年齢を重ねると肝機能と腎機能が低下し、薬の代謝・排泄機能に影響がおよびます。

具体的には、代謝時間、血中濃度、薬理作用の時間が変わり、効きはじめる時間の遅延、血中濃度の上昇、体に蓄積されやすくなるといったことです。

よって、薬を飲んだあとの反応によっては、服用量調整や薬の種類変更などが必要になるケースがあります。

服薬管理は、ただ正しく薬を飲ませるだけが目的ではありません。

本人が薬により重篤な副作用を起こさないか、薬が適しているか、効果がきちんとあらわれるかなどを把握し、安全を管理することも含まれるので、身体の変化は必ずチェックしましょう。

【チェックポイント4】服用を拒否する理由

薬を飲まなければ病気の進行を阻止したり、改善したりできません。

しかし、服用者が「薬を飲みたくない」と拒否することがあります。

拒否する理由は必ずあるのでその理由を知り、正しく対応することが大切です。

拒否する理由の例には以下があります。

  • 服用すると体調が悪くなる
  • 薬の効果がない
  • 薬が飲みにくい
  • 毒物だと思い込んでいる

上記のように、副作用や飲みにくく喉につまらせるのが怖くて飲みたくない方、効果がなく飲むことをためらっている方、認知症などで毒物と思い込み拒否している方がいます。

このような恐怖や悩みに寄り添うことも、大切な服薬管理の役割です。

【チェックポイント5】多剤服用者の過剰投与はないか

薬が重複していると過剰投与につながり、副作用のリスクを高めたり、効果が強すぎたりする恐れがあります。

高齢者は複数の病気を持っており、服用している薬が多い人もいます。

薬は受診科目や受診している医療機関ごとに処方されるため、現在飲んでいる薬の種類を完全に把握することは困難です。

受診する際に問診票で現在飲んでいる薬の種類を記入する欄はありますが、正しく細かいところまで覚えている人はなかなかいません。

よって、薬が重複する可能性もあるため、多剤服用者を担当する際は薬の種類をチェックする必要があります。

服薬管理のポイント

服薬管理を正確に行うために、最初の訪問時に残薬チェック・管理を行いましょう。

最初の訪問時は、服薬管理がきちんとできておらず、残薬がたくさんあるケースや服用を中止している薬を保管しているケースが多々あります。

間違って服用しないための対策として、残薬や使用を中止している薬を整頓することが大切です。


分別はジップロックや輪ゴムを使用すると管理が楽になります。

看護師が認知症の方の服薬管理で気を付ける「2つ」のこと

認知症の方の服薬管理をする場合は、以下の2点に気をつけましょう

  1. 食事に薬を混ぜない
  2. 服薬が完了するまで目を離さない

食事に薬を混ぜると「毒物を混ぜられた」と思い込み、パニックを起こす恐れがあります。

また、薬を飲み込み終えるまでに目を離して後で確認しても、薬の存在や飲んだかどうか覚えていません。

薬は薬だけで飲ませる、しっかりと服薬できたか把握するためにも、最後まで目を離さないことを意識しましょう。

服薬管理方法を身につけて安全に進めよう

服薬管理は在宅療養者の不安や悩みを解決しつつ、心身の安全を守ることが仕事です。

服薬ボックスや服薬カレンダーを使用して管理を簡素化することで、自分の業務負担を減らせるほか、管理のしやすさから事故の予防にもつながります。

加えて、在宅療養者の身体状況をチェックすることも、正確に服薬管理をするために必要な情報なので、よく様子を観察するようにしましょう。

ABOUT ME
瀬古高行
医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。株式会社femto代表取締役。
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