看護師

訪問看護における認知症ケアの方法&認知症患者さんとの関わり方について徹底解説!

訪問看護の現場では、医療的ケアである点滴や、療養上の世話である清拭やシャワー浴などの容姿を整えるケアを行います。

訪問看護は基本的に介護保険をお持ちの方に行われるサービスで、利用される年齢層は60歳以上の方が半数を占めており、認知症を抱える方も多くいらっしゃいます。

今回の記事では、訪問看護での認知症ケアについて詳しく解説をしていきますので、認知症の方の看護介入に悩まれている方は、参考にしてみてください。

利用者さんの状態の把握

認知症を抱えている利用者さんは、理解力や判断能力、記憶力が低下しているため「自分の身に何が起こっているかわからない、自分の状態を他者に伝えることが難しい」状態にあります。

本人も不安に思っている中で看護師に自分の身を委ねることは、悔しい気持ちを持たれている方もいますので心のケアも必要になります。

利用者さんは認知症以外にも、複数の疾患を抱えていることが多く、状態の変化には常に気を使わなければなりません。

バイタルサインだけを気にするだけではなく、本人の発言や言動、生活の中での些細な変化を察知し考察することで、病気の早期発見にも大いに役立ちます。

また、訪問看護師は食事の観察、聞き取りを行うことで栄養面でもバランスを整え、体調管理の支援ができます。

認知症の症状を観察して主治医と情報共有をする

認知症は現在、治るものではないといわれています。

しかし、認知症の進行を遅らせる薬は処方されているため、訪問看護師は確実に利用者さんに毎日服薬してもらう必要があります。

服薬してもらう方法は利用者さんの性格や環境、ご家族の有無や関係性によって異なりますので、その人に合った方法を提案しなければなりません。

一回ずつ手渡しが必要なのか、カレンダーに服薬日の印をつけるのみの支援でいいのかは認知症の進行度合いによっても様々です。

利用者さん自身も今まで自分で行ってきた薬の管理が、第三者の力を借りないとできない憤りを感じることや、管理方法の変更で混乱することも考えられます。

利用者さんが必要性を理解をし安心していただけるように、誠意のある寄り添いをしながら自尊心を傷つけることがないように根気よくケアに臨むことが大切です。

日常生活の維持に努めること

認知症は症状が進むにつれて以前のような活動ができなくなります。

読書が好きだった人が文字を読むのが難しくなり本を読まなくなったり、テレビを少しずつ観なくなったりする方もいらっしゃいます。

利用者さんは自ら動くことが少なくなっていき、筋力も低下していくため、訪問看護師は体力や動作能力を維持する働きかけも提案することも仕事です。

在宅生活の維持を目的にした訓練や運動なども提案して支援をします。

認知症が進行すると利用者さんは自宅にこもりがちになり、機能低下をすることもありますが、訪問看護や訪問介護を使うことにより機能低下を防ぐことも可能です。

利用者さんが理学療法士とうまく付き合うことでデイサービスに通うようになった例があり、キッカケは様々ですが、認知症の方も人との関わりが活力になります。

自身でできなくなったセルフケアの介助

認知症の症状が進行すると、今までできていた入浴と排泄も自身で行うことが困難になります。

入浴はシャワーの使い方や石鹸・シャンプーがわからなくなり、自然に遠ざけるようにもなります。
排泄は失敗することが増えていき、嫌になる方がいるので配慮が必要です。

訪問看護では、自身では困難になったセルフケアの支援を行うことがあります。

「お風呂に入るのは好きだったけど、今では全く入らなくなった」と悩まれているご家族は多く、利用者さんは「看護師に手伝ってもらえないとお風呂にも入れない」と悩む方や羞恥心を感じる方もいらっしゃるため、十分な配慮が必要です。

入浴の支援も全て行うのではなく、利用者さんができるところは自身でやってもらうことで、気持ちよく入浴をしてもらえます。

入浴の介助はご家族や利用者さんも喜ばれることが多く、気持ち良い時間を送ってもらうことで心のケアにも繋がります。

心に寄り添うケアが求められる

認知症は誰しもがかかりうるものではありますが、いざ自分が診断をされると気持ちが落ち込む方がほとんどです。

また、認知症の理解がない方と関わることで、深く傷ついてしまうことも少なくありません。

訪問看護では利用者さんに精神面での支援も行うため、自尊心を傷つけたり、自己肯定を下げるような関わり方をしてはいけません。

しかし、あまりに利用者さんに気を遣いすぎる関わり方はかえって不安な気持ちにさせてしまう可能性があるため、いつも通りの支援をすることをオススメします。

利用者さんができない部分を寄り添ってカバーをして、認知症でない方と同じ関わり方をすることで、利用者さんも安心できるので気負いすぎないようにしましょう。

精神面が安定すると、生活リズムが整い休息も十分にとれるようになるので、認知症の方との関わり方は徹底して学んでください。

認知症の症状で精神バランスが崩れてしまう場合は、医療機関と情報を共有して服薬の調整を検討してもらいましょう。

認知症は未だ、痴呆やボケなど社会的にまだまだ病気として扱われないことの方が圧倒的に多いです。

だからこそ、介護や看護に携わる人は病気の症状だけを見るのではなく、利用者さんがこれまで歩んだ人生をみることも大切な仕事の一環です。

介護、看護がただの作業にはならないように気をつけましょう。

ご家族の介護疲れを軽減させる

これまで認知症のことは利用者さんに関わることばかりでしたが、介護者であるご家族にも注意が必要です。

家族介護は施設での介護と違い、ずっと介護をすることになるので、体力的にも精神的にも辛い思いをされている方が多いです。

同じことを繰り返す利用者さんにイライラされたり、自身の時間が十分に取れずにストレスが溜まりやすい環境にあります。

利用者さんが同じ発言を何度も繰り返すのには理由があります。

その理由を、少し考えて答えを出すことで、利用者さんに対する姿勢が変わり、日々の看護に対する心理的なストレスを軽減させることができます。

利用者さんだけでなく、ご家族の様子も絶えずチェックをして心理的な負担を少なくすることも大切です。

訪問看護師は認知症に対する関わり方を都度、考えるようにする

今後、日本は高齢者の方がますます増えていくことが想定されます。

地域に住まう高齢の利用者さんや介護を行うご家族が安心して生活を送れるように、訪問看護師は常にコミュニケーションに気を配る必要があります。

認知症であることを自覚された利用者さんは、不安の中で生活をされている方がほとんどで、人との関わり方も変化してしまうこともあります。

認知症は誰しもがかかる病気、という認識が日本ではまだまだ浸透していないのが現状です。

自身が何も考えずに吐き出した言葉が、利用者さんを傷つけるトリガーになり得る可能性もあります。

看護師は技術や知識を身につけなければいけませんが、何よりも大切にしなければいけないことは利用者さんの心を穏やかに保つことです。

正解が分かりにくいものですが、利用者さんがいつまでも自分らしく過ごせるよう、訪問看護師は勉強をし続ける必要があります。

ABOUT ME
瀬古高行
医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。株式会社femto代表取締役。
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