訪問看護師は利用者さんの体調を確認する際、薬による効果がどの程度あるのか、副作用の有無も確認します。
しかしまだ看護師になって日が浅いと、利用者さんの薬の効能・副作用がわからなくなる人もいます。
在宅で過ごす利用者さんが主にどのような薬を内服しているのか、事前にわかっていれば安心でしょう。
今回の記事は、訪問看護師が最低限知っておくべき在宅での薬について解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
訪問看護師が最低限知っておくべき薬
訪問看護師は在宅で過ごされている方の日常生活を守るために支援をしています。
主治医は看護師の状況報告を受け必要な薬品を処方して、苦痛緩和や重症化予防ができるとされていますが、服薬管理や医療行為を行う看護師が薬の知識がなければ利用者さんも不安です。
以下では看護師が在宅で使う最低限知っておくべき薬になります。
- 緩下剤
- 軟膏
- ステロイド軟膏
- 鎮痛剤
- 止痢剤
- 抗生剤
詳しく解説していきます。
①緩下剤
緩下剤とは、別の言い方では便秘薬と言われています。
下剤のなかでも穏やかに作用するものになり、腸の中にある内容物を軟化させて、排便を促すものになります。
緩下剤は一般的には酸化マグネシウム、他にも塩類下剤とも言われ、効果は大腸での水分を抑えることです。
つまり便に水分が含まれるようになるので、便を軟らかくして排泄を促せます。
②軟膏
軟膏はワセリンや油性基材などをベースにした塗り薬になります。
よく使われる薬は抗ヒスタミン軟膏で、刺激性が低いため肌の弱い方にも使いやすく、乾燥した患部や膿んだ患部にも広く使用されています。
特徴としては保湿力が高く、皮膚をコーティングして保護してくれることです。
皮膚科で処方される軟膏は擦るような使い方は推奨されておらず、一箇所に薬を塗布し優しく広げて行うことが効果的とされています。
③ステロイド軟膏
ステロイド軟膏は、副腎から生成される副腎皮質ホルモンの一つがステロイドホルモンと呼ばれるものが原料になります。
ステロイドホルモンは、体の炎症を抑える作用や、体の免疫力を抑える作用があり、たくさんの症状の治療に必要とされるものです。
ステロイド軟膏はかゆみや皮疹など、皮膚の炎症に用いられます。
用法・用量を守って、医師・薬剤師の指示通りに正しく使用してください。
ステロイド軟膏は市販でも販売されていて、リンデロンVsは皮膚の赤みを治療できるため多くの人が使用しています。
④鎮痛剤
鎮痛剤は頭痛、関節痛、筋肉痛による痛みを和らげることができる薬品です。
代表的な薬はカロナール・ロキソニンなどがあります。
鎮痛剤の働きは炎症が起きている場所の痛みを抑えたり、発熱を起こす物質であるプロスタグランジンを抑制させることで、痛みや炎症を抑えたり、解熱効果もあります。
鎮痛剤の注意点は決められた量や回数を守らないと副作用が起きて、体に異変が起きることが考えられます。
副作用が出現した場合は主治医に相談しましょう。
また消化性潰瘍の予防として、鎮痛剤と同時に胃薬が処方されることがあります。
⑤止痢剤
止痢剤は下痢を止める効果があります。
一般的に飲み薬が体内に吸収された後に、30分ほど時間をかけて肝臓を通過し血液中に入っていき効果が現れることが特徴です。
下痢止めを使用して下痢を止めると、排泄すべき有害菌なども腸内にとどまり続けるため、かえって症状が悪化していく恐れも考えられます。
広く使われている薬は、ロペミン・タンナルビンなどがあります。
⑥抗生剤
抗生剤は一般的には抗生物質や抗菌薬とも言われており、細菌を排除する薬です。
抗生剤は種類が多く、主治医が利用者さんの状態から原因と思われる細菌を検討し処方します。
抗生剤であるペニシリンは抗菌作用があり、インフルエンザ菌や百日咳、溶連菌などの細菌によるものに治療効果があります。
抗生剤は細菌性の感染症に対して効果があり、ウイルス性の感染症に対しては効果が発揮されない事が特徴です。
以上が訪問看護の現場で最低限に知っておくべき、薬の知識になります。
訪問看護師と利用者さんとの関わり方
訪問看護師は、利用者さんが主治医の指示通り服薬ができているかの確認と残薬の確認をします。
自身に最低限の薬の知識があれば、余裕を持って対応できます。
訪問看護師は利用者さんの状態を主治医に報告して、薬の調剤を薬剤師に繋ぐ役割も兼ねています。
利用者さんの中には、服薬支援に入りたての時に「人に頼らないといけなくなった」と自信が持てなくなる事が起こるかもしれません。
利用者さんが不安なく薬を服薬してもらうためにも、訪問看護師は「知識量が不安だから」と頼りにならないようではいけません。
訪問看護師が最低限知っておくべきことは薬による副反応や効能など様々である
訪問看護師は薬品や病状に対しての知識には貪欲であるべきです。
利用者さんの薬が変われば「なぜ変わったのか?」、睡眠薬は「量が調整できないのか?」など、いつもの仕事に対して疑問を持ち続ける事が大切です。
薬に対しての最低限の知識を身につけるためには、薬剤の添付文書を丸暗記する必要はありません。
新しい薬品を覚えることは大変なことになりますが、いきなり全部を覚えることは非常に難しいです。
自身の知識が増えることにより利用者さんが安心して支援を受ける事ができますので、小さな一歩でも踏み出すことが大切です。