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インフュージョンリアクションとは
インフュージョンリアクション(IR)は、モノクロナール抗体薬(分子標的薬)を投与するときに起こりうる有害事象です。
通常の薬剤による過敏症やアレルギー反応とは異なる発症機序であることが知られています。
IRは分子標的薬の投与中または投与24時間以内に発症することが知られています。
インフージョンリアクションの発症機序
IRの具体的な作用メカニズムは明らかになっていませんが、サイトカイン放出による急性期反応と考えられています。
参考文献≫Monoclonal antibody first dose cytokine release syndromes-mechanisms and prediction.
インフュージョンリアクションが起こりやすい薬剤
完全ヒト化抗体→ヒト化抗体→マウス抗体の順にIRの頻度は高くなります。
完全ヒト化抗体であるパニツムマブ(ベクティビックス)でもIRの報告が存在するため、すべての分子標的薬にはIRのリスクがあることに注意が必要です。
インフュージョンリアクション予防に前投薬が必要な分子標的薬
IR予防のために前投薬を必要とする薬剤(一部医薬品のみ)を紹介。
具体的には各薬剤の添付文書をご参照ください。
リツキシマブ(リツキサン)
投与30分前に抗ヒスタミン薬、解熱鎮痛薬など
ステロイドの併用も考慮
セツキシマブ(アービタックス)
投与前に抗ヒスタミン薬
ラムシルマブ(サイラムザ)
投与前に抗ヒスタミン薬
テムシロリムス(トーリセル)
投与前に抗ヒスタミン薬
オファツムマブ(アーゼラ)
投与30分~2時間前に抗ヒスタミン薬、解熱鎮痛薬、ステロイド
アベルマブ(バベンチオ)
投与前に抗ヒスタミン薬・解熱鎮痛薬など
インフュージョンリアクションの対応方法
- Grade1:患者の様子を観察しながら投与速度を減速。慎重に投与。
- Grade2:投与を中断。症状に応じてアドレナリン、ステロイド、抗ヒスタミン薬など。症状系介護は患者の様子を観察しながら慎重に投与の可否を検討。再開時には減速して投与。
- Grade3:投与中止。症状への対応。Grade3以上のIRを発現した患者には再投与しない。
参考≫CTCAE
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