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訪問診療は薬だけ処方?訪問診療で受けられる医療や利用するメリット・デメリットとは

自宅では病院のような検査や治療ができず、薬だけ処方してもらうサービスだと思っていませんか?

実際に訪問診療でどのようなことをしてもらえるのかわからない方も少なくありません。

結論からいいますと、訪問診療は自宅まで医師が訪問し、医療を提供してくれるサービスです。

本記事では、訪問診療で受けられる医療を詳しく知りたい方に向けて、サービス内容や利用対象者、訪問診療を利用するメリットとデメリットについて解説します。

訪問診療とは

訪問診療は、医師が定期的に自宅を訪問し、診察や薬の処方を行います。

よって、基本的には病院を受診するのと変わらない医療が受けられます。

訪問診療を開始すると、病院へはかかれないと思われがちです。

しかし、自宅ではできない検査を望む場合や先生が必要だと判断した場合、病状が悪化して治療を望む場合には、訪問医が連携している病院への受診や入院の調整が可能です。

そのため、自宅で安心して療養生活を送ることができ、また、必要な医療を受けることができます。

訪問診療の対象者

訪問診療の対象者は、原則「自宅で療養を行い、病気や障害により通院が困難な方」です。

しかし、明確な基準はなく、医師が訪問診療が必要だと判断すれば利用できます。

利用できるのは高齢者だけではありません。

必要であれば年齢に関係なく子どもでも大人でも利用できます。

訪問診療で受けられる医療、サービス内容

訪問診療は、定期的に訪問して薬だけを処方するサービスではありません。

利用する医療機関によっても異なりますが、病院と変わらず以下のような医療を受けられます。

  • 診察(病状の把握、健康管理)
  • 検査(血液・尿・便、エコー、心電図など)
  • 必要な処置(ケガや床ずれの処置)
  • 点滴、注射など
  • 酸素療法や尿道カテーテル、ストーマ、経管栄養などの管理
  • 療養上の指導や助言
  • 終末期のケア、疼痛管理(麻薬)など
  • 緊急時の対応

上記の病気の治療だけではなく、病気を未然に防ぐための生活指導や栄養指導を行い、入院にならないように予防することも、訪問診療の重要な役割です。

このような利用者さん一人ひとりに合わせた療養上の指導は、自宅を訪問して生活状況を把握できるからこそできるのです。

訪問診療と往診の違いは?

訪問診療のほかに「往診」もよく聞く言葉ですが「訪問診療」との違いがわからない方は多いでしょう。

訪問診療も往診も同じ意味で使われることが多いですが、サービス内容に明確な違いがあります。

訪問診療と往診の違いは「定期的・計画的であるか否か」です。

訪問診療は、定期的に自宅を訪問して診察を行います。

病状などにより医師が判断して「月に2回」「週に1回」など計画的に訪問します。

また定期的な訪問以外にも、緊急時には365日24時間対応可能です。

それに対して往診は、突発的な理由(病状の悪化や発熱など)により、臨時的にかかりつけ医にお願いして診察に来てもらうことをいいます。

往診は、訪問診療と違い緊急時や夜間など対応が難しい場合がほとんどです。

訪問診療を利用するには

訪問診療を利用したいけれど、どうしたらいいのかわからない方も多いでしょう。

利用を検討したい場合は、以下の方法があります。

  • かかりつけ医に相談
  • 退院時に相談
  • ケアマネジャーに相談

【かかりつけ医に相談】

まずは、かかりつけ医に相談しましょう。

訪問診療が必要かの判断や、必要な書類作成、訪問診療可能なクリニックの紹介などをしてくれます。

【退院時に相談】

退院後の通院に不安がある場合は、入院先の主治医やソーシャルワーカーに相談しましょう。

かかりつけ医と同様に手続きなどのサポートが受けられます。

【ケアマネジャーに相談】

介護保険を利用している場合は、担当のケアマネジャーに相談しましょう。

ケアマネジャーは利用者さんの病状や生活状況などを把握しているため、かかりつけ医などと連携して必要な手続きや手配が可能です。

早めにかかりつけ医やケアマネジャーに相談しておけば、すぐには訪問診療の必要性がなくても、必要なタイミングでの導入を調整してくれます。

いつか利用するかもしれない日のために、一度相談しておくと安心でしょう。

訪問診療を利用するメリット・デメリット

訪問診療を利用するメリットは多いですが、デメリットもあります。

訪問診療のメリットとデメリットをしっかり理解した上で利用することが大切です。

メリット

訪問診療を利用するいちばんのメリットは、住み慣れた自宅で療養生活が送れることです。

ほかにも訪問診療を利用するメリットは以下のようなものがあります。

  • 通院の負担が軽減できる
  • 入院費用を抑えられる
  • 本人、家族ともに医師に相談がしやすい

通院の負担が軽減できる 

病気や障害により、通院時の自宅の出入りや移動が大変だったり、待ち時間が体に大きな負担になったりします。

また、家族が付き添わければならない場合がほとんどであり、家族にとっても負担です。

加えて、家族が付き添えない場合は介護サービスや障害サービスなどの手配が必要となり、金銭的な負担もあります。

訪問診療で自宅で診察を受けられれば、通院の負担はなくなります。


診察の都合により予定時間が前後してしまうことは多いですが、何時間も待たされることは少ないので、身体的な負担は減らせるでしょう。

入院費用をおさえられる

入院しての療養生活では入院費がかかります。

長期に渡るとそれだけ金銭的な負担が大きくなります。

自宅療養では受けられる医療に制限はありますが、入院費の心配がないため金銭的な負担で悩むことは少ないでしょう。

利用者さん、家族ともに医師に相談がしやすい

病院や医師にもよりますが、病院だと慌ただしい雰囲気や待っている人が気になって相談したいこともじっくり相談できないと悩んでいる方は少なくありません。

加えて、病院に行くだけで緊張してしまう方も多いです。

その点、自宅ではリラックスして診察を受けられ、悩みや困りごとを相談しやすいメリットがあります。

家族も日常生活と看病での困りごとなどを相談でき、適切な指導やアドバイスが受けられます。

病状だけではなく、住宅環境や家族の状況など含めて総合的な助言が得られることで、利用者さん・家族ともに安心して療養生活が送れるでしょう。

デメリット

納得のいく療養生活を送るためにも、デメリットについても理解が必要です。

デメリットは以下のようなものがあります。

  • 必要時に適切な医療が受けられない
  • できる治療に限りがある
  • 利用者さんや家族の不安、看病や介護疲れがある

【必要時に適切な医療が受けられない】

24時間緊急時の対応は可能でも、緊急時に連絡してから訪問までに時間がかかることがあります。

特に夜間は時間がかかるため、必要時に適切な医療が受けられない事例が発生しています。

【できる治療に限りがある】

在宅でできる治療には限りがあり、希望通りの生活が送れないことがあります。

【利用者さんや家族の不安、看病や介護疲れがある】

入院していればいつでも必要な医療だけではなく、身の回りのこともすべてサポートしてもらえますが、自宅では利用者さんが難しい部分は家族が担うことが多く負担が大きくなりやすいです。

また、急変や体調悪化への不安が大きくなる方もいます。

そのため医療面だけではなく生活面でも不安や負担が増加する可能性があります。

訪問診療を理解して望む治療や生活を

本記事では、訪問診療で受けられる医療について、また訪問診療を利用するメリットとデメリットについて解説しました。

病気や障害を抱えている場合、どこで療養生活を送るのかは利用者さんにとっても家族にとっても重要な問題です。

訪問診療は、在宅での療養を希望する場合には心強い味方となってくれるでしょう。

しかし、メリットだけではなくデメリットもあることを理解しなければなりません。

納得のいく療養生活が送れるよう、良い面と悪い面を比較しながらよく検討しましょう。

参考)在宅医療の推進について(厚生労働省)

ABOUT ME
瀬古高行
医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。株式会社femto代表取締役。
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