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在宅薬剤師サービスの利用方法|流れ・対象者・してもらえることも併せて解説

「離れて暮らす親の薬管理が心配」

「自分での薬管理に不安を覚えている」

このような不安を感じ、在宅薬剤師サービスの利用を考えていませんか?

薬の飲み忘れや過剰摂取、薬を飲んだか忘れるなどして服薬に関して不安を覚える家族や高齢者は少なくありません。

本記事では、服薬に関する悩み改善に効果的な在宅薬剤師サービスの利用方法を解説します。
利用の流れや対象者、具体的にしてもらえるサービス内容も併せて紹介します。

在宅薬剤師サービスを利用できる対象者

在宅薬剤師サービスを利用できる対象者は、以下の条件に当てはまる方です。

  • 通院や来局が難しい方
  • 薬に不安がある方
  • 医師がサービスを必要であると認められた方
  • 在宅薬剤師サービスの利用について家族から同意がある方

薬の不安とはどのような内容が含まれるのか、具体例を紹介します。

  • 薬を飲んだか不安
  • 薬を飲み忘れてしまう
  • 薬の種類が多くてわからなくなる
  • 薬が飲みにくいと感じているけど相談しにくい
  • 薬の副作用、飲み合わせなど服用に不安がある

上記のような悩みは一人で解決することは難しく、誰かに頼ることが大切です。

しかし、一人暮らしをしている方、家族と一緒に暮らしているけれど同居者がいない時間が多い方は、なかなか誰かに頼れません。

在宅薬剤師は、このような薬の問題を改善することが難しい方の不安を解消するために存在しているため、対象者は上記の通りとなります。

もし対象者に該当している場合は、これから紹介する4つの方法から利用できます。

薬剤師が訪問するに至るパターンと流れ

薬剤師が服薬支援を必要とする方の自宅訪問を開始するにあたり、4つのパターンがあります。

また、パターンによって開始までの流れに若干の違いがあります。

  1. 医師の指示型
  2. 薬局提案型
  3. 多職種提案型
  4. 退院時カンファ型

一つずつわかりやすく解説します。

医師の指示型

一つ目に紹介するパターンは「医師の指示型」です。

医師が薬剤師に直接訪問サービスの指示を行うことで、サービス利用のスタートラインに立ちます。

<利用までの流れ>

  1. 医師・歯科医師から薬剤師に指示
  2. 薬剤師と情報共有・問題点の相互認識
  3. 薬剤師訪問(訪問の意義・目的の説明)
  4. 在宅療養者の同意
  5. 在宅薬剤師のサービス利用開始

医師から薬剤師に利用したい旨を伝えてもらうには、かかりつけ医への相談が必要です。

服薬の管理に関する悩みを医師に伝え、必要と判断された場合に薬剤師へ連絡がいきます。

薬局提案型

二つ目に紹介するのは「薬局提案型」です。

薬局で処方する際、薬剤師が服薬に関する問題を見つけ訪問が必要と考えた場合、在宅薬剤師として訪問サービスを行うパターンがあります。

<利用までの流れ>

  1. 薬剤師が家を訪問し状況を確認
  2. 訪問の意義と目的の説明に入る(薬剤師の介入を要すると判断した場合)
  3. 医師・歯科医師に情報共有と提供
  4. 在宅療養者の同意(医師・歯科医師からの指示が降りた場合)
  5. 在宅薬剤師のサービス利用開始

薬局提案型を利用したい場合は、薬剤師に問題点を見つけてもらうことを待つよりも、薬剤師に相談するほうが効率的です。

相談は、本人やその家族どちらでも構いませんので、一度相談してみましょう。

多職種提案型

三つ目に紹介するのは「多職種提案型」です。

ケアマネージャーや介護福祉士、訪問看護師などたくさんの医療従事者や介護職員から薬剤師への相談がある場合に発生します。

ケアを担当する方からの相談が適用されるため、複数の職員に加えて家族からの相談も対象となります。

<利用までの流れ>

  1. 医療従事者、介護職員、家族から薬剤師への情報共有・問題点の相互認識
  2. 薬剤師が訪問し状況確認
  3. 訪問の意義と目的の説明に入る(薬剤師の介入を要すると判断した場合)
  4. 医師・歯科医師に情報共有と提供
  5. 在宅療養者の同意(医師・歯科医師からの指示が降りた場合)
  6. 在宅薬剤師のサービス利用開始

多職種提案型を採用した場合は、家族に相談し話してもらうか、職員が訪問したきたタイミングで療養者本人が相談する必要があります。

相談する前に職員が気づいてくれるケースもありますが、気づいてもらうことを待つよりも確実に話が前に進みます。

退院時カンファ型

最後に紹介するのが「退院時カンファ型」です。

「退院時カンファ」の正式名称は「退院時カンファレンス」といいます。

患者さんが入院している間に、退院に向けて院内の医療従事者と在宅サービスのスタッフが現在の治療状況や今後の治療方針を共有する会議です。

カンファレンスの中で、服薬管理に課題があり在宅薬剤師の力が必要であると判断された場合、このパターンが適用されます。

<利用までの流れ>

  1. 患者の同意
  2. 在宅薬剤師のサービス利用開始

退院時カンファ型のケースでは、退院前に医師や薬剤師と連携し話し合っているため、利用までの工程が少なくスムーズです。

在宅薬剤師のサービスの費用

在宅薬剤師のサービスを受ける場合、以下の費用がかかります。

  1. 薬代
  2. 訪問にかかわる費用(訪問するごとにかかる)

【平成24年度からの在宅医療にかかわる報酬】

介護保険医療保険
保険薬局薬剤師月4回まで・同一建物居住者以外:500単位・同一建物居住者:350単位月4回まで・同一建物居住者以外:500点・同一建物居住者:350点
麻薬管理指導加算100単位100点
項目算定単位・上限点数
在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料月4回まで(16km以下)500点
在宅患者緊急時等共同指導料月2回まで(16km以下)700点
麻薬管理指導管理100点
退院時共同指導料入院中1回(末期がん患者などは入院中2回まで)600点

訪問にかかる費用は「介護保険」と「医療保険」どちらを適用させるか、また住んでいる状況、自己負担額によって異なるため、正確な費用額はサービスの利用先に聞いてみてください。

在宅薬剤師にしてもらえること

在宅薬剤師にしてもらえるサービス内容は以下の5つです。

  1. 薬を自宅に届けてくれる
  2. 薬の管理
  3. 薬学的な管理
  4. 服用者本人の生活・使用状況のチェック
  5. ケアマネージャーや医師への情報共有

一つずつ解説します。

薬を自宅に届けてくれる

自分で薬局に処方薬を受け取りに行くのが困難である場合、薬は在宅薬剤師が自宅まで届けてくれます。

たとえば、認知症を患っている、車椅子や寝たきり生活などです。

薬の管理

お薬カレンダーやお薬管理ボックス、一包化、薬の変更など、医師の処方通りに服用ができるように管理してくれます。

薬学的な管理

効果のあらわれ方や副作用などの薬が与える影響を評価し、服用状況を管理してくれます。

いつも薬を飲むと体調が悪くなる、副作用の症状が気になるなどあれば、遠慮せず相談しましょう。

ケアマネージャーや医師への情報共有

服用に関する情報を、一緒にケアを担当するケアマネージャーや医師に共有し、ケアの質を高められるようにしてくれます。

利用方法を知ったらあとは行動のみ!在宅薬剤師に頼ろう

在宅薬剤師サービスは、服薬管理に不安を覚えている方を対象とした訪問サービスです。

【利用可能な対象者】

  • 通院や来局が難しい方
  • 薬に不安がある方
  • 医師がサービスを必要であると認められた方
  • 在宅薬剤師サービスの利用について家族から同意がある方

【利用開始のスタートラインパターン】

  1. 医師の指示型
  2. 薬局提案型
  3. 多職種提案型
  4. 退院時カンファ型

対象者4つの条件を満たしている方は、上記4つのパターンで利用開始のスタートラインになります。

相談した時に一度服薬管理を簡素化するための方法を提案してもらい様子をみることもありますが、それでも厳しい場合は、利用する方向で検討してもらえるケースもあります。

ですので、まずは対象者に当てはまっている方はケア担当の人やかかりつけ医、薬剤師に相談することからはじめましょう。

ABOUT ME
瀬古高行
医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。株式会社femto代表取締役。
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