「親が寝たきりになって、オムツをどのように交換すればいいかわからない」「オムツ交換のコツを知りたい」と悩んではいませんか?
オムツ交換の方法を間違えると、すきまからモレやすくなったり床ずれをしたりするリスクを高めます。
そこで本記事では、オムツ交換方法やコツをわかりやすく解説します。注意点もあわせて紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
寝たきり介護のオムツ交換の準備
寝たきり介護のオムツ交換に必要なものは以下の通りです。
- 使い捨て介護用エプロン
- 使い捨ての手袋(ビニール・プラスチック)
- 新聞紙またはケアシーツ
- オムツ・尿取りパッド
- トイレットペーパーやお尻ふき
- ゴミ袋(オムツを捨てる用)
- 保湿クリーム
使い捨て介護用エプロン
オムツの交換時、衣類に排泄物が付着する恐れがあるため、介護用エプロンを着用しましょう。
衛生面を考え、エプロンは使い捨てのタイプがおすすめです。
使い捨ての手袋(ビニール・プラスチック)
オムツの交換時に便の排泄をしていた場合、手が汚れると不衛生になり、要介護者が感染症を起こす恐れがあります。
もし両手が汚れてしまっても、その場で新しい手袋に交換できるよう、使い捨て手袋の準備は必須です。
新聞紙またはケアシーツ
新聞紙やケアシーツは要介護者の下に敷き、排泄物でベッドが汚れないようにするために使用します。
ベッドが汚れると掃除の手間もかかるほか、汚れた場所によっては掃除が終わるまで寝たきりの要介護者を、別のところに移動してもらわなければなりません。
両者の負担を軽減するためにも、新聞紙やケアシーツは用意しておきましょう。
オムツ・尿取りパッド
要介護者は、オムツ交換をしてもらうことを恥ずかしく思う方が多いため、素早く終わらせる気遣いが必要です。
新しいオムツと尿取りパッドを用意しておき、すぐ使えるよう近くに置いておきましょう。さらに、オムツを広げて尿取りパッドをセットしておくと、より早く交換に取りかかれます。
トイレットペーパーやお尻ふき
新しいオムツに交換する前や陰部洗浄を行う前に、トイレットペーパーやお尻ふきで軽く拭くために使用します。
長時間同じオムツを着けてムレていたり、便を排泄していたりする場合があるため、準備しておく必要があります。
また、陰部洗浄する前に軽く拭いておくことで、後に行う作業がしやすくなり、スムーズに終わらせることが可能です。
高齢者は肌が弱くなっているため、優しく撫でるように拭き擦らないようにしてください。
ゴミ袋(オムツや手袋を捨てる用)
ゴミ袋は、オムツや手袋を捨てるときに必要なため必ず用意が必要です。
ゴミ袋は、入れやすいよう開いた状態でそばに置いておくとよいです。
保湿クリーム
陰部洗浄が終わったあとに保湿クリームを塗布しておくと、オムツかぶれを予防できます。
赤みがある場合はかぶれを起こしている可能性があるため、かぶれ用の薬用クリームを使用し、普段使用するものは通常の保湿クリームを使用しましょう。
寝たきり介護のオムツ交換方法
では次に、寝たきり介護のオムツ交換方法について解説します。
手順は大きく分けて2つあります。
- 環境を整える
- オムツを交換する
オムツ交換の前に環境を整える
オムツ交換の前に、まずは環境を整えましょう。
- 介護エプロンを着用
- 換気する
- 新聞紙またはケアシーツの準備
- オムツと尿取りパッドの準備
- ゴミ袋の準備
- おしぼりやお尻ふきの準備
- 手袋を着用
それぞれ説明します。
手順1.介護エプロンを着用
衣服が汚れないよう、予め介護エプロンを着用しておきましょう。
人によっては、目の前でエプロンを着られると不快に思う場合があるため、部屋に入る前に着ておくことをおすすめします。
手順2.換気する
オムツ交換の際、便の排泄をしている場合があるため、窓を開けて換気を促しましょう。
ただし、外からオムツ交換の様子が見えてしまうのは、要介護者にとってストレスになります。
要介護者が外から見えにくいほうの窓を開けるようにし、要介護者の様子が見える場合にはカーテンを閉めましょう。
手順3.新聞紙またはケアシーツの準備
ベッドの上が汚れないよう、新聞紙やケアシーツを腰から下にかけて敷いておきます。
お尻を持ち上げられない場合は、要介護者を横に向かせて新聞紙またはケアシーツを半分敷き、次は向きを変えて横に向かせて、もう半分を敷くようにします。
手順4.オムツと尿取りパッドの準備
オムツを開いて縦中心部分を折り、左右に2〜3回伸ばしてギャザーを立たせます。
そして、尿取りパッドも同様に縦中心部分を半分に折り、ギャザーを立たせていきます。
次に、尿取りパッドをオムツの背中や脚周りのギャザー内にセットします。
セットするときに、オムツのギャザーと尿取りパッドが重ならないように注意しましょう。また、この時点では、ズレ防止のテープは貼ったままにしてください。
手順5.ゴミ袋の準備
手袋やオムツ、エプロンをすぐ捨てられるよう、ゴミ袋を用意しておきます。
ゴミ袋は、口を広げて足元にセットしておきましょう。
手順6.おしぼりやお尻ふきの準備
オムツを外したあとすぐ拭き取りができるよう、おしぼりやお尻ふきを準備しておきます。
おしぼりやお尻ふきは、ベッドの上の作業する付近に設置しておきましょう。
手順7.手袋を着用
ビニールまたはプラスチックの手袋を着用します。
作業の途中で取り替えることも想定して、新しい手袋も用意して近くに置いておくのがおすすめです。
オムツを交換する
準備が整ったら、いよいよオムツ交換に入ります。手順は以下の通りです。
- オムツを外し陰部を拭く
- 保湿する
- 新しいオムツに交換する
手順1.オムツを外し陰部を拭く
オムツを外し、体を横向きにします。そして、お尻ふきやおしぼりで軽く陰部を拭いてください。
使用済みのオムツは、汚れた部分が内側になるよう、横向きにクルクルと巻いておきます。
手順2.保湿する
かぶれが気になる場合は、かぶれないよう保湿ケアをしてあげましょう。
すでにかぶれている場合は、薬用のオムツかぶれ用ケアクリームを塗るのがおすすめです。
手順3.新しいオムツに交換する
新しいオムツの片方を内側に丸め、使用済みオムツの下に敷いて準備をしておきます。そして体を反対向きにして使用済みオムツを取り、ゴミ袋に入れてください。
次に体の向きを仰向けに戻し、そけい部に沿ってパッドをあてます。
オムツをパッドの上に被せるようにそけい部に沿ってあて、閉めたらオムツの交換完了です。
入浴できない日は1日1回陰部洗浄を行う
入浴できない日は、1日1回でよいので陰部洗浄を行いましょう。
オムツの中は蒸れやすく、雑菌が繁殖しやすい環境です。
そのため長らく放置すると、感染症を引き起こす恐れがあり、簡易的でもよいので洗浄する必要があるのです。
陰部洗浄に必要なもの
陰部洗浄に必要なものは、以下の4つです。
- お湯が入ったシャワーボトル
- 石けん
- ガーゼ
- タオル
38〜40度のぬるめのお湯を、シャワーボトルに入れて用意しておきます。
石けんについては、高齢者は肌が弱く乾燥しやすいため、ベビー石鹸などの低刺激なものを用意しましょう。
ガーゼは、洗うボディタオルの代用品として使いますので、必ず用意してください。
タオルはそのまま使用してもよいですが、固く絞った温かいおしぼり状態にしておくと、要介護者の快適度が上がるでしょう。
洗浄方法
陰部洗浄は、オムツを外してすぐのタイミングで、以下の通りに行いましょう。
- ガーゼを石鹸で泡立てる
- 拭き取る面を変えながらガーゼで陰部や臀部を洗っていく
- シャワーボトルで洗い流す
- タオルで水気を拭き取って完了
ガーゼで陰部や臀部を洗浄する際は、必ず肌にあてる面を変えながら行ってください。
同じ面で拭いていくと、感染症を引き起こす恐れがあります。
また、女性は尿路感染症を防ぐため、前から後ろの一方方向で洗うようにすることを意識してください。
汚れが溜まりやすい部分は男女で異なるため、注意が必要です。
女性は大陰唇や小陰唇に汚れが溜まりやすく、男性は亀頭がある包皮の内側や陰嚢の裏側に汚れが溜まりやすいので、入念に洗いましょう。
モレの原因は?オムツ交換のコツや注意点
オムツをしていても尿がモレる原因やオムツ交換のコツ、注意点について解説します。
尿がモレる原因
尿がモレる原因は、オムツの吸収量不足も考えられますが、それだけではありません。
まだ吸収できるはずなのにもかかわらずモレてしまうのは、尿の不純物が原因である可能性もあるのです。
寝て過ごす時間が長いと、尿に不純物が混ざりやすくなります。
その結果、パッドの表面に不純物が目詰まりし、吸収できなくなってモレやすくなります。
そのため尿取りパッドを選ぶときは、目詰まり抑制を謳った商品を購入しましょう。
ほかにも、体の向きや動き、オムツの履かせ方がよくないなどもあるため、これからモレないためのオムツ交換時のコツや注意点を紹介していきます。
オムツ交換のコツや注意点
オムツ交換のコツや注意点を紹介していきます。
- 尿取りパッドをオムツのギャザーにおさめる!
- オムツの中心と体の中心をきちんと合わせる!
- テープを平行ではなくクロス止めにする!
- お腹周りや脚周りは指一本入る程度のきつさにする!
尿取りパッドがオムツのギャザーからはみ出したり、オムツの中心と体の中心が合わなかったりすると、モレや床ずれの要因になります。
必ずオムツのギャザーの内側に尿取りパッドがおさまるようにセットし、オムツの中心と体の中心をしっかりと合わせてからオムツを閉めましょう。
オムツを閉めるときのテープの止め方にも注意が必要です。
テープを平行に止めると、脚を動かしにくくなるので必ずクロスに止めましょう。
また、クロスに止めることによりお腹周りのフィット性も高まり、オムツがズレることを防止できるためモレにくくなります。
さらにモレにくくするには、お腹周りや脚周りのきつさもチェックしておく必要があります。
お腹周りや脚周りがゆるすぎるとモレにつながり、きつすぎると床ずれにつながります。
ベストなきつさは、指一本が入る程度です。
最後に指を入れて、きつさをチェックしてみましょう。
どうしてもできなければ介護保険サービスの利用もおすすめ
今回はオムツ交換の方法やコツ、注意点について解説しました。
オムツを交換する際は、まず必要なものを一式用意するだけでなく、スムーズに終わらせられるような準備も必要です。
オムツ交換ができる環境を整えられたら、以下の手順で交換していきます。
- オムツを外し陰部を拭く
- 保湿する
- 新しいオムツに交換する
オムツ交換のコツと注意点は以下の通りです。
もし、どうしてもうまくオムツ交換ができない場合は、介護保険のオムツ交換サービスを利用するのも1つの手段です。
寝たきりの要介護者を介護するのは、とても大変なことですので、無理はせず、頼れるところは頼っていきましょう。