トリプルネガティブ乳がんという乳がんは、予後が悪いということが知られています。
癌の悪性度が高いというよりは、使える薬が少ないというのが問題として挙げられます。
ホルモン陽性の乳がんであれば、抗エストロゲン薬や、アロマターゼ阻害薬を使用することができます。
Her2陽性乳癌であれば、抗Her2抗体を使えます。
しかし、トリプルネガティブ乳がんにおいては、使用できる薬剤が限られてしまいます。
そのため、その他の乳がんと比較すると、相対的に予後が悪くなってしまうということです。
そんなトリプルネガティブ乳がんの新たな救世主?となり得る薬の、最新論文を紹介します。
Contents
難治性の転移性トリプルネガティブ乳癌に対するサシツズマブ ゴビテカン-hziy
参考文献
Sacituzumab Govitecan-hziy in Refractory Metastatic Triple-Negative Breast Cancer
前治療歴のある、転移性トリプルネガティブ乳がんに対する、サシツズマブ・ゴビテカンの臨床効果を検討した臨床試験です。
方法
21 日を 1 サイクルとして、1 日目と 8 日目にサシツズマブ ゴビテカン-hziy を病勢進行または忍容できない毒性を認めるまで静脈内投与。
第 1・2 相単群多施設共同試験。
108 例が、転移性トリプルネガティブ乳癌に対する 2 種類以上の抗癌治療を受けたあとに、サシツズマブ ゴビテカン-hziy 10 mg/kg 体重の投与を受けた。
エンドポイントは安全性、各施設で評価した客観的奏効割合、奏効期間、臨床的利益の割合、無増悪生存期間、全生存期間などとした。
結果
患者背景
トリプルネガティブ乳癌患者 108 例における前治療数の中央値は 3(範囲 2~10)であった。
安全性
投与中に 4 例が死亡。
3 例(2.8%)が有害事象により投与を中止。
グレード 3 または 4 の有害事象(患者の 10%以上に発現)は、貧血、好中球減少など。
10 例(9.3%)に発熱性好中球減少症が発現した。
有効性
奏効割合(完全奏効 3 例,部分奏効 33 例)は 33.3%(95%信頼区間 [CI] 24.6~43.1)。
奏効期間の中央値は 7.7 ヵ月(95% CI 4.9~10.8)。
無増悪生存期間の中央値は 5.5 ヵ月(95% CI 4.1~6.3)。
全生存期間は 13.0 ヵ月(95% CI 11.2~13.7)。
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サシツズマブ ゴビテカンの作用機序
サシツズマブ ゴビテカンは、トリプルネガティブ乳癌の患者に多く発現するTrop-2を標的としています。
SN-38(抗がん剤)という物質がその抗体に切断可能なリンカーで結合しており、腫瘍組織に直接SN-38を送り届けます。
サシツズマブ・ゴビテカンは、Trop-2(がん細胞に存在)という標的に向かっていき、そこにくっついて、直接SN38(抗がん剤)を注入します。
直接抗がん剤を注入されたがん細胞は、たまらずギブアップする。
そんな仕組みです。
Sincerely,
Hitouch
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【この記事の執筆者/編集者】
Hitouch「T」
HitouchLIFEという雑記ブログの管理人
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