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NEJM Clinical Problem Solving (New England Journal of Medicine)
高トリグリセリド血症の患者は、虚血性心疾患のリスクが高いことが知られています。
そのため、生活習慣の見直しを行った上で、薬物治療が実施されます。
スタチン系やフィブラート系などの高脂血症治療薬が使用される一方で、一際特徴的な薬が、エパデール(イコサペント酸エチル)です。
このエパデールに関しての最新情報をお届けします。
Contents
エパデールってどんな薬?
エパデールの主成分はイコサペント酸エチルです。
この物質は、魚の油に含まれるイコサペント酸という物質を、エチルエステル化という手法を用いて、高純度で抽出したものです。
イコサペント酸はEPAとも呼ばれています。
EPAというのは、イワシなどの青魚に多く含まれている物質です。
エパデールを服用すると、小腸でイコサペント酸エチルはEPAに変化して、さまざまな生理作用を示します。
エパデールとは、青魚に含まれる良い成分を『ギュッと』凝縮した物質です。
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高トリグリセリド血症に対するイコサペント酸エチルによる心血管リスクの低減効果!?
参考文献
Cardiovascular Risk Reduction with Icosapent Ethyl for Hypertriglyceridemia
高トリグリセリド血症の患者は、虚血性イベントのリスクが高い事が知られています。
高純度エイコサペンタエン酸エチルエステルであるイコサペント酸エチル(エパデール)は、トリグリセリド値を低下させる事が分かっています。
しかし、虚血性イベントに及ぼす影響というのは明らかではありません。
そこで、イコサペント酸エチルによる虚血性心疾患リスク低減効果を明らかにするための研究が行われました。
方法
対象患者
心血管疾患を有する患者、または糖尿病と他の危険因子を有する患者。
スタチン療法を受けており、空腹時トリグリセリド値 135~499 mg/dL、LDLコレステロール値 41~100 mg/dLの症例。
試験デザイン
多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験。
イコサペント酸エチル 2gを 1日2回(1日量4g)投与する群と、プラセボを投与する群に無作為に割り付け。
評価項目
主要評価項目
- 心血管死亡
- 非致死的心筋梗塞
- 非致死的脳卒中
- 冠血行再建
- 不安定狭心症
副次的評価項目
- 心血管死亡
- 非致死的心筋梗塞
- 非致死的脳卒中
結果
8,179 例が登録された(70.7%は心血管イベントの二次予防目的)。
追跡期間中央値 4.9 年。
主要評価項目
イコサペント酸エチル群: 17.2%イベント発生
プラセボ群: 22.0%イベント発生
(ハザード比 0.75,95%信頼区間 [CI] 0.68~0.83,P<0.001)
副次的評価項目
副次的評価項目の発生率は、イコサペント酸エチル群 11.2%と プラセボ群14.8%であった(ハザード比 0.74,95% CI 0.65~0.83,P<0.001)。
虚血性イベントの発生率
イコサペント酸エチル群のほうがプラセボ群よりも、虚血性イベント評価項目の発生率は有意に低かった。
(4.3% 対 5.2%,ハザード比 0.80,95% CI 0.66~0.98,P=0.03)
一方で、心房細動や心房粗動による入院の割合は、イコサペント酸エチル群のほうがプラセボ群よりも高かった(3.1% 対 2.1%,P=0.004)。
重篤な出血イベントは、イコサペント酸エチル群の 2.7%とプラセボ群の 2.1%で発生した(P=0.06)。
EPA製剤が虚血性イベントの発生を抑える事が示されたよ。
高脂血症に悩む欧米人に人気がでるかもしれないね。
Sincerely
Hitouch
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【この記事の執筆者】
Hitouch「T」
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