柔道整復師は、あまり一般的には知られていない職業かもしれませんが、実は接骨院や整骨院を開業している方などが保持している資格です。
柔道整復師になるためには最短でも3年程度の期間を要し、さらに卒業後は国家試験に合格する必要があるため「働き始めるまでが大変なのでやめたほうがいい」と思う人もいるかもしれません。
一方、この時代において柔道整復師は重宝される仕事であることも事実です。
柔道整復師は「やめたほうがいいのか」と悩んでいる人ほど、この記事を読んで柔道整復師の魅力を知っていただきたいです。
柔道整復師とは
スポーツに没頭した経験のある方の中には、整骨院や接骨院に通ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
整骨院で治療してくれるのが柔道整復師です。
日本柔道整復師会のHPによると、現在は高校卒業後、都道府県知事が指定した専門の養成施設(三年間以上修学)か文部科学省が指定した四年制大学で、以下のような内容を履修します。
基礎系科目と柔道整復理論 | 臨床系専門科目 |
---|---|
・解剖学 ・生理学 ・運動学 ・病理学 ・衛生学 ・公衆衛生学 | ・柔道整復実技 ・関係法規 ・外科学 ・リハビリテーション学 |
国家試験を受け、合格すると厚生労働大臣免許の柔道整復師となります。
柔道整復師とは、国家資格を持ち利用者さんの治療を行います。
整骨院や接骨院で治療をしてもらうと、体が楽になったり回復が早まったりなどの変化を感じられます。
目に見えて分かる利用者さんの体の変化が、柔道整復師にとってのやりがいの一つです。
また、柔道整復師とのコミュニケーションも利用者さんの心の支えになるでしょう。
整骨院や接骨院に行き、柔道整復師に体の悩みを相談してアドバイスをもらうことで、元気をもらえる利用者さんもいます。
柔道整復師が「やめたほうがいい」と言われる理由
柔道整復師が「やめたほうがいい」と言われる理由は主に2つの「大変」があるからです。
1つ目は「働き始めるまでが大変」なことです。
柔道整復師になるためには、最短でも3年通学し国家試験に合格する必要があります。
2つ目は「仕事が大変」なことです。
柔道整復師は治療技術やコミュニケーション能力を求められる仕事です。
ライバルも多い柔道整復師は就職後も日々学習が必要です。
では、柔道整復師が「やめたほうがいい」と言われる理由になっている2つの「大変」について、さらに詳しくみていきましょう。
働き始めるまでが大変
柔道整復師になるためには、時間と努力が必要です。
3年間の専門学校、または指定の4年生大学を卒業したあと、国家試験に受かる必要があります。
専門知識を身に着けるため日々勉強を行わなければ、柔道整復師にはなれません。
厳しい道のりではありますが、国家資格を取得することは、現場での信頼に繋がります。
仕事が大変
柔道整復師になったから終わりではなく、就職後もライバルと切磋琢磨しながら日々技術を磨く必要があります。
柔道整復師は、最善の治療を行い、利用者さんの持つ治癒力を活かしながら体の回復をサポートする仕事です。
治療を行うには高い技術が求められるほか、コミュニケーション能力が求められます。
利用者さんとのコミュニケーションを通じて治療に必要な情報を聴取しながら、原因や症状を探って治療しなければなりません。
また、柔道整復師はライバルが多い点においても大変です。
あなたの住んでいる地域にも複数の整骨院や接骨院がありませんか?
実は、全国の整骨院数は約50,000件にものぼり、2018年から2021年では約300件も増えています。
一番件数が多い都道府県は、約7000件ある大阪府です。
歯科数も全国ではかなり多いと話題になっていましたが、全国の個人経営の歯科診療所数は約50,000件です。
整骨院数も歯科診療所の数に劣らず多くあり、ライバル院が多いことがわかります。
つまり、数あるライバル院の中で選んでもらえるよう、日々努力を重ねなければならないのです。
柔道整復師で今後も安定した生活ができるのか?
柔道整復師として働くことで、安定した生活を送ることができます。
求人も多く出ているため、働き方を選択し個人に合わせたワークライフバランスの実現が可能です。
実際に、多くの柔道整復師の方が育児や趣味活動と両立しながら働いています。
気になる柔道整復師の給料や将来性について詳しくみていきましょう。
柔道整復師の給料
柔道整復師の給料はどのくらいでしょうか。
厚生労働省の令和3年度賃金構造基本統計調査によると、柔道整復師の平均年収は37.7歳で423万円ほどになっています。
さらに、厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、年齢が上がっていくにつれ収入が増加していることがわかっています。
収入高の要因は、整骨院の新規出店や高齢者の割合増加により、柔道整復師の需要が増しているためだと考えられます。
超高齢社会の日本では柔道整復師の需要はますます増加していくと考えられるため、それに伴い柔道整復師の収入も増加していくと予測できます。
柔道整復師の働く場所
柔道整復師の働く場所は、病院や整骨院だけではありません。
介護現場やスポーツトレーナーとしても活躍しています。
介護現場でも需要が高まっている
柔道整復師は、多くの介護現場でも活躍を求められています。
介護施設で働く柔道整復師は「機能訓練指導員」として働きます。
主な勤務先は介護福祉施設・要介護者用医療施設で、高齢者が自身の体の出来る範囲で自立した生活を行えるように指導しサポートするのが仕事です。
整骨院との違いは「外傷部分に施術をするだけではない」という点にあります。
機能訓練指導員は利用者さんのケアをしながら、利用者さんのできることを維持したり増やしたりできるよう計画を立て支援します。
また、利用者さんとより長く関わりを持ち、利用者さんの人生に寄り添います。
機能訓練指導員は、定められた資格所持者しかなれません。
その資格の一つが柔道整復師です。
整骨院のみならず幅広い分野でも資格を活かせるので、もし勤務先の整骨院が自分に合わなくても、働き方の選択肢を多く持てます。
スポーツ選手のトレーナーも目指せる
柔道整復師を目指す人の中には、整骨院で働く柔道整復師のように数多くの利用者さんと関わるのが苦手な方もいます。
また、一人に着目して深くサポートを行いたいと考えている方もいるでしょう。
柔道整復師は、経験を積んでスポーツ選手のトレーナーを目指すこともできます。
スポーツ選手の専属トレーナーは、選手の体のコンディションを調整し、成績が伸びるようにサポートするのが仕事です。
そのためには、選手の体のつくりや生活習慣等を、選手以上に理解しておく必要があります。
また、選手がケガをした際には治療により復帰をサポートするのも、専属トレーナーとしての役目です。
柔道整復師の将来
現在、さまざまな職業がAIによって縮小していることをご存知でしょうか。
例えば、工場での流れ作業や事務作業などは、人件費を削減しAIのシステム導入を進めています。
AIの活躍により、今後、さまざまな職業がさらに縮小あるいは消滅していくと考えられています。
では、柔道整復師はどうでしょうか。
柔道整復師は一人ひとり異なる体の作りや症状に対して、的確に治療していく必要があります。
そのためには利用者さん一人ひとりとコミュニケーションをとり、力加減を考慮し行わなければならないため、AIに仕事を取られて縮小するというのは考えにくいです。
また、柔道整復師の勤務先は整骨院のイメージが強いかもしれませんが、介護現場やスポーツ選手のトレーナーなど幅広い現場で活躍されています。
そのため、今後も柔道整復師が活躍する場面は、どんどん増えていくでしょう。
柔道整復師は今後も需要が高まり、AIにも負けない!
柔道整復師の魅力は伝わりましたか?
柔道整復師は国家資格を所持し利用者さんの治療にあたります。
体の作りや使い方を熟知し、それぞれの利用者さんに合った治療を行います。
柔道整復師は「やめたほうがいい」と言われることがあるかもしれません。
確かになるまでの道のりも、就職してからの仕事も大変です。
しかし、その何倍もやりがいを見いだせる仕事です。
そして、超高齢社会の日本における柔道整復師の需要は今後さらに高まります。
AIに負けない、人間だからこそできる人生に寄り添う柔道整復師を、あなたも目指してみませんか。