こんにちは!
フリーランス薬剤師のはいたっちです!!
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感染対策の必須アイテムともいうべきなのがマスクですよね。
実際に医療機関でも多くの医療スタッフがマスクをしています。
医療スタッフだけではなく、がん化学療法を実施している患者さんは、免疫機能が抑制される場合が多く、感染対策に充分な注意が必要です。
そのため、化学療法室では『手洗いうがいとマスク着用を徹底して下さいね』なんていう指導を行っているのではないでしょうか?
でもちょっとまって下さい…マスクって本当に意味あるんですかね?
今回は、がん化学療法中の感染対策(マスク)について考えていきます。
Contents
がん化学療法期間中はマスク着用しておけばよくない?
- マスク着用を義務付けるだけのエビデンスはない
- 学会等もマスクを推奨していない
- でもさ…マスクしとけば良くない!?
結論としては、マスク着用を義務付けるだけのエビデンスはありません。
びっくりするような結論ですが、実際に学会やガイドラインではマスク着用を推奨していません。
だからといって、マスクを着用しなくてもいい!という患者指導は正しいのでしょうか?
マスクにはデメリットが無い
マスクってなにかデメリットがありますか?
お金がかかることですし、資源を無駄にすることになるかもしれません。
しかし、実際にはほとんどデメリットが無いですよね。
科学的にはマスク着用に意味がないのかもしれません。
しかし、患者さんの心理を考えてみて下さい。
もしもマスクをしていたとしたら??
マスクをしていても、マスクをしていなくても感染症になるときはなります。
(科学的にはマスクには意味がないのですから。)
しかし、がん化学療法中に感染症に罹り、一気に状態が悪化してしまったとします。
そんな時にマスクをしていなかったとしたら…どう感じるでしょうか?
もしもあのときマスクをしていたら?
あのエレベーターにのった時にマスクをしていたら?
『たら・れば』を言い出せばキリがありませんし、マスクをしていなかったことが感染の原因である可能性は低いです。
でも…後悔をするのが人間の心理です。
だったら最初からマスクしておけば良くない?
…と『僕は』思います。
マスク着用を強制するほどのエビデンスはない
しかし、マスク着用を強制するほどのエビデンスがないのも事実です。
これはあくまでも事実として頭に入れておきましょう。
ASCOとIDSA(米国感染症学会)抗菌薬予防投与のガイドラインより
recommendations against interventions, such as footwear exchange, protected environments, respiratory or surgical masks, neutropenic diet, or nutritional supplements, for which evidence of clinical benefit is lacking.
ASCOとIDSAのガイドラインには、免疫抑制患者(がん化学療法中)におけるサージカルマスク着用の有効性はエビデンスが乏しい、ということが記載されています。
エビデンスに則った感染対策としては、手洗いうがいの徹底や、口腔内の衛生が重要であり、マスク着用は必須ではありません。
マスク着用を推奨するしないに関わらず、マスク着用のエビデンスに関して頭に入れておきましょう。
参考文献>>Antimicrobial Prophylaxis for Adult Patients With Cancer-Related Immunosuppression