こんにちは!
フリーランス薬剤師のはいたっちです!!
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がん化学療法によって、正常な造血機能もダメージを受けます。
そのため、貧血や血小板減少、好中球減少などが頻繁に発生します。
好中球が減少した状態で感染症を起こしてしまうと、発熱性好中球減少症(FN)とよばれる、非常に重篤な状態に陥ってしまいます。>>FNの詳細はこちら
そうならないために…
好中球減少を未然に防ぐべく使用されるのが、ジーラスタ(ペグフィルグラスチム)です。
ジーラスタは他のG-CSFとは異なり、長時間作動型であり、がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制という、『予防投与』の適応を有しています。
しかし、ジーラスタを使用していても、がん化学療法中に好中球が減少するという症例をしばしば経験します。
そんな時はどのように対応すればいいのでしょうか?
ジーラスタ使用患者へのG-CSFの追加投与は?
Contents
ジーラスタ使用中に他のG-CSFは追加投与可能か?
結論としては…
ジーラスタ使用中に他のG-CSF製剤の追加投与は推奨できません。
但し、好中球減少期間が長く遷延する患者では追加のG-CSF を考慮する必要があります。
詳細を以下にご紹介します。
G-CSF適正使用ガイドラインより
ペグフィルグラスチムについては,本剤の予防投与を受けたFN 患者に対して追加のG-CSF 治療的投与の効果を示した臨床試験はない。
NCCNガイドライン(2017 ver. 2)では,好中球減少期間でのペグフィルグラスチムの高い血中濃度を示す薬物動態のデータより追加のG-CSF は効果的ではない可能性から,追加のG-CSF 治療的投与は推奨していない。
しかし好中球減少期間が長く遷延する患者では追加のG-CSF を考慮すると記載されている。
G-CSF-適正使用ガイドライン
ジーラスタの血中濃度はおおよそ14日間維持されることが報告されています。(添付文書)
ジーラスタが血中に残存している間に他のG-CSFを追加投与しても、好中球の動員が促進されるということではないので、基本的に追加投与は推奨されていないということになります。
しかし、長く遷延する好中球減少が確認されるような場合には、グラン・ノイアップ・ノイトロジンなどのG-CSFを追加投与することを検討する必要があります。
NCCNのガイドラインより
ペグフィルグラスチムは長期間作用型の製剤であるため、ペグフィルグラスチムの予防投与を受けた患者に対してさらにCSFを投与してはならない。
NCCN Guidelines
参考文献:Randomized, Dose-Escalation Study of SD/01 Compared With Daily Filgrastim in Patients Receiving Chemotherapy
ジーラスタ(ペグフィルグラスチム)について
ジーラスタは『がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制』に使用される薬剤です。
使用方法に特徴がある薬剤ですので、ジーラスタ使用の際に“よくある質問”をまとめていきます。
ジーラスタの用法用量
通常、成人にはがん化学療法剤投与終了後の翌日以降、ペグフィルグラスチム(遺伝子組換え)として、3.6mgを化学療法1サイクルあたり1回皮下投与する。
ジーラスタの薬価
ジーラスタ皮下注3.6mg0.36mL:106,660円
1回あたり10万円以上の高薬価です。
*)がん化学療法だけでも非常に高薬価になりますので注意が必要です。
ジーラスタを『治療』で使用できるか?
ジーラスタの適応はあくまでも『がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制』です。
既に好中球が下がっている患者さんに使用することは推奨できません。
NCCNのガイドラインでも、『治療投与に関してはエビデンスを欠いている』と表現されています。
毎週投与の化学療法にジーラスタは使用可能か?
ジーラスタを使用するにあたって、14日間間隔の化学療法に関してはエビデンスがあります。
しかし、毎週投与(週1回投与)においてはデータが不十分であり、推奨する事はできません。
参考文献:Phase II/III study of R-CHOP-21 versus R-CHOP-14 for untreated indolent B-cell non-Hodgkin’s lymphoma: JCOG 0203 trial.