こんにちは!
フリーランス薬剤師のはいたっちです!!
>>詳しいプロフィールがこちら
マグミット(酸化マグネシウム)と大量の牛乳の相互作用
milk-alkali syndrome(高カルシウム血症、高窒素血症、アルカローシス等)があらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
マグミット添付文書より
下剤として汎用されている酸化マグネシウム(通称:カマ・カマグ)には、大量の牛乳と服用してはいけないという注意事項があります。
- どんな相互作用が起こるの?
- 大量の牛乳とはどれくらい?
- どのくらい間隔を開ければ飲んでもいいの?
この注意事項に関しては、患者さんからたくさんの質問をいただくことがありますので、薬剤師や医療スタッフが知っておきたい、『カマと牛乳の相互作用』についてまとめていきます。
Contents
酸化マグネシウムと牛乳の相互作用でアルカリ症候群
酸化マグネシウムと“大量”の牛乳の相互作用によって、アルカリ症候群という副作用が発現することがあります。
アルカリ症候群(ミルク・アルカリ症候群)とは?
ミルク・アルカリ症候群というのは、牛乳と酸化マグネシウムなどのアルカリ製剤と大量に摂取することで発生する、高カルシウム血症を主体とした病態です。
高カルシウム血症やアルカローシス(血液がアルカリ性になる)に加えて、急性腎障害などを発生することがあります。
具体的な症状として、激しい嘔吐や意識障害なども起こることがあり、注意が必要な副作用です。
カマと牛乳の相互作用は吸収低下ではない!
牛乳と薬品の相互作用としては、『ニューキノロン系抗菌薬と牛乳』のように、薬剤の吸収低下が有名ですので、カマと牛乳の相互作用も吸収の低下が理由だと思っている人もいるようですが、そうではありません。
カマと牛乳(大量の)を同時に摂取してはいけないというのは、アルカリ症候群の発生が理由です。
大量の牛乳といは具体的にどれくらい?
アルカリ症候群を予防するためには、カマと大量の牛乳を摂取することは控えなければいけません。
では、大量の牛乳とは具体的にどれくらいの量なのでしょうか?
1回500mL以上、1日1L以上を目安
牛乳摂取量の目安としては、1回500mL以上、1日1L以上を目安としましょう。
牛乳以外にも、食事やサプリメントなどに含まれるカルシウムも考慮した方が良いでしょう。
参考)福岡県薬剤師会>>
プロテインに注意!
通常の食事をしている場合はほとんど問題ありませんが、サプリメントやプロテインを飲んでいる場合には注意が必要です。
カマと牛乳はどのくらい間隔を開ければいいの?
酸化マグネシウムを内服しているのですが、どのくらい感覚をあければ牛乳を飲んでもいいですか?
たまに患者さんからこのような質問をいただくことがあります。
結論としては『摂取量の問題であり時間の問題ではない』です。
投与間隔をあければ良いということではない
『カマを朝の9時に内服して牛乳を11時に飲む』
これなら大丈夫かというと…そんなことはありません。
たとえ2時間間隔をあけたとしても、牛乳を500mL以上も一気に飲めば、アルカリ症候群のリスクは上がります。
酸化マグネシウムと牛乳の相互作用は、カルシウム摂取量が問題となりますので、大量のカルシウムを控えるように説明することが大切です。
年齢や性別などによって必要なカルシウム量は異なるので、『どれくらいなら飲んでもよいか?』という質問に答えることは難しいですが、先に述べた『1回500mL以上、1日1L以上』がひとつの目安になるでしょう。
ニューキノロン系抗菌薬(クラビット)と牛乳
牛乳と相互作用をもつ薬剤の中にニューキノロン系抗菌薬があります。
ニューキノロン系抗菌薬の場合は、カルシムとキレートを形成することで吸収が低下するというのが、相互作用に注意する主な理由です。
そのため、2時間以上開けて服用することで解決できます。
クラビットなどの1日1回製剤を使用することで、カマとの内服時間をずらしやすくなりますので、上手く活用すると良いでしょう。
酸化マグネシウム以外の下剤を考慮する
それでも牛乳を飲みたいという患者さんは多いです。
QOLを上げるために、患者さんの嗜好に寄り添うことも重要です。
そのためには下剤をスイッチするということを検討してみましょう。
酸化マグネシウムだけではありません。
アミティーザやリンゼスなど、新しい下剤もぞくぞく登場していますので、いろいろと試してみるのもよいでしょう。
最新の下剤!グーフィスについて詳しく紹介
慢性便秘症に使用可能な新しい薬、グーフィスについて詳しく紹介しています。
↓ご興味のある方はこちらもご覧ください。