介護職

服薬介助はどこまで訪問介護士が関わっていいのか?について徹底解説!

訪問介護士が支援できる服薬介助は身体介護に含まれています。

服薬介助とは、処方された薬を利用者さんに安全に飲んでもらうことが目的です。

しかし、場合によっては良かれと思ってした行為が医療行為になることもあるので、どこまでが介護保険に含まれるかを知っておくことが大事です。

準備方法についても注意しなければいけないこともあります。

この記事では準備方法についても詳しく解説をしていきます。

これから介護業界で働きたいと思われる方は、ぜひ参考にしてください。

訪問介護士が服薬介助支援で行えること

介護保険内で行える介助には決まりがあります。

知っておく必要があるものを3つ紹介します。

・水と薬の準備
1回分の薬と水を準備

・薬を使用するお手伝い
薬を使う際に利用者さんのお手伝い

・片づけと確認
ゴミや水の片付け

上記の内容ができることになります。

利用者さんに頼まれて、なんとなく手伝ったことが違反になることも少なくありません。

もし頼まれても、これ以外のことは行わないようにすることが大事です。

参考)訪問介護の概要(厚生労働省)

訪問介護士が服薬介助を行ってはいけない場合

訪問介護士にできることを上記では説明しましたが、反対に行ってはいけないこともあります。

仕事として関わっていくのならば、規則も頭に入れておく必要があります。

いくら頼まれても、利用者さんが下記のような状態にある場合は医療行為に該当するため行ってはいけません。

以下のポイントについて紹介します。

  • 利用者さんが入院して治療をする必要があり、身体状態が安定していない場合
  • 副作用の危険性や薬の量で、医師や看護師による経過観察が必要
  • 専門的な配慮が必要
  • 袋から薬を取り出す

以上のケースが、服薬介助を行うことを禁止されています。

飲んだ後に副作用で状態が急変する可能性がある利用者さんのサポートは、看護師が行う領域です。

袋から取り出すことについても「薬を出すだけ」と思われている方もいますが、医療行為にあたります。

薬を飲む際に気を付けるポイント

どこまでが自分が行っていいのか分からないまま支援を行うのは危険です。

飲み方を間違えると命にも関わるので、細心の注意を持って行わなければいけません。

以下では、気をつける箇所を3つにまとめています。

詳しく解説をしているので参考にしてください。

飲み込む際に誤嚥にならないように気を付ける

内服薬の場合は体を起こして飲んでもらうことが大事です。

ベッド上から起き上がれない人は、頭部を支えて姿勢を横向きにすると飲み込みやすくなります。

あごが上がった場合で飲もうとすると、むせ込みやすくなるので誤嚥の原因にもなります。

誤嚥を予防するためにも、口に入れたら顎を下に引いてもらって飲むことなど工夫することが大切です。

飲み間違いには細心の注意を払う

食後の薬を飲むことを忘れてしまったり、指定された数を間違えて飲んだ時は体調が悪くなることもあります。

しかし、間違えないように袋から薬を取り出しまとめることは禁止されています。

解決方法としては薬局や病院の医師や看護師に薬を一包化してもらうように頼んでみることも方法の一つです。

飲み間違いを防ぐための工夫は利用者さんにとっても利点になるので、外部との相談を重ねることは大切です。

まずは上長に報告して対応を仰ぎ、指示に従いましょう。

味がついた飲料水で服薬しない 

内服薬は基本的にぬるま湯か水で飲むようにすることが大事です。

苦味を甘いもので誤魔化す方もいらっしゃいますが、効果が減少したり、副作用を起こしたりする場合があります。

どうしても水で飲めない方は、お茶などカフェイン含有量が低いものがオススメ。

服薬後の状態には気を付ける

薬を飲んだ後は状態に変化がないかを確認することも大切です。

飲んだ後に吐き戻してしまうこともあるので、確実に飲みこむことを見届けることが必要です。

体調の変化が見られた場合、病院や医師にすぐに報告して対応方法を仰ぐようにします。

訪問介護士の服薬介助

実際に介助をどのように行うのが良いのかが分からない方もいます。

内服薬、外用薬の場合にどのように行うのか?について解説していきます

気になる方は参考にしてみてください。

内服薬の方法

固形薬を飲んでいただく場合は一つずつ舌にのせます。

小さいサイズでも複数飲み込もうとすると誤嚥が起こりやすいので、焦らず一つずつ飲んで頂くことが大切です。

粉は量の多さや薬の苦味で、なかなか飲み込めない方も多くいます。

その場合は無理に飲み込ませずにオブラートに包んで苦味を緩和させたり、複数回に分けたりして飲んで頂くよう工夫することも大切です。

ゼリーに含ませることも、味が緩和され飲み込みやすいのでオススメします。

液体の場合は容器に入れて軽く振ってコップなどに入れて飲むと中身が均一化されて飲みやすいです。

量が多い場合は少しづつ飲んで頂き、利用者さんのペースを保ち、身体に負荷をかけないようにします。

舌で吸収するタイプの場合は唾液で溶かして口腔内から吸収するので舌の上に置いた後に飲み込まないように注意することが大切です。

外用薬の方法

貼るタイプや塗るタイプは飲むものとは違い、そこまで難しい処置ではありません。

しかし、坐薬と目薬については注意が必要です。

以下で解説をしていきます。

目薬の場合は、頭部をしっかり支えつつ下まぶたを軽く押さえて粘膜が見えてから差します。

差した後は、すぐに目を瞑ってこぼれないようにして頂きます。

こぼれた場合は口や耳に入らないようにティッシュで拭き取ることが大切です。

薬が皮膚やまつ毛に接触して雑菌に感染してしまう場合もあるので、スポイトの先端は身体に触れないようにすることも大事です。

坐薬の場合は、利用者さんの体勢にも注意が必要です。

利用者さんには横向きで寝て頂き自身の体勢は塗りやすいよう体勢を整えます。

坐薬の先端には保湿剤や潤滑剤などを使用して滑りやすく準備を整えておくことが重要です。

準備が整ったら、以下の手順で支援を行います。

  • 指の第2関節まで隠れる程度に挿入する。
  • 指が入れ終わったら中から薬が出てこないように20秒間ほどティッシュで肛門を防ぎ、逆流を防ぐ。
  • その後、体調に変わりはないかを聞いて元の体勢に戻し、状態の経過も観察し異常がないかを確認する。
  • 異常を感じたらすぐに上長に報告をする。

服薬の手伝いでは少しの気遣いが、利用者さんの信用や安心に繋がります。

上記に記載したこと以外にも、利用者さんの状態によってやり方は変わるため、状態の確認をする習慣をつけておくことも今後の支援には大切です。

訪問介護士がどこまで服薬介助ができるかを意識して支援を行う

訪問介護士は服薬介助を行う場合、どこまで介助して良いのかの線引きに困る場合があります。

行えることは準備と服薬確認と片付けの3つです。

これ以上のことは支援では行わないようにすることが大事です。

自身が間違いのリスクを減らすために薬を一つにまとめたり、指示以外のことを行うことは利用者さんの負担にも繋がります。

訪問介護士ができる範囲は医療行為の外側のお手伝いのみです。

慣れれば慣れていくほど自分のやりやすいように簡略化しがちになりますが、何よりも優先するのは利用者さんの体調管理です。

「自分には一体何ができるのか」をしっかり把握しておきましょう。

ABOUT ME
瀬古高行
医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。株式会社femto代表取締役。
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