特別養護老人ホームでは幅広いスキルを取得できるため、転職したいと考える介護士が多くいます。
しかし、実際に転職活動をしている人の中には「志望動機」に何を書けばいいのか分からず困っている方も多いでしょう。
この記事では、特養(特別養護老人ホーム)転職を考えている介護職の方へ、志望動機作成の書き方や例文を紹介します。
特養にしかない魅力や志望動機の基本的な構成についても触れつつ、特養を志望する動機作成のポイントや個別のアピール要素ごとの例文についても紹介します。
ぜひ、特養に転職するための参考にしてみてください。
特養は要介護3以上の認定を受けた高齢者の長期入所施設
特養は要介護3〜5で65歳以上の高齢者が長期入居できる施設で、他の介護施設と比べて費用負担が少ないため、人気が高い傾向にあります。
特養で働く介護士はさまざまな症例に対応する分、専門技術を磨くことができ、自己成長の機会が豊富です。
また、医療やリハビリスタッフとの連携により、質の高い効果的なチームケアを提供できる環境が整っています。
そのため、介護士としてスキルアップやキャリアアップを目指す人にとっておすすめの施設です。
特養の形態には、従来型とユニット型の2つがある
特養には、従来型とユニット型の2つの形態があります。
従来の特養では4人部屋などの多床室が主流で、プライバシーが確保されにくいなど、リラックスできる空間が少ない傾向にあります。
基本的に直線上にのびる廊下の両側に居室が並んでいて、中央に大きな食堂がある構造です。
入居者が多いため、個々の生活リズムに合わせたケアは難しく、施設のスケジュールに沿った集団ケアが一般的です。
一方でユニットケア型の特養は、1人ずつ利用する居室と利用者さん同士が気軽に交流できる共有エリアがあります。
施設構造上、プライバシーを確保しながら、利用者さん同士の交流もしやすいです。
細やかなケアを行える環境であるため、利用者さんの生活スタイルに合わせたケアの提供ができます。
職場としての特徴
特養での介護職の仕事は、要介護者に対する身体介護や生活援助、リハビリテーション支援、認知症ケアなど様々あります。
特に介護度が高い高齢の利用者さんが対象となる施設であるため、高い専門知識や技術が必要です。
さらに利用者さんと長期にわたってかかわり、その人の生活週間や人間関係の築き方を知れる環境にあるため、利用者さんに合わせた個別ケアを行いやすい特徴もあります。
特養における介護士の働き方
多くの特養は24時間体制で運営しており、介護職員はシフト制で働くのが一般的です。
介護の現場では、突発的なトラブルに臨機応変に対応しなくてはならない場面も多くあり、各部署が力を合わせて解決していくチームワークが求められる職場でもあります。
特養で採用されやすい志望動機の書き方
特養での仕事に応募する場合、どのような志望動機が採用担当者にとって魅力的なのか、相手の立場に立って考えることはとても大切です。
以下では、特養に応募する際の志望動機の書き方を解説します。
志望動機を書く上で抑えたい3つの基本ポイント
志望動機には、以下の3つの点を簡潔にわかりやすく書きます。
- 入職したい理由
- 入職しようと考えるようになったきっかけ
- 入職後の展望について
まずは、自分がなぜ特養で働きたいと思ったのかを明確に伝えることが重要です。
その上で志望するに至ったきっかけや、具体的にどのような目標を持って働きたいのかを伝えましょう。
自分らしさをアピールできる志望動機を書くコツ
特養での採用に有利な志望動機の書き方については、以下のようなポイントがあります。
- その施設の理念や取り組みに共感・感動したエピソードを添える
- 特養だからこそ経験できることに挑戦したい気持ちを文章に盛り込む
志望する特養施設の理念や取り組みに共感するエピソードがある場合、志望動機に加えてアピールしましょう。
他の介護施設では経験できない特養ならではの介護ケアに挑戦したい気持ちを伝えることで、採用担当者に真剣さが伝わります。
また、特養で働く魅力として、同じ利用者さんと長期間かかわれる点や介護スキルを磨ける点などが挙げられます。
技術を向上させて利用者さんとの関係性を大切にしたいという想いをアピールできれば、特養での仕事に適性があることを示せます。
特養の志望動機の例文集
同じ介護職でも場所が変われば、求められるスキルが変わります。
ここでは、異なる介護業態の施設から転職する場合や、未経験からの転職の場合の例文を紹介します。
デイサービスなどの通所介護からのユニット型特養への転職
私はデイサービスで3年ほど介護スタッフとして働いてきましたが、より高度な介護技術を身につけたいと思い、貴施設に応募しました。
祖母が脳梗塞で要介護認定を受けたとき、仕事で介護をしているのにうまくサポートできなかった経験から、高い介護度の方へ支援ができるようになりたいと思うようになりました。
デイサービスでは食事や入浴の介助を通じて、利用者さんとのコミュニケーションを大切に業務を行ってきました。
デイサービスでの経験を生かしつつ、今後は貴施設で利用者さんの日常をしっかりサポートできるスタッフとして介護スキルを高めていきたいと思います。
訪問介護から従来型特養への転職
私が貴施設に応募した理由は、チームケアを学び、介護職員として成長したいと考えているためです。
これまで訪問介護職員として、在宅で暮らす高齢者の生活援助や、身体介助を一人で安全に行う介護スキルと責任感を培ってまいりました。
今後も介護士として働くにあたって、限られた時間とご自宅という環境で行う訪問介護だけでなく、チーム介護の学びも必要と考えるようになりました。
貴施設のように規模が大きい施設であれば、多くの職種の人と一緒に働けるため、様々な立場の人とコミュニケーションをとりながら働ける魅力があると思っています。
将来的には、様々な職種と協力しながら利用者さんの生活をサポートできる、チームケアの視点を身につけた介護職員になりたいと考えています。
有料老人ホームからユニット型特養への転職
私は、貴施設の家庭的な雰囲気で利用者さんの自分らしい生活をサポートできる環境に魅力を感じ、転職したいと決断しました。
これまで有料老人ホームで4年間働いてきましたが、利用者さんはお客様であると教わり接するため、自立支援とサービスの狭間で介護士として思い悩むことも多々ありました。
今後は、アットホームな環境下で個別ケアが可能なユニット型特養の貴施設で、介護士として不足している部分を克服し、介護スキルや対応力の向上を目指したいと考えています。
老人保健施設から従来型特養への転職
私は、長期間同じ利用者さんと関われる施設で働きたいという思いから、貴施設に応募しました。
老人保健施設で5年ほど勤務しましたが、施設の特性上利用者さんの入居期間が短く、信頼関係ができ始めた頃に帰宅されてその後の様子を把握できないのが歯痒かったです。
特養である貴施設では、長期的な関わりが可能で、医療的なケアにも力を入れているためこれまでの経験を活かしながら、介護ケアが提供できる環境だと感じています。
入職後は、最期まで携わるチームケアを一から学び、1日も早く即戦力として施設に貢献できるよう努めます。
従来型特養からユニット型特養へ転職
私は、一人ひとりに寄り添った介護を提供できる高い技術を習得したいと考え、貴施設に応募しました。
これまで従来型の特別養護老人ホームで3年間の勤務と実務者研修を修了しており、たくさんの利用者さんを複数人のスタッフで介護する集団ケアを学んできました。
やりがいはあるもののいつも時間に追われていたため、利用者さんときちんと向き合うケアがしたい気持ちが次第に大きくなり今に至ります。
特に貴施設で提供している、利用者さん一人ひとりの個性を大切にした多彩なケアプランを、しっかり学んで身につけたいという強い想いがあります。
これまでの介護経験は活かしつつ、今後はユニット型の貴施設で個別性の高いケアを学び、利用者さんが自分らしく暮らせる施設づくりに貢献できる介護士を目指します。
介護職未経験からの転職
私が貴施設で働きたいと考えた理由は、利用者さんと長期にわたって関わりながら、ケアスキルの高い介護士になりたいという想いが芽生えたからです。
特別養護老人ホームには、介護度が重い方や認知症の方など多様な利用者さんがいらっしゃるため、介護職に必要な知識と技術を学ぶ場として最適と考えました。
以前に高齢の方もよく利用される店舗で接客担当として働いた経験から、もっと高齢の方の役に立てるスキルを身につけたいと介護士になる決断をしました。
これまで培ったコミュニケーションスキルを活かして、利用者さんに寄り添う介護を提供できるようになりたいと考えています。
未経験ではありますが、貴施設での業務を通じて、主体性をもって仕事に取り組み、多くのことを学んで吸収していきたいと思っています。
施設が求める介護士像を理解するとアピールするポイントが明確に
特養で採用されやすい志望動機を書くには、施設が求める介護士像がどのような人物であるかを把握した上で、志望理由や今後の展望について簡潔に伝えることが大切です。
施設が求める介護士像がわかると、自然と自分の強みを活かして働ける施設であるかどうか判断できるようになります。
生活支援や身体介護を通じて、入居する利用者さんのQOL向上に貢献する特養の介護職は、やりがいのある仕事です。
特養での介護職を目指す人は例文を参考にしつつ、自分のスキルを特養でどのように活かせるかや、施設の理念に共感する点を自分の言葉にしてアピールしてみましょう。